アルジェント、ロメロに学ぶ、恐怖のテクニック | 映画-CAN

アルジェント、ロメロに学ぶ、恐怖のテクニック

ダリオ・アルジェント、ジョージ・A・ロメロ。
その名を聞いただけでも、ひれ伏してしまうホラー映画ファンはたくさんいるだろう。
そろそろ夏休みも終わり。
これからは、オトナだってじっくり映画を楽しみたい、そんな季節。
さぁ、2大巨匠の創り出した恐怖の世界に、入ってみようじゃないか。

最初の扉を開けると……そこは新鮮な肉に飢えたモノたちの海だ。
ゾンビ映画の生みの親、ロメロが満を持して送り出すのは、8月27日公開の「ランド・オブ・ザ・デッド」。
「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」(1968)「ゾンビ」(1978)
「死霊のえじき」(1985)の三部作に続く、ゾンビ最新作である。

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舞台は近未来の地球。
突然蘇った死者(ゾンビ)の集団が、人間たちを襲い始める。
しかし、恐怖に慄きながら暮らす貧困層をよそに、富裕層は傭兵を雇い、高層ビルで優雅に暮らしていた。
当然の事ながら、貧困層の中に、不満を持つ者が現れ出す。
そして、ゾンビにも何かが起こり始めていた…。

ホラー映画に或る種の社会性を持たせる事で、独自のスタンスを築き上げてきたロメロ監督。
そのテイストは、本作にもしっかりと受け継がれているようだ。
自分たちの生活を脅かす存在(ゾンビ)に立ち向かわなければならない時に、内部分裂

(富裕層vs貧困層)を起こしているなんて、どこかで聞いたような話ではないか。

では、次の扉を…。
おお、なんとおぞましい!
殺人事件が蝋人形で再現されているではないかっ!!
この秋、古典ホラーの傑作「肉の蝋人形」がリメイク版となって、日本に上陸する。
オリジナル版を併せると4度目の映画化だが、1997年に公開されたのが、
その3本目となるアルジェント版(製作・原案)「肉の蝋人形 」である。

蝋人形館で働く美しい娘・ソニアは、その生々しさに気味の悪さを感じていた。
やがて、館で奇妙な事が起こり始め、ソニアは恐ろしい真相に辿り着くのだった…。

アルジェントの創り出す、背筋の凍るような恐ろしさの陰には、彼独特の美学が貫かれている。
イタリアン・ホラーの第一人者としての地位を確立した「サスぺリア」(1977)は、
映像的な美しさゆえに、一層の恐怖を掻き立てていた。
この「肉の鑞人形」とて例外ではない。
美と恐怖は、表裏一体。
それを教えてくれたのが、アルジェントのホラーなのである。

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ふぅ…。2つの扉を通り抜けたら、すっかり疲れてしまった。
そう言えば、最初の扉の中に、アルジェントの娘・アーシアがいたっけ。
埋もれかけていたロメロの才能を見出したのが、アルジェントだから、そのご縁って事なんだろう。
ちょっと嬉しい“くすぐり”だった。

(川口 桂)