シベリアの夜長を古代史に夢を馳せて〜その257〜 |  アンドロゴス生涯学習研究所

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今回から、ホツマツタヱの解説、20アヤに入りたいと思います。
まずはPart1

本文から行きます。

●一行訳1

20-1 すめみまこトくさゑるアや  スメミマコトクサヱルアヤ 【スメ、統・ミ(寧)マコ、孫・ト〔十〕クサ、種・ヱル、得・ア〔敬〕ヤ、統御孫十種得るアヤ】
20-1 フソムすゝ そムゑヨそヒホ フソムスス ソムヱヨソヒホ 【フ〔二〕ソ〔十〕ム〔六〕スス、二十六鈴】、【ソ〔十〕ム〔六〕ヱ、枝・ヨ〔四〕・ソ・ヒ〔一〕ホ、穂、十六枝四の一穂】
20-1 としきやゑ やよいかすがの トシキヤヱ ヤヨイカスガノ 【トシ、歳・キヤヱ、歳キヤエ】、【トシ、歳・キヤヱ、歳キヤエ】【ヤヨイ、三・カスガ・ノ、弥生・(大和路の)カスガ(オモイカネ)が】、
20-1 としをいて まつりやすまん トシヲイテ マツリヤスマン 【トシ、歳・ヲイ、老・テ、歳をとったので】【マツリ、祭・ヤスマ、休・ン(意思)、(先祖の)祭を辞退したいと求める】、
20-2 ことわりに アまてらします コトワリニ アマテラシマス 【コトワリ、理・ニ、事情があり】、【ア〔天〕マ・テラシ、照・マス、坐(枕)、アメを照らし坐す、領地を統括する】
20-2 おしほみゝ みこハくしたま オシホミミ ミコハクシタマ 【オシ、忍・ホ、穂・ミ(寧)・ミ、身、オシホミミは】、【ミ(寧)コ、子・ハ・クシ、櫛・タマ、珠、御子のクシタマ】
20-2 ホのあかり いみなてるヒこ ホノアカリ イミナテルヒコ 【ホ〔炎〕ノ・アカリ、明、ホノアカリ】、【イミ、諱・ナ、名・テル、照・ヒ〔人〕コ、彦、イミナはテルヒコを】、
20-2 くたさんと ちゝみつからの クタサント チチミツカラノ 【クタサ、下・ン(意思)・ト、(大和路に)下さんとして】、【チチ、父・ミツカラ、自・ノ、父(オシホミミ)自らの】
20-3 つげふみお かくやましかに ツゲフミオ カクヤマシカニ 【ツゲ、告・フミ、文・オ、命令書を】、【カ、香・ク、久・ヤマ、山・シカ、使・ニ、香久山の使者に】
20-3 たてまつる ふみにもふさく タテマツル フミニモフサク 【タテマツル、奉、託しました】。【フミ、文・ニ・モフサ、申・ク、文に曰く】、
20-3 みつからが あしハらくにお ミツカラガ アシハラクニオ 【ミツカラ、自・ガ(オシホミミ)自身で】【アシ、悪・ハラ、腹・クニ、国・オ、不満のある国を】
20-3 ヲさめんと よそふまにたみ ヲサメント ヨソフマニタミ 【ヲ〔尊〕サメ、治・ン(意思)ト、治めようと】、【ヨソフ、装・マ、間・ニ・タミ、民、支度をしているうちに、タミが】
20-4 あつまりて ひたとゝむゆえ アツマリテ ヒタトトムユエ 【アツマリ、集・テ、集まってってきて】【ヒタ、直・トトム、止・ユエ、故、ひたすらに引き止めるので】
20-4 てるひこお くだすべきやと テルヒコオ クダスベキヤト 【テル、照・ヒコ、彦・オ、テルヒコを】、【クダス、下・ベキ(当然)・ヤ(疑問)・ト、派遣するべきだろうかと】
20-4 うかゞゑハ いせのをんかみ ウカガヱハ イセノヲンカミ 【ウカガヱ、伺・ハ、お伺いをたてると】【イセノヲ〔敬〕ンカミ、イセの御守(アマテルの神官)は】
20-4 きこしめし ゆるせハしかの キコシメシ ユルセハシカノ 【キコシ、聞・メシ、召、聞き届け】、【ユルセ、許・ハ・シカ、使・ノ、許したので使者に】
20-5 かえことす こゝにとをやの カエコトス ココニトヲヤノ 【カエ、返・コト、事・ス、回答させた】。【ココ、此・ニ・ト、外、ヲ〔敬〕ヤ、親・ノ、ここに外祖父の】


