ナイロビの蜂
「じゃ2日後に」…そう言って送り出した妻が、無惨な死体で発見された──。
ナイロビに駐在する外交官のもとに届けられた、あまりにも突然の悲しい知らせ。
救援活動家である彼女に同行していた黒人医師が行方不明になっていることから、
警察はありふれた殺人事件だと片付けようとするが、夫は大きな陰謀の匂いを感じ、
独自に調査を始めるのだった。
「シティ・オブ・ゴッド」(2002年)で世界中に衝撃を与え、
一躍その名を轟かせたブラジル人監督、フェルナンド・メイレレスが、
冒険小説の巨星ジョン・ル・カレの代表作を、
レイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズら最高のキャストを得て映画化。
これを観れば、前作がまぐれでなかったことが、よく分かる。
アスミックシティ・オブ・ゴッド DTSスペシャルエディション (初回限定2枚組)
ジョン ル・カレ, John Le Carr´e, 加賀山 卓朗ナイロビの蜂〈上〉
ジョン ル・カレ, John Le Carr´e, 加賀山 卓朗ナイロビの蜂〈下〉
ラブ・サスペンスと位置付けられる映画は他にも多数有るが、
本作が抜きん出ているのは、恋愛ドラマの要素とサスペンスの要素、
双方が一歩も引けを取らずにせめぎ合い、かと言って邪魔にならず、
ラストには互いが無くしては成立し得ない感動をもたらすからだろう。
先進国の利益のために犠牲になっても良い命などない。
貧しいアフリカの人々を守ろうと奔走した妻の足取りをなぞる過程で、
夫の前につまびらかにされていく彼女の揺るぎない正義感と愛。
純粋に平和を願う小さき者が、富を追求する巨大な権力に淘汰されていくのが
世の現実なのか、否、そこに希望の芽は有るのか。
平和な国に住まう人たちこそ考えるべきことが、彼女の実像と共に浮かび上がる。
この作品でアカデミー助演女優賞を受けたレイチェルは、
すでに過去になってしまったかけがえのない女性を、
母性を感じさせる深い愛情をたたえて演じ切っている。
回想の中の女性に厚みを持たせた確かな演技力と存在感が、
真相に辿り着いた夫や私たちすべてを優しく包み込み、心を捉えて離さない。
(2005年・イギリス映画)
(川口 桂)
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