初恋
1968年12月10日、午前9時15分頃。事件は起こった。
「3億円事件」
現金輸送車に積まれていた東芝府中工場の社員に支給されるはずのボーナス3億円が
工場まで後少しという所で偽の警察官に強奪された。
犯人が残した遺留品は60点以上、モンタージュ写真も公開され
事件は早期に解決されると思われた。
しかし、捜査員延べ17万1250人を導入したにもかかわらず、
1975年12月10日、時効は成立する。
強奪された3億円は未だ一円も使われていない……
この昭和犯罪史上最大のミステリーの犯人が、18歳の女子高生だったとしたら?
02年に中原みすずにより書かれた小説「初恋」を読み、10代最後の出演作にと
切望した宮﨑あおいの主演作。
中原 みすず初恋
母親に捨てられ、叔母の家に預けられたみすずは、友達もいない孤独な少女だった。
ある日、新宿のジャズ喫茶Bで謎めいた東大生、岸とその仲間達に出会う。
初めて「仲間」という居場所を得たみすずに、ある日、岸は相談をもちかける。
「俺は権力を憎んでいる。権力に頭で勝負をしたい。3億円を強奪しないか?」
初めて「お前が必要だ」と言ってくれる相手に出会ったみすずは
岸のため、計画にのめりこんで行く。
1968年12月10日。雨天決行。
みすずは男物の警察官の衣装に身を包んだ……
「団塊の世代」と呼ばれるおじ様達が青春をすごした頃。
それは学生運動の激化、ベトナム戦争勃発など激動の時代だった。
そんな時に起きたこの事件の犯人が女子高生だったという発想には
驚かされる。本当に題材はかなり面白い!
ただ、心理的なものが多いため、映像にする意義はあまり感じられない。
小説だったらもっと泣ける気がする。
(時代背景的にも結構重い題材だし)
演出か演技か……何かが惜しいのだ。
学生たちが命懸けで世間にはむかい、闘っていた意義。
その描き方も少し不十分で物足りない。
ただ、どんな辛い事があっても「泣く」ことをしなかった少女、みすずが
岸の「愛」を知った時に初めて見せる涙のシーンはぐっときた。
(音楽が大げさで「さあ泣け~!」っていう演出が気になるが)
人を愛する気持ちに時効はない。
人は人生で一度でも誰かに愛されたなら生きていける。
いや、一度でも誰かを本気で愛したなら生きていけるのか。
きっとその一瞬は永遠になる。
誰一人怪我人も出さず、誰一人損をする事なく(ボーナスは保険で払われた)、
いまだ一円も使用されていない。
そんな永遠に解決されない事件の裏に、初恋という永遠に消えない
切ない想いがあっても不思議ではない。
謎に包まれた大事件の1つの答えとしては上出来だ。
みすずの兄を演じるのは宮﨑あおいの実兄・宮﨑将。
「EUREKA(ユリイカ)」以来の実の兄妹共演も要チェック!
メディアファクトリーユリイカ(EUREKA)
(2006年・日本映画)
(芝田 佳織)
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