コロビタ78錠目
伝説のスピーチ
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ジョブズのスピーチが
伝説
とされているけれど
ぼくはそれよりも
タモリさんの
赤塚不二夫さんへの
弔辞こそ
伝説だと思ってる
今日は
その全文を
ここに載せたいと思うんだ
朝早い時間で
忙しいかもしれないけど
この原稿は
じっくり
味わいながら
読んでほしい
ハンカチか
ティッシュを用意してね
弔辞
8月2日にあなたの訃報に接しました
6年間の長きにわたる闘病生活の中で
ほんのわずかではありますが
回復に向かっていたのに
本当に残念です。
われわれの世代は
赤塚先生の作品に影響された
第1世代といっていいでしょう
あなたの今までになかった作品や
その特異なキャラクター
私たち世代に強烈に受け入れられました
10代の終わりから
われわれの青春は
赤塚不二夫一色でした。
何年か過ぎ
私がお笑いの世界を目指して
九州から上京して
歌舞伎町の裏の小さなバーで
ライブみたいなことをやっていた時に
あなたは突然私の眼前に現れました。
その時のことは今でもはっきり覚えています。
赤塚不二夫が来た。
あれが赤塚不二夫だ。
私を見ている。
この突然の出来事で
重大なことに
私はあがることすらできませんでした。
終わって私のところにやってきたあなたは
「君は面白い。
お笑いの世界に入れ。
8月の終わりに僕の番組があるから
それに出ろ。
それまでは住むところがないから
私のマンションにいろ」
と、こう言いました。
自分の人生にも
他人の人生にも影響を及ぼすような
大きな決断を
この人はこの場でしたのです。
それにも度肝を抜かれました。
それから長い付き合いが始まりました。
しばらくは毎日新宿の
「ひとみ寿司」
というところで
夕方に集まっては
深夜までどんちゃん騒ぎをし
いろんなネタを作りながら
あなたに教えを受けました。
いろんなことを語ってくれました。
お笑いのこと
映画のこと
絵画のこと。
他のことも
いろいろとあなたに学びました。
あなたが私に言ってくれたことは
いまだに私にとって
金言として心の中に残っています。
そして仕事に生かしております。
赤塚先生は本当に優しい方です。
シャイな方です。
麻雀をする時も
相手の振り込みであがると
相手が機嫌を悪くするのを恐れて
ツモでしかあがりませんでした。
あなたが麻雀で勝ったところを
見たことがありません。
その裏には強烈な反骨精神もありました。
あなたはすべての人を
快く受け入れました。
そのためにだまされたことも
数々あります。
金銭的にも大きな打撃を受けたこともあります。
しかし
あなたから
後悔の言葉や
相手を恨む言葉を聞いたことはありません。
あなたは私の父のようであり
兄のようであり
そして時折見せる
あの底抜けに無邪気な笑顔は
はるか年下の弟のようでもありました。
あなたは生活すべてがギャグでした。
たこちゃん(たこ八郎さん)の葬儀の時に
大きく笑いながらも
目からはぼろぼろと涙がこぼれ落ち
出棺の時
たこちゃんの額をぴしゃりと叩いては
「この野郎、逝きやがった」
と、また高笑いしながら
大きな涙を流していました。
あなたはギャグによって
物事を動かしていったのです。
あなたの考えは
すべての出来事
存在を
あるがままに前向きに肯定し
受け入れることです。
それによって人間は
重苦しい陰の世界から解放され
軽やかになり
また
時間は前後関係を断ち放たれて
その時、その場が
異様に明るく感じられます。
この考えをあなたは
見事に一言で言い表しています。
すなわち
「これでいいのだ」と。
今、2人で過ごした
いろんな出来事が、場面が
思い浮かんでいます。
軽井沢で過ごした何度かの正月
伊豆での正月
そして海外への、あの珍道中。
どれもが本当に
こんな楽しいことがあっていいのかと
思うばかりのすばらしい時間でした。
最後になったのが
京都五山の送り火です。
あの時のあなたの柔和な笑顔は
お互いの労をねぎらっているようで
一生忘れることができません。
あなたは今この会場のどこか片隅で
ちょっと高い所から
あぐらをかいて、ひじを付き
ニコニコと眺めていることでしょう。
そして私に
「おまえもお笑いやってるなら
弔辞で笑わしてみろ」
と言ってるに違いありません。
あなたにとって
死も
1つのギャグなのかもしれません。
私は人生で初めて読む弔辞が
あなたへのものとは
夢想だにしませんでした。
私はあなたに生前お世話になりながら
一言もお礼を言ったことがありません。
それは肉親以上の関係であるあなたとの間に
お礼を言う時に漂う
他人行儀な雰囲気がたまらなかったのです。
あなたも同じ考えだということを
他人を通じて知りました。
しかし、今、
お礼を言わさせていただきます。
赤塚先生
本当にお世話になりました。
ありがとうございました。
私もあなたの数多くの作品の1つです。
合掌。
平成20年8月7日、森田一義
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てことで
今日のコロビタ
これでいいのだ
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この言葉こそ
全てを受け入れる
魔法の呪文なんじゃないかな
そして
この弔辞
読んでるフリして
すべて
白紙
すべて
アドリブだったっていう噂も
タモリさん
ほんとすごいなぁ
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