3年目の浮気ならぬ真価の問われる4年目突入です。
独立行政法人NEDOは今年1月9日に、東京・秋葉原コンベンションホールで「固体高
分子形燃料電池の基礎的研究開発に関するワークショップ」を開催した。自動車用
動力源、家庭用または業務用のコージェネ(熱電併給)、携帯電子機器用電源など
として汎用化が期待されている固体高分子形燃料電池(PEFC)の開発構想、課
題、研究開発事業等に関する講演、報告が行われた。
今号では、独立行政法人AIST(産業技術総合研究所)固体高分子形燃料電池基盤研
究センター(FC-Cubic)研究センター長の長谷川弘氏による報告「『燃料電池先端
科学研究』の研究開発構想」の骨子を、以下の通り紹介する。燃料電池先端科学研
究事業はNEDOの固体高分子形燃料電池(PEFC)実用化戦略的技術開発の一環とし
て、PEFCの本格普及に向けたBackToTheBasicによるBreakThroughを行う目的で平成
20年度から行われる。長谷川氏は燃料電池先端科学研究事業のプロジェクトリー
ダーへの新年度初頭正式就任が予定されている。(秋葉原発)
■▲●電極触媒、電解質材料などの革新的性能向上を目指して■▲●
★…報告「『燃料電池先端科学研究』の事業構想」=独立行政法人AIST(産業技術総
合研究所)・長谷川弘氏
燃料電池先端科学研究事業は、固体高分子形燃料電池(PEFC)に関する高度な科学
的知見を要する現象を解析するとともに、固体高分子形燃料電池の基本メカニズム
についての根本的な原理を深め、物理限界を突破するための先端的・基盤的な知見
の蓄積を行うことを目的としている。平成20~21年度の2ヵ年での実施が予定され
ており、平成20年度の事業費は9億円が想定されている。
事業の背景は、次のとおりである。
◆燃料電池の本格的普及は、温暖化対策(CoolEarth50)上、急務である。
◆燃料電池開発に関して、日本は世界をし凌ぐレヴェルにある。
◆本格的普及に向けては、小型化、高耐久化、および革新的低コスト化が急務であ
る。
事業の方針は、以下のとおりである。
◆集中的な研究とナレッジ(知識)の融合でイノヴェーション(技術革新)を目指
す。
◆若手/異分野の研究者を登用し、また世界最先端レヴェル(水準)の設備を活用す
る。
◆国内外のトップ(第一人者)研究者との連携で成果の充実を狙う。
本事業では、固体高分子形燃料電池の-
◆電極触媒、電解質材料、界面での物質移動に関して
◆革新的な計測評価技術および解析技術などを開発して
◆物質・材料および反応メカニズムを根本的に理解し
◆現状技術限界の把握と現状打破に向けての開発指針を提供する
-ことを目的とする。
また、平成21年度において、下記技術目標の確立を目指す。
①コストポテンシャル向上との両立を目指した電極触媒の革新的性能向上=電極触
媒における電気化学反応の速度論的測定手法を確立するとともに、電極触媒ならび
に担体の構造(電子構造を含む)と触媒活性・耐久性との相関性を定量的に把握す
る。
②コストポテンシャル向上との両立を目指した電解質材料の革新的性能向上=実作
動相当環境下での高次構造を解明する手段を確立するとともに、プロトン伝導、ガ
ス透過、ならびに化学的耐久性との相関を定量的に把握する。
③セル構成要素および界面における物質移動速度向上=触媒層、ガス拡散層などの
実作動相当環境下での構造解明と、これが物質移動ならびに熱・電気伝導へ及ぼす
影響を定量的に把握する。