Sad Movie<サッド・ムービー>
燃え尽き、地面に落ちる前のその一瞬に、最高の輝きを放つ線香花火。
4組8人の男女が経験する別れの物語には、そんな切ない美しさが宿る。
主人公たちは皆、私たちと変わらない等身大の今を生きている。
不器用で想いを素直に伝えられなかったり、
一歩前に踏み出す勇気がなかなか出せずにいたり…。
消防士のジヌ(チョン・ウソン)と手話キャスターのスジョン(イム・スジョン)は、
結婚も視野に入れたカップル。
上手くプロポーズのタイミングを図れないジヌの間の悪さに、
いつかいつかと心待ちにしているスジョンはヤキモキしっぱなし。
おまけに、ジヌの仕事に危険が付きまとう事にも不満を感じている。
しかし、仕事への誇りと、彼女への愛、そのどちらか片方を諦めるという選択肢は、
ジヌには無かった…。
いつまで経ってもうだつの上がらないダメ男のハソク(チャ・テヒョン)と、
スーパーで地道に働く堅実派のスッキョン(ソン・テヨン)の気持ちは、
すれ違ってばかり。
ハソクは、どうにかしようと必死になっていたある日、ふとした事から
“別れさせ屋”稼業を思い付き、そこにやり甲斐を見出していくのだが…。
スジョンの妹スウン(シン・ミナ)は、耳が聞こえず、顔に大きな火傷の痕が有るが、
明るい気持ちを忘れずに頑張っている女の子。
そんな彼女の日々の楽しみは、遊園地で着ぐるみのバイトをしている時だけに会える、
似顔絵描きの青年サンギュ(イ・ギウ)との触れ合いだった。
本当の自分をさらけ出して、彼と対面する事が、果たしてスウンに出来るのか?
小学生のフィチャン(ヨ・ジング)は、ママ(ヨム・ジョンア)が
仕事ばかりしているのが気に入らない。
だから、ママの入院は、ママを一人占め出来る嬉しい出来事だった。
赤ちゃんの時、病気になった自分を祈るような気持ちで守ってくれたママ。
今度は僕がママを助けるんだ!と、せっせと看病に訪れるフィチャンの小さな体に、
いつの間にか、ママの大きな愛がしっかりと刻み込まれていく。
韓国映画界の豪華な面々を集めてみせた、魅力的な脚本。
それぞれが一見独立したエピソードだが、少しずつどこかでリンクし合っているのも心憎い。
「号泣してください!」と言わんばかりの予告編を先に観てしまった人は、少しお気の毒。
号泣なんてしなくても良い。
うっすらと浮かんだ涙の向こうに笑顔が滲んで見える、これはそういう趣の作品なのだ。
人は人と関わり合って生きている限り、別れを免れる事は出来ない。
どんな形であれ、それは誰もが経験する事。
だからこそ、いつまでもくよくよせずに、前を向いて歩いて行かなくては――。
別れを軸にしているがゆえに、自分を、相手をちゃんと見つめたいと思い、
また、その時間を持てた事に感謝出来る。
決して“Sad=悲しい”だけではない4つの物語が、心に強さの種を蒔いてくれた。
レントラックジャパンSad DVD もうひとつの Sad Movie <サッド・ムービー>
(2005年・韓国映画)
(川口 桂)
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