○ドイツ/オランダ:太陽電池の効率の記録更新
5月14日に米国のサンディエゴで開催された太陽エネルギーに関する会議である「ソーラー・エナジー・コンファレンス」において、ドイツとオランダの科学者が高効率太陽電池について発表を行った。アイントホーフェン工科大学の物理学者のブラム・ホエクス氏らの研究グループ(Plasma & Materials Processing(プラズマ材料プロセス)グループ)は、ドイツのフライブルクのフラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所(ISE)と共同で、シリコン型太陽電池パネルの高効率化を成し遂げ、最高記録を更新した(従来の最高である効率21.9 %から23.2 %に上げた[相対的に6 %の改善を達成])。
その効率改善は、太陽電池の前面に酸化アルミニウムの超薄膜を使用することにより達成された。わずか1 %強(絶対値)という改善は一見すると些細なものであるが、効率の向上により発電コストの低コスト化が実現されるため、太陽電池メーカーはその製品の性能を大幅に向上させることができる。酸化アルミニウムの薄膜の皮膜を形成するコストは比較的低いと予測されており、これによって太陽発電コストが大幅に低減できると期待されている。
ホエクス氏は、ISEの博士課程の学生、ジャン・ベニック氏が製作した結晶シリコン太陽電池の前面に酸化アルミニウムの超薄膜(約30ナノメートル)の皮膜を形成することにより、効率の改善を実現した。この薄膜は従前には実現されなかった高レベルの負の電荷を帯び、これにより通常は表面上で失われる大量のエネルギーをほぼ完全に使用することができる。
この太陽電池の開発者らは、ホエクス氏らの研究グループで開発された酸化アルミニウムの超薄膜は太陽電池業界に技術革新をもたらすと考えており、すでに複数の大手の太陽電池メーカーが関心を示している。
○オランダ:研究者が太陽電池の「アバランシェ効果」を実証
デルフト工科大学とFOM(Fundamental Research on Matter [基礎研究財団])の研究者は、ある特定の微小半導体結晶において電子によるいわゆるアバランシェ効果が起こる証拠について確認し「Nano Letters」誌にて発表した。
この研究結果を礎に、1つの光子から複数の電子を放出することができるナノ半導体結晶(ナノメートルサイズの範囲の結晶)を使用することによって、現行の太陽電池の限界(比較的低い出力と高い生産コスト)を克服するのに役立つ可能性がある。(従来の太陽電池は1つの光子から1つの電子しか放出しないが、放出される電子が多いほど太陽電池の出力は高くなるため。)
複数の電子が放出する現象は、「アバランシェ効果」として知られている。アバランシェ効果は2004年に米国のロスアラモス国立研究所の研究者によって初めて測定されたが、オランダの研究者チームによると、科学界では依然としてその効果の存在について疑念が抱かれていていたという。同チームは、セレン化鉛(PbSe)ナノ結晶で実際にアバランシェ効果が起きることを実証したということである。しかしながら、この材料における効果は、以前予想されていたよりも低かった。