バグダット空港のすぐ外にあるアメリカ軍用の食堂「ペガサス」の話。

戦地での食事は命の危険に常にさらされている兵士にとって、
数少ないリラックスできる機会。
ただ、軍隊の食事は一般的に腹が見たさればが良いという最低限のもので、
軍には昔から「軍隊は腹で動く」ということわざがあるくらいです。

ペガサスはそんな軍の食堂とは一線を画します。
簡素な白壁にはスポーツチームの旗で飾られ、
テーブルには緑のクロスがかけられたり、
給仕はシェフ用の帽子を被ってるなどです。

また、ペガサスの料理は美味しい!と評判ですが、
驚くべきことに他の基地食堂と全く同じ配給食材を使っています。
では、味の違いはどうして生まれるのか?

その秘密は「スタッフの仕事への取組み姿勢」にあります。

配給された果物はそのまま出されるのではなく、
痛みや熟成度を見て選別され、
より美味しいフルーツの盛り合わせが作られます。
日曜にだけ出される ステーキは2日前からタレに漬け込まれます。
主菜の味を引き立てる香辛料をアメリカの地元から
独自に取り寄せるシェフもいます。

つまり、兵士に食事を楽しんでもらうために
それぞれが創意工夫をしているのです。

では、なぜそういうことができるのか?
食堂の責任者フロイド・リーは言います。

「私は食事サービスの責任者だけでなく、
 軍の士気を高める責任者でもあると思っている」

つまり、リーはマズローの欲求でいう
「超越」を目指しているというわけです。

このビジョンが食堂のスタッフにも伝わり、
食事を出すという「作業」を超えて、
仕事に対して「創造性」を発揮するようになっています。

このことは、「働く」ことに対して、
一つの価値観を提供していると思います。

仕事を単なる仕事だけで捉えて働くよりも、
その仕事に自分なりの「使命」を見出すことができれば、
仕事を楽しめるようになり、成果も上がる可能性が高まります。

仕事の内容が魅力的でなくても、
どんな仕事でも使命を見出すことは可能です。
考えてみれば戦地の食堂は料理人にとって最も就きたくない仕事でしょう。
でも、リーは「砂漠にオアシスを作る」という使命を見出すことにより、
より創造的な仕事のやり方を作っているのです。