前回に続き、ホツマツタヱ14アヤの解説をやります。
今日は14アヤのPart2です。
●一行訳4
14-17 | ゆひやわす アなれくらわた | ユヒヤワス アナレクラワタ 【結び、和したのです】。【ア〔敬〕・ナレ、天賦の・クラ・ワタ、・肉体と・精神の(齎す)】 |
14-17 | しむねこゑ なりハみめかみ | シムネコヱ ナリハミメカミ 【シム・ネ・コエ、意思・内言語・声と】、【ナリ・ハ・ミメ・カミ、(その)成りは・(親の)容姿を継ぐのです】。 |
14-17 | わがかみハ ヒつきのウルお | ワガカミハ ヒツキノウルオ 【ワガ・カミ・ハ、我等の先祖神が】、【ヒ・ツキ・ノ・ウル、日・月の・光・を】 |
14-17 | くたすゆえ よつぎうまんと | クタスユエ ヨツギウマント 【下すからなのです】。【世継を産もうと】 |
14-18 | おもふとき めのアかそゝぎ | オモフトキ メノアカソソギ 【思う時は、メ・ノ・アカ・ソソギ、妻・の・赤血(あかち、垢ではない)、経血の汚れを濯ぎ】 |
14-18 | あさヒのり めよりつきヒの | アサヒノリ メヨリツキヒノ 【アサ・ヒ〔日〕・ノリ、朝日・則、朝日を浴びる作法に従い】【メ・ヨリ・ツキ、付き・ヒ〔日〕・ノ、眼から日に伴う】 |
14-18 | ウルおゑて とつげハヲせの | ウルオヱテ トツゲハヲセノ 【光を得て】、【トツゲハ、門継ぐなら、性交すれば・ヲセ、夫・の】 |
14-18 | うるなみが たましまかわの | ウルナミガ タマシワカワノ 【ウル・ナミ、潤波、精液・が】、【タマ・シマ・カワ、霊・島・側、女性器官(全体を表わす)・の】 |
14-19 | いもがちと はらむしらほね | イモガチト ハラムシラホネ 【イモ・ガ・チ・ト、妻の(経血になる前の)血と共に】、【(潤波は)ハラム・シラホネ、孕み(白い)骨となります】。 |
14-19 | ちゝのなみ はゝのあかちと | チチノナミ ハハノアカチト 【父のナミ(潤波)は】、【母の赤血と】 |
14-19 | ちなみあひ ヒるハちのぼり | チナミアヒ ヒルハチノボリ 【チナミ・アイ、相まって(血と波を掛ける)】、【ヒ〔人〕ル・ハ・チ・ノボリ、人に成るために血が昇華して】 |
14-19 | よハなみの のぼるヒつきの | ヨハナミノ ノボルヒツキノ 【ヨハナミノ、夜は潤波が】、【ノボル・ヒ・ツキ・ノ、登る日に付いて】 |
14-20 | ヒとめくり あすふためくり | ヒトメクリ アスフタメクリ 【ヒ〔日〕トメクリ、日に一巡し、次の日は二巡】 |
14-20 | みめぐりと つきにみソワの | ミメグリト ツキニミソワノ 【御巡して】、【ツキニ、したがって・ミ、御・ソ【十】ワ【地】ノ、御十地(十干の概念)・の】 |
14-20 | めくりまし やゝムソヨかに | メクリマシ ヤヤムソヨカニ 【巡りを増し】、【ヤヤ・ム〔六〕ソ〔十〕ヨ〔四〕・カ・ニ、やっと六十四日経つ頃】 |
14-20 | めくりみつ すへてチやソに | メクリミツ スヘテチヤソニ 【(この過程の)巡りは完結し】、【全部で千八百回も】 |
14-21 | めくりとげ やゝみどりこの | メクリトゲ ヤヤミドリコノ 【巡りを遂げるのです】。【(ここまでくると)やっと嬰児の】 |
14-21 | なりそなふ ちなみのアかハ | ナリソナフ チナミノアカハ 【見た目が具わってきます】。【チナミノア〔敬〕カハ、血・波(を原料とした)成果は】 |
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●連続訳
天賦の肉体と精神の齎(もたら)す、意思と内言語と声と、その成りは、親の容姿を継ぐのです。
それは、我等の先祖神が、日・月の光を下すからなのです。
世継を産もうと思う時は、、経血の汚れを濯ぎ、朝日を浴びる作法に従い、眼から日に伴う光を得て、門継ぐ、性交すれば、夫の潤波(うるなみ)、精液が霊島側(たましわかわ)、女性器官全体の、妻の(経血になる前の)血と共に、潤波は孕み、骨となります。
父の潤波は、母の赤血と相まって(血と波を掛ける)、人に成るために血が昇華して、夜は潤波が、登る日に付いて、日に一巡し、次の日は二巡、御巡します。
したがって、御十地(みそわ、十干の概念)の巡りを増し、やっと六十四日経つ頃、この過程の巡りは完結し、全部で千八百回も、巡りを遂げるのです。
ここまでくると、やっと嬰児の見た目が具わってきます。
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この話をしているのは誰だかおわかりでしょうか?
