こんにちは!福岡在住の英語・広東語講師、Andyです😊

 

突然ですが、こんな作品を知っていますか?

 

攻殻機動隊、クーロンズゲート、シェンムーII、Stray、九龍ジェネリックロマンス…

 

実はこれらの作品、全て「ある一つの実在した場所」からインスピレーションを受けているんです。

 

その場所が、香港にかつて存在した「九龍城砦(Kowloon Walled City)」。

 

 

 

 


 

日本に来てから改めて調べてみて、正直驚きました。香港で育った僕には「当たり前」すぎた場所が、日本のクリエイターたちにこれほど深く刻み込まれていたとは。

 

今日はその話をしたいと思います✍️

 

 


そもそも「九龍城砦」って何?

わずか東京ドームの約半分の土地に、推定3〜5万人が暮らしていた迷宮都市です。

 

歴史を少し振り返ると──

 

⏺ 16〜17世紀:明代の軍事拠点として誕生 ⏺ 1842年:アヘン戦争でイギリスが香港を獲得 ⏺ 1898年:新界租借の条約で「九龍城砦だけ清朝が保持する」という不思議な条文が残る ⏺ 戦後:誰も管理しない「三不管」の無法地帯に ⏺ 1950〜70年代:建物が上へ上へと積み重なり、巨大な「垂直スラム」へ ⏺ 1993〜94年:解体。跡地は現在「九龍寨城公園」に

 

「中国も、イギリスも、香港政府も管轄しない」という法的な空白が、この奇妙な場所を生み出したんですね。

 

 


 

面白いのは、当時の香港人にとって九龍城砦は「自分たちの象徴」というより、「ちょっと怖い、よその場所」という感覚が強かったこと。

 

香港人としてのローカル・アイデンティティが根付くのは1970年代以降の話で、それ以前の九龍城砦は「外から見るとエキゾチック」という存在だったそうです。

 

これ、日本から見た方が「クーロン城」への関心が強いのとちょっと似ているかもしれません 🤔

 

 


九龍城砦が日本のポップカルチャーを変えた

なぜ日本人はこんなにも「クーロン」に魅了されたのか?

 

取り壊しの際、内部に最後まで残っていたのは日本のテレビクルーだったという話があります。

 

それほど日本のメディアは積極的で、1980年代にはカルト的に伝説化し、観光バスで乗り付けてツアーをする人まで現れた。

 

その理由は明確で──「サイバーパンク的な都市」を実際に見られる唯一の場所だったからだと思います。

 

 


🎬 攻殻機動隊(1995年)

押井守監督の傑作『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』。

 

あの雨が降る路地、ネオンが反射する水面──全て九龍のイメージです。

 

押井監督自身も「無国籍感を出すためにモデルにした」と語っており、後にハリウッドの『マトリックス』にも影響を与えました。

 

 


🎮 クーロンズゲート(1997年)

PS1ゲーム『クーロンズゲート(九龍風水傳)』は、解体直前の九龍城砦をそのまま舞台にした伝説的ゲームです。

 

今なおファンが多く、「九龍ゲームの定番」として語り継がれています。

 

 


🎮 シェンムーII(2001年)

セガのDCゲーム『シェンムーII』でも九龍城砦を模した地区が登場。

 

緻密な路地の再現がプレイヤーに「本物の迷宮都市」の体験を与えました。

 

 


🐱 Stray(2022年)

猫が廃墟都市を歩くゲーム『Stray』。

 

「ウォールドシティ」と呼ばれるあの都市は、九龍城砦へのオマージュです。WIRED誌も「ありし日の九龍城砦を思わせる」と評しています。

 

人間が消えた後の都市を猫が歩く──その静けさが、解体された九龍城砦の「失われた記憶」と重なります。

 

 


📖 九龍ジェネリックロマンス(2024年アニメ化)

「もし九龍城砦が取り壊されなかったら?」というifの世界が舞台のマンガ・アニメ。

 

湿った路地、古いネオン、雑然とした部屋──あのビジュアルへの愛情が画面から伝わってくる作品です。

 

 


🎬 トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦(2023年)

香港映画で、日本でも劇場公開された大ヒット作。

 

テーマ曲の広東語歌詞がこちら:

 

「離不開,留不低」(Lei4 bat1 hoi1, Lau4 bat1 dai1) 「離れられない、でも留まれない」

 

変わりゆく場所への、捨てきれない愛着。香港という街そのものの物語だと思います。

 

 


広東語でクーロンを読んでみよう

せっかくなので、今日の話に登場した広東語を少しだけ 📚

 

✅ 九龍城砦 → Gau2 Lung4 Sing4 Zaai6(クーロンジョンザーイ) ✅ 離不開 → Lei4 bat1 hoi1(離れられない) ✅ 留不低 → Lau4 bat1 dai1(留まれない) ✅ 迷宮 → Mai4 gung1(迷宮) ✅ 三不管 → Saam1 bat1 gun2(誰も管理しない)

 

「離不開,留不低」──たった八文字に、九龍城砦で生きた人たちの複雑な感情が全部詰まっています。

 

 


おわりに

九龍城砦は1993〜94年に解体され、今は静かな公園になっています。

 

でもその「記憶」は、日本のアニメ・ゲーム・映画・マンガの中に生き続けています。

 

香港で育った僕には当たり前すぎて見えていなかったものが、日本のクリエイターたちの眼差しを通して、ようやく見えてくる。

 

日本に来てから改めてそのことに気づいて、不思議な感覚を覚えます。

 

 

 

 


広東語・香港文化に興味が出てきたら 🎤

香港の言語と文化を一緒に探求してみませんか?

 

 

 

 

Andy Chum(アンディ・チャム) 

広東語・英語のプライベートオンラインレッスン 香港理工大学卒 / TESOL資格 / 福岡在住