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●連続訳1
統御孫十種得るアヤ
二十六鈴十六枝四十一穂、歳キヤエ、弥生、(ヤマトの)カスガ(オモイカネ)が、歳をとったので、先祖の祭を辞退したいと求める事情があり、領地を統括する、オシホミミは、御子のクシタマホノアカリ、イミナはテルヒコを、大和路に下さんとして、父(オシホミミ)自らの命令書を、香久山の使者に託しました。
文に曰く、オシホミミ自身で悪腹国(あしはらくに、不満のある国)を治めようと、支度をしているうちに、タミが集まってってきて、ひたすらに引き止めるので、テルヒコを派遣するべきだろうかと、お伺いをたてると、イセの御守(アマテルの神官)は聞き届け、許したので勅使に回答させました。

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●解説1



アメ族はアマツヒツギを禅譲するので、複雑なタイミングが発生し、マサカキコヨミについては、これまで良くわかっていませんでした。
要は、後世の「〜天皇何年」という発想に近いものになっているのです。
困ったことに、年齢を表すのに、鈴と穂で表現しますので、よほど注意して読まないと、辻褄があわなくなってしまいます。
私も、このアヤは何度も読み返しているのですが、今回もあらたな発見により、徐々に訳文が正確になって行くのがわかりました。
枕詞で「アマテラシマス」などと出てきただけで、あー、アマテルはおそろしく長生きだー、などと思ってしまうのですよ、これが。

さて、上で「領地を統括する、オシホミミ」と書いたのですが、池田満氏の主張したような「ニ朝廷並立」などという状態はなかったということなのです。
オシホミミは存命であり、オオヱキミ(上皇)であり、アメ族全部の地域で権力を持っていた、ということになります。

さらに、はっきりさせておくと、このとき、アスカ(クシタマホノアカリ)はアマツヒツギをニニキネに譲位した直後であったと考えられ、位が軌道に宣るまで、アスカとニニキネは協力して事態に対処したと考えられます。


