手紙
兄のせいで全てを失った。
夢も職場も、そして愛する女性さえも。
もしどこかに行けるなら……差別のない国に行きたい。
直樹(山田孝之)はお笑い芸人を目指す青年。
だがその目は暗く、社会から身を潜めるように生きてきた。
直樹の兄(玉山鉄二)は無期懲役の刑罰を受けた「殺人犯」。
両親を早くに亡くし、弟のために働きづめに働いたことにより体を悪くした兄は、
直樹の大学費用を欲しさに豪邸に押し入り、老婦人の胸をあやまって刺してしまう。
兄の罪は自分のせい……
塀の中の兄にとって弟との唯一の繋がりであり、返事を待ちわびる存在である「手紙」。
だがその手紙は直樹にとって、影のように決して逃れることの出来ない呪縛であり、
「罪を犯した家族もまた罪人」という贖罪の念を抱かせるだけの存在でしかない。
その手紙の存在に耐え切れなくなった時、直樹は苦渋の決断を下そうとするが……
毎日、報道される「殺人事件」、そして「犯人の自殺」。
そんな時代だからこそ観て欲しい。
罪を犯すという事はどういうことか、真の償いとは一体何なのか。
自分さえ償えばいいというものでなない。
罪を犯すとは、残された家族の人生をも背負い生きていくこと……
この作品で二枚目俳優ではなく「演技派俳優」としての地位を確立した
玉山鉄二の渾身の演技が私達にそう訴えかける。
どんなに悔いても決して消えることのない罪。
何より大切な弟の「全て」を奪ってしまうのはまぎれもない自分……
その言葉に出来ない想いを演じるタマテツの姿に熱い涙を流す人が溢れたなら、
私は信じたい。この世界もまだ腐ってはいない……と。
重い題材を扱ってはいるが、たくさんのラブストーリーも描いていると
監督が語るように、苦しみだけでなく、希望と愛もしっかりと
描かれている作品。
中でも沢尻エリカ演じる由美子という女性は、暗闇にさす太陽の光のように
温かい。
山田孝之、もうちょっと痩せてくれていたなら……(苦悩している若者にしては
少し太い気が・・・)と個人的には思うけれど、そんな事を差し引いても
若手俳優達の演技力の高さに今年の邦画ランキングでかなりの上位に
入る作品。
この秋は「フラガール」といい「手紙」といい邦画作品に
泣かされっぱなしである。
(この監督は「3年B組、金八先生」を撮った生野慈郎。泣かせる演出が憎い!)
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罪を犯した者やその家族だけでなく、全ての人に伝わるメッセージが
詰まっている。
それはきっと監督のこの言葉でなないだろうか。
「人間って捨てたもんじゃねぇ」……
東野 圭吾手紙
(2006年・日本映画)
(芝田 佳織)
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