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“エコかっこいい”がファッションのキーワードの一つになりつつある中、20代、30代の若手デザイナーらが手掛ける、自動車の廃材を使ったおしゃれなビジネスバッグやショルダーバッグが次々と登場している。自動車は全体の90%以上がリサイクルされているといわれるが、バッグに用いられているのはこれまで再利用できなかった部分。開発者に話を聞いた。
大型トラックのタイヤチューブを使ったバッグ「SEAL(シール)」を昨年4月に発売したのは、グラフィックデザイナーの堀池洋平さん(27)と中村亮太さん(28)。
環境問題に関心があり、「地球のためになることを何かしたい」と考えていたという堀池さん。4年前、都内の職場で知り合った中村さんと意気投合し、トラックの幌(ほろ)を使った欧州のリサイクルバッグブランドを参考に開発を始めた。
条件としたのは、「安定供給が可能」「素材に魅力がある」「水に強い」の3点。素材を絞り込むため、防水シートやウエットスーツ、ヨットの帆(ほ)といった廃材を集めながら、最終的にタイヤチューブを使うことを決め、自己資金など200万円を出資して「モンドデザイン」(東京都港区)を起業した。
堀池さんは「当時のタイヤチューブのリサイクル率は低く、60~80%が熱処理(ごみ発電)されていた。チューブは牛革と同じくらいの重さで、30年程度の耐久性があると知り、これだと思った」と振り返る。
苦労したのはタイヤチューブを洗浄してもらう業者の開拓。100件以上のクリーニング業者に電話をかけ、やっと1軒を見つけた。縫製業者もなかなか見つからなかった。チューブには丸みがあり、熟練の皮革職人でないと手作業での縫製がうまくできないためだ。
発売後の反響は大きく、ネット販売だけでなく、セレクトショップや大手雑貨店など10店舗でも販売。このほかイベントなどの記念品を製作し、二酸化炭素の排出権を付けて主催企業に販売する事業も行っている。
神奈川県藤沢市のデザイン会社「クレアトーレ」の代表、森川信宏さん(33)は昨年12月から、自動車のシートベルトとエアバッグを使ったビジネスバッグやショルダーバッグなどを「innoveco(イノベコ)」のブランド名で販売している。
もともと湘南地区のリサイクルに関心のある人たちとともに、廃棄物を再利用する取り組みを続けていた。当初は捨てられたヨットの帆でリサイクルバッグを作ろうとしたが、知り合いの自動車リサイクル業者に、シートベルトの収集を依頼したところ、1週間で100キロも集まったことがきっかけで、車の廃材利用を始めた。
ポリエステル製のシートベルトやナイロン製が多いエアバッグは、繊維のリサイクル法がないことから、燃やされるか埋め立てられるかして廃棄される。「こんなにたくさんあるなら、商品を作れる」と考えたという。
名古屋市のリサイクル製品企画製造販売会社「コーハン」は今年4月、ファッション部門を立ち上げ、使用済みの自動車タイヤを素材に製造したバッグの販売を始めた。自社ブランド「HEVEA(ヘベア)」の商品としてシリーズ化する予定で、中心となる事業部長の林茂行さん(32)は「再生素材のイメージを変え、みんなに認められる商品を作りたかった」と意気込む。
工業廃棄物をファッションに取り入れる試みは、地球の将来を考える上で今、エキサイティングな仕事といえそうだ。