学而第一 003


子の曰(のたま)わく、巧言令色(こうげんれいしょく)、鮮(すく)なし仁。


言葉遣いの上手さや見かけの良さよりも、大切なものがある。


孔子さんは、「巧言令色」だけでは駄目だよとおっしゃっています。


父の初めての後継経営者教育というより親として賛否両論あります(笑)が、私が19歳の時に初めて高級クラブに連れていってもらいました。社会勉強として、つべこべ言う前にまず体験させること、実践させることを、50代になった父が息子へ与えた初めての経営者教育でした。


銀座の高級クラブでは、本当に「巧言令色を自分のものにしているなぁ」と感じます。それでもって、お客様のストレスを解放させてあげたり、お客様に勇気を与えたり、どの世界にも一流がありますが、要は上辺だけの巧言令色で戦っていないんですね。お客様の心に入り込んでくるんです。


私は今、この言葉を女性に対して、美だけを売りにして生きてしまうと、行き詰る時がきてしまうと伝えるのに使ったりします。社会(周囲の人)がその女性を美しい美しいと持てはやして、その女性自身も社会に流されてしまって、結果として「美」しか売りにできない人間になってしまうのは不幸に思うんですけどね、「仁」に気が付かないモデルさんや女優さんによく当てはまります。



そんな甘い誘惑に騙されないようにと父は言いました。巧言令色に騙されないことも重要、巧言令色を使いこなすことも重要、つまり欲望に打ち勝つために試す場が高級クラブだったようです。


特に20代の頃は海外で様々な経験をしました。


仕事でニューヨークに来る経営者の方々の接待として、キャバクラに行った時のことです。若い頃ですので背伸びをする勢いというものでしょうか、女性には目もくれず、接待する経営者のお客様に対して気を遣い、他の入店客のリサーチまで行い、何がニューヨークで現在流行っているのかを勉強したいほど、ビジネスに対して熱心でした。


すると経営者の先輩が「いや、真面目すぎるのもつまらんなぁ、人間味がないなぁ」とおっしゃりました。


そこからが、「巧言令色」との戦いです!


いかにキャバクラで楽しんでいるかのように見せかけて欲望に勝つかです。そして、頭脳だけでなく、人として賢くならねば、立派な経営者の方とお付き合いできないんだと学びました。


すると周りもよく見えてきます。真面目に生きてきたサラリーマンが、「巧言令色」で簡単に落ちていく様子や、接待そっちのけで自分が楽しんでいる営業マンが見えてきます。

例えば、「これは儲かるビジネスだよ!」「これはあなたを幸せにする商品だよ!」


そんな営業マンの誘惑にも、その心を常に問えば、冷静に分析する時間を得ることができます。


ANDY節ですが、この続きはまたの機会に。



子曰、巧言令色、鮮矣仁  3/499