●一行訳2

20-5 かえことす こゝにとをやの カエコトス ココニトヲヤノ 【カエ、返・コト、事・ス、回答させた】【ここに外祖父の】
20-5 あまつかみ トくさたからお アマツカミ トクサタカラオ 【アマ、雨・ツ・カミ、上、(ここではカンミ)御上が預かった】【ト〔十〕クサ、種・タカラ、宝・オ、(ヤソキネは)十種の宝を】、
20-5 さつけます おきつかがみと サツケマス オキツカカミト 【サツケ、授・マス、授けさせた】【オキ、沖・ツ・カカミ、鑑、ト、沖の鏡と】、
20-5 へつかがみ むらくもつるぎ ヘツカカミ ムラクモツルギ 【ヘ、辺・ツ・カガミ、鑑、辺の鏡】【ムラ、群・クモ、蜘・ツル、連・ギ、長、叢雲剣】、
20-6 うなるたま たまかえしたま ウナルタマ タマカエシタマ 【ウ、鵜・ナル、成・タマ、鵜成る玉】【タマ、霊・カエシ、還・タマ、霊還玉】
20-6 ちたるたま みちあかしたま チタルタマ ミチアカシタマ 【チ、乳・タル、垂・タマ、玉、乳垂る玉】【ミチ、道・アカ、明・シ、石・タマ、玉、路明石玉】、
20-6 おろちひれ はゝちしむひれ オロチヒレ ハハチシムヒレ 【オロ、愚・チ、道・ヒレ、愚道領巾】【ハハ、母・チ、道・シム、染・ヒレ、母道染領巾】、
20-6 このハヒれ このとくさなり コノハヒレ コノトクサナリ 【コ、此・ノ・ハ〔衣〕ヒ〔人〕レ、木の葉領巾】【コ、此・ノトクサナリこの十種です】。
20-7 いたむこと あらハヒフミヨ イタムコト アラハヒフミヨ 【イタム、悼・コト、事、人の死を悼むことが】【アラ、有・ハ・ヒ〔一〕フ〔二〕ミ〔三〕ヨ〔四〕、あったなら一・ニ・三・四】
20-7 ヰムナヤコ トまてかぞえて ヰムナヤコ トマテカゾエテ 【ヰ〔五〕ム〔六〕ナ〔七〕ヤ〔八〕コ〔九〕、五・六・七・八・九】【ト〔十〕マテ、迄・カゾエ、数・テ、十まで数えて】、
20-7 ふるゑたゝ ゆらゆらふるゑ フルヱタタ ユラユラフルヱ 【フルヱ、振・タタ、振りなさい・ただ】【ユラユラ(態)フルヱ、振、ゆらゆら振るのです(漫然とこれらの文書を読みなさい)】。
20-7 かくなせバ すでにまかるも カクナセバ スデニマカルモ 【カク、斯・ナセ、為・バ、このようにすれば】【スデ、既・ニ・マカル、罷・モ、死んでしまった者も】、
20-8 よみかえる ふるのことぞと ヨミカエル フルノコトゾト 【ヨ、黄・ミ、泉・カエル、還、(迷わず)黄泉に還る】、【フル、古・ノ・コト、事・ゾ・ト、昔からの言い伝えです・と】。
20-8 みことのり なかくにのかみ ミコトノリ ナカクニノカミ 【ミコトノリ(キミは)言われました】、【ナカ、中・クニ、国・ノ・カミ、ナカクニ(近畿地方)の御上達は】、
20-8 こばまんお ふせぐともかみ コバマンオ フセグトモカミ 【コバマ、拒・ン(推量)・オ、拒むかもしれませんが】、【(諍いを政治的に)防ぐ(家族の)御上である】、
20-8 かぐやまハ やますみのフこ カグヤマハ ヤマスミノフコ 【カ、香・グ、久・ヤマ、山・ハ、香久山のキミは】、【ヤマスミノフ〔二〕コ、山住み一族の序列の二位であり】、
20-9 ふとたまハ みむすひのミこ フトタマハ ミムスヒノミコ 【フト、太・タマ、珠・ハ、フトタマは】【ミ、身・ムスビ、結・ノ・ミ〔三〕コ、子、身結び一門の序列三位です】。
20-9 こやねとハ かすがどのゝこ コヤネトハ カスガドノノコ 【コ、子・ヤ、屋・ネ、根・ト、門・ハ、(同様に)コヤネの家系は】【カス、春・ガ、日・ドノ、殿・ノ・コ、子、カスガ殿の子】
20-9 くしたまハ みむすびのよこ クシタマハ ミムスビノヨコ 【クシタマハ、(キミである)クシタマは】【ミムスビの当代の世の御子なのです】。
20-9 みちねとハ かんみのヒまこ ミチネトハ カンミノヒマコ 【ミチ、根・ネ、根・ト、門・ハ、ミチネの家系は】【カンミ・ノ・ヒ〔人〕・マ、間・コ、カンミの親族なのです】。


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●連続訳2
ここに外祖父のカンミ(ヤソキネ)は預かっていた十種の宝を授けさせました。
沖の鏡と辺の鏡、叢雲剣、鵜成る玉、霊還玉、乳垂る玉、路明石玉、愚道領巾、母道染領巾、木の葉領巾、この十種です。
人の死を悼むことが、あったなら一・ニ・三・四、五・六・七・八・九・十まで数えて、振りなさい。
ただ、ゆらゆら振るのです。
このようにすれば、死んでしまった者も、迷わず黄泉に還る、昔からの言い伝えです、と。
キミは言われました、ナカクニの御上達は、拒むかもしれませんが、諍いを政治的に防ぐ家族の御上である、香久山のキミは、山住み一族の序列の二位であり、フトタマは、身結び一門の序列三位です。
同様に、コヤネの家系は、カスガ殿の血筋、キミであるクシタマは、当代のミムスビの世の御子なのです。
そして、ミチネの家系は、カンミの親族なのです。

