RIETIのBBLに参加してきました。


スピーカー: 澤井智毅 (特許庁総務課情報技術企画室長)
「米国における知的財産情勢 ~特許制度改革の現状~」
http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/08082801.pdf


米国での特許制度改革の最新情報がてんこ盛りでした。


非常に興味深かったのは、

IT業界が反対し、製薬業界は賛成しているとのこと。


80年代のプロパテント政策とアンチトラスト政策のおかげ

でIBM帝国の牙城を崩し、今日の繁栄を築いたIT業界が、

プロパテントの抵抗勢力になっているとのこと。


同様に創薬ベンチャーを活用して、価値創造を続けてきた

製薬業界は改革推進派で、モジュール化経済の両雄ITと

バイオで対応が分かれているのです。


質問してみると、

ITで声が大きいのはマイクロソフトとIBMで、製薬で声が

大きいのはイーラーリリー(知財の儲けが大きい。VPに

知財の有力者がいる)とファイザー(特許期限切れで1万

人もの解雇が予定されている)だそうです。


では、IT業界の中のベンチャーは?というとこれは逆に

セオリー通り、推進派なのです。ベンチャーを擁護する

勢力は声が大きくないのですが、それでも推進派なの

です。


その後の質問で明らかになってきたのですが、

これは産業アーキテクチャの違いによるものだと理解

できます。


つまり1パテントで1薬品となる製薬業界は、完全に

モジュラーな世界なのでベンチャーとその努力を擁護

する知財強化に積極的になります。


他方で、IT業界は二つに分かれ、単にモジュールで

勝負するベンチャーの勢力はプロパテント、他方で、

マイクロソフトなどプラットフォーム(構造モジュール)

を主戦場とする既存大企業(元ベンチャー)は、自分たち

のビジネスが知財訴訟で受けるダメージが大きすぎる

ので、そのリスクを回避、限定したいため抵抗勢力にな

るという構図です。


2006年のeBAY訴訟が、一定の道筋をつけています。


特許侵害によるサービス差止請求(これが認められれば

プラットフォームを独占的に保つアーキテクトは被害甚大)

に対して、4つの判断基準(資料参照)を示し、場合に

よっては全体の差し止めは認めず、損害賠償だけで、

決着をつけるという道筋ができ、これによって、IT業界

の反対色も少しだけ弱まったといいます。


確かに、プラットフォーム・構造モジュール全体が差し止め

となれば、その企業は被害甚大ですし、社会的にも不利益

が大きくなりますから、こういう判断もありうるでしょう。


その辺が、コモンローの衡平法(エクイティ)の柔軟さかも

しれません。


なかなか面白い会でした。