ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]
アメコミの老舗、マーベル・コミックス発の最新作は、“ワン・フォー・オール、
オール・フォー・ワン”精神で闘うユニット物。
原作者のスタン・リーが、それまでのヒーロー物とは一線を画した物語を目指した
結果、生まれたのが、ファンタスティックな4人組だ。
ごくごく普通の人間が、宇宙嵐の実験中、放射線を浴びて、特殊な能力を身に付ける。
天才科学者のリード(「キング・アーサー」のヨアン・グリフィズ)は、まるでゴム男の
ように伸縮自在の“Mr.ファンタスティック”に。
リードの元恋人で、科学者のスー(ドラマ「ダーク・エンジェル」のジェシカ・アルバ
)は、
透明人間になったり、バリアを張る事の出来る“インビジブル・ウーマン”に。
スーの弟で、パイロットのジョニー(「セルラー
」のクリス・エヴァンス)は、燃え盛る
炎の塊となって、超高速で飛行する“ヒューマン・トーチ”に。
リードの相棒のベンは、外見は岩男、気は優しくて力持ちの“ザ・シング”に。
しかし、あの事故で力を授かったのは、彼らだけではなかった。
リードのスポンサーである実業家のビクターは、メタリックな体であらゆるパワーを
吸収し、破壊光線を発する“Dr.ドゥーム”となっていたのだ。
実験の失敗から立場を危うくしていたビクターは、再び権力を握ろうと、手に入れた力を
悪用し始める…。
原作は、昨年公開されたディズニー・アニメ「Mr.インクレディブル」にもヒントを
与えた事で知られるが、ヒーローであるがゆえの悩みなど、感情の深い部分の
描き込みは、アニメの方が勝っている。
その点で、匹敵するキャラクターがいるとすれば、“ザ・シング”ぐらいだろうか。
民衆が彼をヒーローとして称える一方で、いつも傍らにいた妻は、彼の許を去って行く。
醜く変貌した外見を忌み嫌って…。
強く信じていた者に裏切られた気持ちが、その後の言動の裏付けにもなっている。
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメントMr.インクレディブル
だけど、基本は“お気楽なヒーロー物”。
取り立てて意外性も無いストーリーを、飽きさせずに最後まで見せ切る
エンターテインメント性は、製作にクリス・コロンバス(「ホーム・アローン」
「ハリー・ポッター 賢者の石」の監督)が名を連ねている事でも納得だ。
全て予定調和の展開なので、各キャラクターの能力の見せ方がモノを言う。
大掛かりなVFXから、死力を尽くすインビジブル・ウーマンが流す鼻血といった
細かい演出まで、いろいろと工夫が凝らしてある。
そして、愛すべきは、ユーモア担当のヒューマン・トーチ。
お調子者の彼が登場する度に、何を喋り、何をやってくれるのかと期待してしまう。
飄々と演じるクリス・エヴァンスは、ハリウッドが期待するのも頷けるほど、魅力的な
若手スターだ。
もし、パート2が出来るなら、是非、彼のキャラクターもパワーアップさせてほしい。
「スター・ウォーズ」のダース・ベイダーの原点とも言われる悪役が、あまり脅威に
感じられない事が、少し足を引っ張るけれど、何も考えずに、その場限りで楽しむには、
もってこいの映画だろう。
(2005年・アメリカ映画)
(川口 桂)