こんなことはとっくに判っていたのに軌道修正ができないんですね。


http://it.nikkei.co.jp/mobile/news/index.aspx?n=MMIT0f000014022008&cp=1


バルセロナ携帯の祭典で感じた日本メーカーの病巣 <拡大> 毎年、参加しているメーカー関係者は「今年は例年以上に人が多い。去年は3分だったトイレの行列も、今年は5分も並ばなくてはならない」と力説していた  2月11日からスペイン・バルセロナにて世界最大級のモバイル業界イベント「Mobile World Congress 2008」が開催されている。日本からもキャリア、メーカー関係者が多数参加しており、会場を歩けばあちこちで業界キーマンを見つけることができた。彼らの目に今回のイベントはどのような印象に映ったのか。複数関係者による生の感想から、いまの世界的なトレンドと日本企業が置かれた状況を分析する。(石川温のケータイ業界事情)


■iPhoneの影響を受けたタッチパネル携帯が目立つ  

端末の展示で特徴的だったのは、アップルの「iPhone」の影響を受けたようなモデルが実に多かったことだ。韓国サムスン電子の「Soul」は12.9ミリのスライドボディーに500万画素デジカメやHSDPAを搭載したモデルで、最大の特徴はディスプレー下部にあるタッチパネル。音楽やメニュー操作などアプリケーションごとにキー表示が変わる「Magical Touch」というインターフェースを採用しており、直感的にタッチパネルを操作することが可能だ。  同じく韓国LG電子もディスプレー下部にタッチセンサー「IntaractPad」を搭載。ショートカットアイコンなどを表示して、直接さわって操作できるのが売りとなっている。これらの端末を見た多くの国内端末メーカー、キャリア関係者が「iPhoneの影響を何らか受けた結果だろう」と語る。

端末メーカー商品戦略担当者は「iPhoneのような全画面タッチパネルだと、日本のユーザーは『液晶につく指紋の跡が気になる』といって敬遠する傾向が強い。しかも、片手だけで使えないという欠点もある。しかし、サムスン電子のSoulなら、スライドでテンキーを残して片手で操作できるというメリットを生かしながら、タッチパネルという直感的な操作を実現している。しかも、触って操作するパネルを極力小さくし、表示する液晶とは別にしているので、指紋も気にならない。日本でも受け入れられるスタイル」と分析する。  ただし、キャリアで商品戦略を手がける担当者によれば、「今回、端末としては注目を浴びたと言えるが、決して大した驚きがあるとは思えない。スライド端末に小さなタッチパネルを乗せるというのは、端末メーカーとして迷いがあるように感じる」と手厳しかった。  とはいえ、操作性を向上させるアプローチは、誰もがやらなければならないと気がついていたが実現できていない課題だった。それをiPhoneが改めて教えてくれたようで、今後も携帯のUI(ユーザー・インターフェース)はまだまだ進化していきそうだ。


■アプリやサービスに舵を取り始めたノキア

今回、日本のケータイ業界関係者の間で話題となったのがノキアの動向だ。これまでの「世界最大の端末メーカー」という立場から、端末だけでなく、「自らサービスを提供する総合企業」に生まれ変わろうとしているスタンスがはっきりと見て取れたのだ。  バルセロナでノキアは2つの新サービスを発表した。GPSモジュールを使った地図・ナビゲーションサービス「Nokia Maps 2.0」と、SNSサービスの「Share」だ。ただ、前者は日本でもすでに普及しているケータイによるGPSサービス、後者もケータイで行うSNSであるため、日本のキャリア関係者はさほど目新しさを感じなかったようだ。  NTTドコモの夏野剛執行役員は「ノキアを見てわかるように、今回はコンテンツやサービスの展示が多い。ケータイでブラウジングをするということが欧州でも立証され、ようやく当たり前になってきたということ。かつて1999年に日本でiモードを始め、それが当たり前の世界になった2003~2004年にようやく欧州が追いついてきたような気がする」と語る。  別のキャリア関係者は「ノキアはいまのシェアがあるからこそ、いまのうちにメーカーの枠組みではない、新たなビジネスモデルに挑戦したのだと思う。余力があるうちにサービス分野に進出し、試してみて、だめなら早々に撤退するようなスタンスではないか。あのようなビジネスモデルを描けるのは世界を見渡してもノキアとアップルぐらいなものだろう」と分析する。


■海外市場で存在感のない日本メーカー

キャリア関係者がノキアの動向を冷静に分析できたのに対し、危機感をいっそう高めていたのが端末メーカー関係者。端末だけでなくサービスも提供するのは、ノキアという巨人だからこそ実現できるビジネスモデルだという。  「これからのメーカーは、端末を提供する『物作りの会社』だけでは生き残れないということを実感させられた」(国内メーカー関係者)。「ノキアはいままでは端末がメインのビジネスだった。しかし、その端末の位置づけが変わり、サービスがはじめにありきで、それらをユーザーに使わせるために端末を売ろうとしている。これまでの主従関係を逆転させたいのかもしれない」(別の国内メーカー商品戦略担当者)と話す。  ノキアがサービス分野への本格進出を表明し、サムスンやLGが新しい操作体系の端末を発表して、ブースに人が群がる一方で日本メーカー勢の存在感は薄い。今回は、パナソニック モバイルコミュニケーションズ、NEC、東芝が出展。シャープも参加企業一覧には名前が載っていたもののブースの出展はされていなかった。どうやら直前で出展をキャンセルした模様だ。  パナソニックとNECは端末関連では905iや705iなど日本向けモデルを展示している程度だった。海外向け端末の開発・製造は行っていないので、当然ながら海外向けモデルの出展はない。NECは特にLTE(スーパー第3世代の高速通信技術)などネットワーク関連の展示に力を入れていた。東芝はウィンドウズモバイル端末を展示していたが、メイン会場のなかでも人通りの多いところではなかったので、来場者はあまりいなかった。


■日本の現状はキャリアとメーカーどちらに問題があるのか


キャリア担当者からは口々に「日本メーカーの存在感がなくて本当に残念」と嘆きの声が聞かれた。「日本で今売られている最新機種はワイドVGAの高解像度、薄さなど、端末の仕上がりではノキアやサムスンに負けていない。こんなに世界に先行していいものを作れるメーカーなのに、残念でならない。世界がモバイルマルチメディアに進むなか、実った果実を全然取れていない」(キャリア関係者)  一方で、別のキャリア関係者は「ノキアやサムスンとは引き離されるばかり。日本メーカーには、自らが世界を切り開こうという気概が全くない。製品開発をする際も、キャリアの意向をくみ取ろうとするばかりで、メーカーのポリシーを感じない。ドコモに飼い慣らされた結果がいまの構図を生んでいるのでないか」と手厳しい。  そんな指摘にメーカー関係者は「これまでキャリアのエゴにつきあわされてきた。もう我々を振り回すのは勘弁してほしい」と本音を漏らす。ただ、キャリア側からしてみれば、「メーカーの経営者に世界に攻めていこうというやる気が感じられない」と、現場より経営体質そのものに問題を感じているようだ。  いま、日本のメーカーに求められているのは、キャリアからの自立。メーカーは自らの方向性、歩むべき道を見失っている状況だ。だからといって、SIMロックを解除するというそんな表面的な処置では何ら国際競争力の向上にはつながらない。割賦販売制度やSIMロック解除は、いまの日本メーカーの体力を奪い、さらなる競争力低下を招くだけにすぎない。  日本メーカーの置かれた状況には、もっと根の深いところに病巣があるようにようだ。