先日ご紹介したトヨタの記事ですが、本質の部分は、
トヨタOBは「特に若い社員は、かつての苦労を知らない。
何も考えずに慣例的、事務的に仕事を処理したり、部品メー
カーなどの取引先に傲慢な態度を取るものも少なくない」
と指摘する。「自ら範を垂れずに、サプライヤーにコストダ
ウンを強要してもついてくるはずがない」という。慢心や傲
慢、油断、嫉妬。“世界一”になること自体が大きなリスク
と感じるトヨタ首脳陣やOBは多い。「いまこそ、意識改革
の絶好のチャンス」と渡辺社長は言う。その意識改革とは、
原価低減という単なる“節約”に止まらない、もっと深い意
味合いがありそうだ。
だから、グリーンな省資源設計・製造をサプライヤーととも
に構築することが必須なのです。
それが完成すれば勝利の方程式を解くことができるでしょう。
トヨタグループが「パワーポイント」自粛令!?
(ダイヤモンドオンライン、2008年5月20日)
http://diamond.jp/series/analysis/10003/
トヨタグループ内で、マイクロソフトの「パワーポイント」使用の自粛ムードが広がっている。事の発端は、コスト削減を求める渡辺社長の発言だった。それにしてもなぜパワーポイント自粛なのか?
「パワーポイントの使用は控えた方がいい。特にプレゼン資料のカラーコピーは…」
最近、トヨタ自動車社内からだけでなく、系列会社、サプライヤー(部品会社)のあいだからでさえ、こんな会話が聞こえてくるようになった。事の発端は、何を隠そう5月8日の決算発表での渡辺捷昭社長の発言である。
今年度の営業利益は、円高、原材料高、米国市場の不振という“三重苦”の影響をもろに受け、トヨタといえども、3割減という非常に厳しい見通しだ。決算会見の後、周囲を取り囲んだ記者団に対し、渡辺社長は「もう一度、原点に返って原価低減を行う」と一層のコスト削減を強調した。そして、続いて飛び出した次の言葉がその後のパワーポイント自粛ムードにつながった。
「社内の意識はまだまだ甘い。昔は1枚の紙に(用件を)起承転結で内容をきちんとまとめたものだが、今は何でもパワーポイント。枚数も多いし、総天然色でカラーコピーも多用して無駄だ」と苦言を呈したのである。
新幹線グリーン車の
禁止令も復活か
パワーポイントやカラーコピーさえも禁止か――。
何気ない渡辺社長の発言だが、ロシアの国家予算に匹敵するほどの売上高を誇るトヨタグループのトップの言葉。正式な命令でなくとも、影響力は計り知れない。トヨタを頂点とする産業ピラミッドの隅々にまでその鶴の一声は行き渡り、実際にパワーポイントやカラーコピーの自粛ムードが急速に広がっているのである。
社内でも「かつてのような新幹線のグリーン車禁止令の復活か」という噂が駆けめぐった。ただでさえ、トヨタは現在、「あらゆる部門で無駄をそぎ落とす」と渡辺社長が明言するほどの、聖域なきコスト削減に乗り出している。研究開発費や設備投資までをも削減している最中だ。“パワーポイント自粛令やカラーコピー禁止令”があったとしても不思議ではないのである。
もっとも、今年度のトヨタの減益要因の大半は円高という為替の影響(6900億円)であり、事業そのものが不振というわけではない。
「何もそこまでやらなくても...」と思うのが人情だろう。なぜ、渡辺社長はかくも“過激”とも思える発言をしたのだろうか。
トヨタの敵はトヨタ
真の狙いは官僚主義の打破
複数のトヨタ幹部やOBによるとその発言の真意は、どうやら別にありそうだ。あるトヨタOBは「その狙いは官僚主義の打破」と忖度する。
かつて奥田碩取締役相談役は、「トヨタの敵はトヨタ」と語った。米GM(ゼネラルモーターズ)を抜き、世界一の販売台数獲得が目前に迫るなか、そのトヨタOBは「特に若い社員は、かつての苦労を知らない。何も考えずに慣例的、事務的に仕事を処理したり、部品メーカーなどの取引先に傲慢な態度を取るものも少なくない」と指摘する。
別の幹部は「自ら範を垂れずに、サプライヤーにコストダウンを強要してもついてくるはずがない」という。月は満ちれば、欠けるもの。慢心や傲慢、油断、嫉妬。“世界一”になること自体が大きなリスクと感じるトヨタ首脳陣やOBは多い。
「いまこそ、意識改革の絶好のチャンス」と渡辺社長は言う。その意識改革とは、原価低減という単なる“節約”に止まらない、もっと深い意味合いがありそうだ。