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●解説2
ここで宝と呼んでいるものは行政文書のコレクションであることは既に「〜その75〜」で解説していますが、ちょっと引用してみましょう。

2018年の記事を引用 ここから

このトクサノタカラとは何でしょうか?
私は、すべて文書だと考えています。

オキ・ツ・カガミ(=沖、海外に関する鑑)は海外についての情報文書。
ヘ・ツ・カガミ(=辺、近隣諸国に関する鑑)は関係隣接地域についての文書。

現在でも「沖」はそのような意味で使われています。
たとえば、遠洋漁業で獲れた、サワラに似た味のサカナを「沖サワラ」などと称します。
また、♪大君の辺にこそ死なめ〜♪なんて歌もあり、距離でなく精神的な配下を表します。
これらにはシンボルとして鏡(かがみ)を添えます。

ムラ・クモ・ツルギ(=群れる蜘蛛、野武士集団)に対する分析と対策集としての文書、そのシンボルとして剣(つるぎ)を添えます。

ウ・ナル・タマ(=鵜なる霊)鵜戸周辺で行った儀式の次第を綴った文書でしょうか。
タマ・カエシ・タマ(=霊・還し霊)は、それまでにタマカエシの儀式をおこなった記録かしら。
チタル・タマは、チタルで行った儀式の次第を綴った文書と考えています。
ミチ・アカシ・タマは、明石地方で行った儀式の次第を綴った文書だろうと思います。
これらにはそのシンボルとして珠(たま)を添えたと考えます。

オロチヒレはオロチ(=愚かな道、醜業、暴力団、反社等)に関する報告書の束。
ハハ・チ・シム・ヒレはハハミチ(詳細不明な地方)をシム(=沈む)の顛末を書いた報告書の束
コ・ノ・ハ・ヒレはよく解りませんが、騒乱を収拾した顛末を綴った報告書と考えます。
一連の事象を時系列に沿って記載したものを報告書にまとめるので、ヒレと呼んだと考えられるのです。
これらの文書にはシンボルとして領巾(ひれ)を添えます。

次の祝詞は「これらの文書を熟読し、あらたに問題が生じた時は自分で対策を編み出せ」と言っているのでしょう。

タカラについては、添えられた宝物のみクラ(蔵)に納め、文書は座右の書として繰り返し読みなさい、そして自分の代の対応策を記録し、次世代に引き継いで欲しいという想いが込められているのだと考えられます。

私は、こういった考え方は、オオタタネコの時代には既に忘れられてしまっているのではないか、宝物を尊い尊いといって有り難がっているのではないか、と恐れるのです。

2018年の記事を引用 ここまで

ここにある祝詞については、現在では、もう少し気楽に読むように示唆していると、解釈するようになりました。
なにしろ、アスカはすでにアマツヒツギを譲った後なのですから。
どちらか、というと、オシホミミの言い分は、当時のアスカには、論理性でなく、「気づき」が欲しい、と願っているのではないでしょうか。

現在、訳に使用している「珠」、「玉」、「霊」については、充分考慮してはありますが、確定しているわけではありません。
たとえば、古くから知られている勾玉などは「霊」を象っていると思って、大きく外してはいないでしょう。



多岐にわたる異論があれば検討したいと考えています。

このアヤで読み取ってほしいことは、諍いは事前に対処する、という姿勢があることなのですね。
私も、始めの頃、アスカはダメダメじゃん、とか思ったこともありました。

次はPart2になりますが、人名の羅列にダマされないようしないと、ね。


さて、ホツマツタヱに関するご意見ご要望、いちゃもん、文句、NGのあるかたは掲示板のほうに書いていただければ、うちのヱが対応します。
http://hot-uma.bbs.fc2.com/