マシニスト | 映画-CAN

マシニスト

主演のクリスチャン・ベールが、命懸けで30キロ減量し、演技の限界に挑んだ
サイコ・スリラー。
アミューズソフトエンタテインメントマシニスト

工場勤めの機械工トレバー(ベール)は、不眠症の為に、もう1年も眠っていない。
骸骨さながらに痩せ細った体で、厳しい労働に従事する、この地味な男の周りで、
ある時から不可解な事が起こり始める。
独り暮らしの自宅の冷蔵庫に、何者かが貼っていった謎のメモが見付かったかと思えば、
職場では誰かに仕組まれたかのような事故が起こり、同僚が片腕を切断してしまう。
それと並行するように、アイバンと名乗る男が現れる。
トレバー以外は誰一人として目撃した者のいないアイバンは、一体何者なのか?
そして、彼は一連の出来事に関わっているのか?

公開当時、まさに骨と皮のみになったベールの激ヤセぶりが話題になったが、
実際に映像で見ると、それはそれは凄まじい。
この体つきで働いているという設定だけで、「この人、大丈夫だろうか?」と
不安な気持ちを掻き立てられる。
が、せっかく痩せたベールには申し訳ない事を言わせてもらう。
ここまで極端に痩せる必要は無かっただろうに…(スティーブン・キングの
「痩せゆく男」に出してあげたい)。
まぁ、それくらい彼を眠らせない“何か”が有るわけなんだけれども。
ジェネオン エンタテインメント痩せゆく男

さて、この映画、その“何か”に辿り着くまでの過程に、いろんなクエスチョンが
ばらまかれていて、「おいおい、あまりじらすなよ」って気分にさせてくれる。
そうなると、後はオチのつけ方。
ここをしくじると、評価が180度違ってしまう。
私の場合、トレバーに追跡されるアイバンの車が、無茶な走りをしているのに
○○○って所で(ネタバレになるので伏せ字)、何となく結末が読めてしまい、
そこからちょっと予定調和的に展開を追う事になってしまったのが残念。
そうでなければ、このオチはもう少し受け入れられたのかもしれない。
いや、ここ数年で多用されたオチで、意外性が無かったからいけなかったのか。

ただ、画面の質感など、映画全体に漂う雰囲気には惹き付けられた。
その中でも、最も印象に残ったのは、雲の映し方。
どんよりした曇り空、爽やかな青空など、天候は違えど、どのシーンでも雲が
全く動かないのだ。
トレバーにとっての時間の流れを意図しているのだろうかと、勝手に解釈してみた。
同じサスペンス映画でも、「黙秘」(1995年)では雲の動きをスピーディーに映す事で、
ストーリーを効果的に盛り上げていたのを思い出した。
ワーナー・ホーム・ビデオ黙秘

(2004年・スペイン/アメリカ映画)

(川口 桂)