これは、当時の医家の最高峰、タカミムスビなのです。
アメ族の優れたところは、キミ・トミ・タミは階級にはちがいありませんが、すべて家族なので、理解力に差はあっても、無知なタミを騙して統治していたわけではなく、理解できるような講話をともなって全員の知識を高めていたようです。
それゆえ、保健・衛生に対する理解は概ね平均していたと考えられるのです。
基本的に、タカミムスビはキミの縁者であり、医術を志し、キミに認められて、代々続く女系の家に婿として入り、広大な薬草園を掌監し、タミの健康的で文化的な最低限の生活を保証するのが任務なのです。
つまり、ちょっと、その辺にはいないようなスーパーマンでなくては、務まらないのです。
そもそも、トミはそんな人ばかりがいるので、最終的に上手に縁組をしさえすれば、人材が枯渇することは考えられません。
●一行訳5
14-21 | なりそなふ ちなみのアかハ | ナリソナフ チナミノアカハ 【見た目が具わってきます】。【チナミノア〔敬〕カハ、血・波(を原料とした)成果は】 |
14-21 | おのころの ゑなのかたちハ | オノコロノ ヱナノカタチハ 【オノ・コロ・ノ、自・凝の、中心となる】、【ヱナ・ノ・カタチハ、胞衣の様子は】 |
14-21 | かわくるま ホそのヲとなる | カワクルマ ホソノヲトナル 【カワクルマ、皮の袋(のようです)】。【ホソノヲトナル、臍の緖となる】 |
14-22 | みはしらの ほどよくおもり | ミハシラノ ホドヨクオモリ 【ミハシラノ、中心が】【ホドヨク・オ・モリ、良い具合に守り】、 |
14-22 | めくりかけ ヒにヒとめぐり | メクリカケ ヒニヒトメクリ 【メクリカケ、巡駆、巡回し】、【ヒ〔日〕ニヒ〔一〕トメグリ【一日に一巡ずつ】 |
14-22 | おくれへり やよゐハミソコ | オクレヘリ ヤヨヰハミソコ 【オクレヘリ【遅くなって回数が減り】、【ヤヨ・ヰ・ハ・ミソコ、三月孕んで居れば39種の】、 |
14-22 | はなおそふ うつきみつれハ | ハナオソフ ウツキミツレハ 【ハナ、華、特徴・オ・ソフ、備わる、特徴が備わります】。【ウツキミツレハ、4ヶ月の終わり頃には】 |
14-23 | みとりつす さつきさのころ | ミトリツス サツキサノコロ 【ミトリツス、(いっそう)子供らしさが出ます】【サツキサノコロ、5ヶ月のはじめの頃】 |
14-23 | ヒとめくり さツさはらヲび | ヒトメクリ サツサハラヲビ 【ヒ〔一〕トメクリ、一段落します】。【サツ〔促〕サハラヲビ、身軽に動けるように腹帯を】 |
14-23 | ヰわたなす なかくたとほる | ヰワタナス ナカクタトホル 【ヰ〔五〕ワタナス、五臓を保護します】。【ナカクタトホル、中管を通る】、 |
14-23 | アめのホと たらちねのホと | アメノホト タラチネノホト 【ア〔天〕メノホ〔火〕・と】、【タラチネノホ〔炎〕・が】 |
14-24 | めおまねき ムツのちなみの | メオマネキ ムツノチナミノ 【女性を呼ぶので】【ム〔六〕ツ〔類〕ノ・チナミ・ノ】、 |
14-24 | つゆあふれ みなつきかわき | ツユアフレ ミナツキカワキ 【ツユ、羊水が増え】、【ミナツキ、6ヶ月目には少なくなります】 |
14-24 | ほそのヲえ ちしるとほれバ | ホソノヲエ チシルトホレバ 【ホソ・ノ・ヲ・エ、臍・の・緖・へ】、【チ・シル・トホレ・バ、血・液が・通る・ので】 |
14-24 | みおひたす ちしるにられて | ミオヒタス チシルニラレテ 【ミ・オ・ヒタス、身・を肥足す、身体が育つのです】。【チシルニラレテ、血液が巡らされ】 |
14-25 | ヰついろの はにもてつくる | ヰツイロノ ハニモテツクル 【ヰ〔五〕ツイロノ、5種類の】、【ハニ・モテ・ツクル、鉱物を合成する(万物造化を)】 |
14-25 | もりのかみ フづきくらむら | モリノカミ フヅキクラムラ 【モリ、守り・ノ・カミ、司る神が】、【七ヶ月目になると、身体の(神経などの)座・叢を定め】、 |
