ドア・イン・ザ・フロア
彼の自伝的小説でもあり、4年の歳月をかけ書かれた渾身の一作「未亡人の一年」
の映画化。
この作品は多数のオファーを受けながら、アーヴィング本人がなかなか
OKサインを出さなかったため、映画化は困難だと思われた。
しかし、トッド・ウィリアムズの「前半のみを映画化する」というアイデアと、
丹念に練られた脚本に心動かされ、初めてアーヴィングが首を縦に振った作品である。
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ワーナー・ホーム・ビデオガープの世界
角川エンタテインメントサイダーハウス・ルール DTS特別版
ジョン アーヴィング, John Irving, 都甲 幸治, 中川 千帆未亡人の一年〈上〉
「ドア・イン・ザ・フロア」=「床の上のドア」。
誰の人生にも開けてはならない闇への扉が床下に存在し、
その扉を閉めたままにしておきたいと願うが、
時としてそこへ行かねばならないことがある……
児童文学作家として名声を得たトッド。
彼は美しい妻マリアンと4「歳の娘ルースと共に裕福な邸宅に住んでいる。
廊下には数々の家族写真が並び、幸せそのものに見える。
しかし、トッドとマリアンの関係は修復しがたい所まで来ていた。
マリアンは数年前のある事故により、精神的に深い傷を負い心を閉ざしてしまっているからだ。
そんな時、作家志望の高校生、エディがトッドの助手として一夏を過ごす事となる。
彼はいつしか物憂げで美しいマリアンに恋焦がれていく。
そしてマリアンも彼を受け入れる。情事を重ねていく二人。
自らも浮気相手との情事を重ね、妻と弟子との関係を黙認するトッド。
マリアンは少しずつ明るさを取り戻していたかの様に思われた。
しかしエディが事件について尋ねた時、マリアンは石の様に無反応になってしまった。
そして……
美しき妻、マリアンを演じるのは「L.A. コンフィデンシャル」でアカデミー賞を
受賞したキム・ベイシンガー。
トッドには4度のアカデミー賞ノミネートを誇る名優、ジェフ・ブリッジス。
ポニーキャニオンL.A.コンフィデンシャル
「喪失感」……
マリアンに一番感じたのはこの感覚だった。
いや、マリアンだけではなく、トッドを含めこの一家全てにだ。
決して取り戻す事が出来ないもの。何故、あの時……
心の喪失感はいくら若い男から求められようとも、愛人を作ってみようとも
埋められる物ではない。
一時的には埋められるだろう。
しかしその行為はいずれ、自分を余計に追いつめ、床の上のドアを開ける決意へと
繋がってしまうのか……
とても奥深い感情が根底に流れ、やはり「小説」が原作だなあと思わせる。
この感情を映像に映し出す事は確かに困難だっただろう。
そう考えると見事なキャスティングだったのではないか。
キム・ベイシンガーじゃなかったら、こんなに入れなかった。
女として美しく、喪失感がよく似合う。
確かに難しい作品だと思う。
人間の複雑さや自分勝手さを観せられる。
結局それでいいのか?と問題提起で終わられている気もする。
わかるようでわからない。
でもそこを見事に表現している映画なんだと思う。多分?
とても「大人な」映画である。
最近、大人のいい映画が少なくなったので
たまには「わかる様なわからない様な」そんな雰囲気のある
大人の映画を楽しむのもいいんじゃないかな。
(2004年・アメリカ映画)
(芝田 佳織)
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