あるいは裏切りという名の犬 | 映画-CAN

あるいは裏切りという名の犬

最大の「敵」となった男は、かつて同じ女を愛した親友だった……

フランスの名優、ダニエル・オートゥイユとジェラール・ドパルデュー。
この渋い「オジ様」俳優が主演をつとめる男臭さプンプンのノワール犯罪劇は
実際に警察官としての経歴を持つオリヴィエ・マルシャル監督ならではの作品。
実在の事件をモチーフに緻密に練られたシナリオはこの上なく上出来で、
終わった瞬間「面白かった」という言葉が自然とこぼれた。

もちろんそんな映画をハリウッドが放っておくはずもなく
すでにリメイクが決まっている作品である(プロデューサーはロバート・デ・ニーロ)。



パリ警視庁に二人の男がいた。
BRI(探索出動班)のレオ(ダニエル・オートゥイユ)と
BRB(強盗鎮圧班)のドニ(ジェラール・ドパルデュー)だ。
彼らはかつて、カミーユという女性を愛したが彼女はレオを選んだ。
同僚からも慕われるレオと、権力志向の強いドニは今では次期長官の座を競う
宿敵となっていた。

ある日、パリで現金輸送車強奪事件が多発する。
この事件をきっかけにレオは親友、仕事、家庭、大切なもの全てを
奪われてしまう。その原因は……
一つの裏切りによって、階段を踏み外し地階へと落ちていくかのように狂い始める運命。
不ぞろいな事件が一つの線に絡みついた時、驚くべきラストが貴方を待っている。



オープニングからカットバックで進む2つの事件に頭が混乱する。
しかしその迫力とスピード感ある展開に、意味もわからず引きずり込まれる。
年代も、性別や舞台も自分から程遠い世界であるにも関わらず、
目の前に突きつけられる選択肢は、「嫉妬・欲・憎しみ・愛」から産まれた
誰もが経験し、迷い、苦悩するものばかり。
その感情のふり幅がとにかく絶妙だ。

面白いシナリオを書きたいなら「対立」と「葛藤」を書け……
といわれる。
この2つの要素がこれ程までに巧みに絡められた作品は多くはない。
面白い作品になる事は、必然だったのだ。


しかし、主役二人の鼻はデカイ!
でもその鼻以上に存在感がデカイ!
フランス映画の魅力を存分に味あわせてくれる作品は
韓国映画が大量に上映された近年映画界に
再びフランス映画を呼び戻すきっかけとなりうる秀作だ。


(2004年・フランス映画)

(芝田 佳織)


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