14-25 | ハづきわた なかつきハみめ | ハヅキワタ ナカツキハミメ 【ハ〔葉〕ヅキワタ、八ヶ月目には内臓が】、【ナカツキハミメ、九ヶ月目には見た目が】、 |
14-25 | しむソヨべ こゑのヨそヤぢ | シムソヨベ コヱノヨソヤヂ 【十四の相として馴染むのです】。【声の48音の使い分けは】 |
14-26 | アワのかみ すべコソムアや | アワノカミ スベコソムアヤ 【天地の神が担当します】。【スベ・コムソ・アヤ、全部で96の要素が】 |
14-26 | そなわりて ソフにゑなぬぎ | ソナワリテ ソフニヱナヌギ 【具わって】、【ソ〔十〕フ〔二〕・ニ・ヱナ・ヌギ、十二ヶ月目(十二支の概念)に胞衣を脱いで〕 |
14-26 | うまるなり たとえめあれと | ウマルナリ タトエメアレト 【生まれてくるのです】。【たとえ、(すでに)姫がいても】 |
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●連続訳
血・波(を原料とした)成果は、中心となる、胞衣として、その様子は皮の袋のようです。
臍の緖となる、中心が、良い具合に守り、巡回し、一日に一巡ずつ遅くなって回数が減り、三月孕んで居れば39種の特徴が備わります。
4ヶ月の終わり頃には、いっそう)子供らしさが出ます。
5ヶ月のはじめの頃に一段落します。
身軽に動けるように腹帯を締め、五臓を保護します。
中管を通る、天の火と、両親の炎が、女性を呼ぶので6種類の関連したツユ、すなわち羊水が増え、6ヶ月目には少なくなります。
臍の緖へ、血液が通るので、身体が育つのです。
血液が巡らされ、5種類の鉱物で、万物造化を司る神が、七ヶ月目になると、身体の、神経などの座・叢を定め、八ヶ月目には内臓が、九ヶ月目には見た目が、十四の相として馴染むのです。
声の48音の使い分けは、天地の神が担当します。
全部で96の要素が具わって、十二ヶ月目(十二支の概念)に胞衣を脱いで生まれてくるのです。
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講話にしても、五行、十干、十二支などを綿密に教えるのではなく、実際の生活に即した知識と、宗教的概念をあわせて、総合的な理解を目標にしています。
●一行訳6
14-26 | うまるなり たとえめあれと | ウマルナリ タトエメアレト 【生まれてくるのです】。【たとえ、(すでに)姫がいても】 |
14-26 | よつぎなく ゑんとおもハゝ | ヨツギナク ヱントオモハハ 【代継(の男子)がいないので】、【欲しいと思うなら】 |
14-27 | アくりしれ アさヒのウルお | アクリシレ アサヒノウルオ 【アクリ・シレ、言挙げ(の法)を知るべき、試みなさい】。【浅い日の・ウル、威光を】 |
14-27 | みにうけて こみやにあれハ | ミニウケテ コミヤニアレハ 【身に受けて】、【子宮に生を受けたなら】 |
14-27 | よるなみと ともにめくれと | ヨルナミト トモニメクレト 【夜波と】【共に巡るのですが】 |
14-27 | ヲハさきに めおつゝむゆえ | ヲハサキニ メオツツムユエ 【ヲ〔雄〕ハサキニ、男性は先に】【女性が包むので】、 |
14-28 | せばめられ つひにほすゑの | セバメラレ ツヒニホスヱノ 【狭められて】、【結局、穂末が】 |
14-28 | はせいでゝ みどりしぢなる | ハセイデテ ミドリシヂナル 【馳せ出て】【嬰児の「シヂ」になる】 |
14-28 | ヲのはしめ これヲのこうむ | ヲのハシメ コレヲノコウム 【ヲ〔雄〕ノハシメ、男子の始まりです】【コレ・ヲ〔雄〕・ノ・コ・ウム、これが男子を産む】 |
14-28 | アくりなり めのこハさきに | アクリナリ メノコハサキニ 【ア〔敬〕クリナリ、言挙げなのです】。〔女子の場合は先に】 |
14-29 | つきやどり のちヒおまねく | ツキヤドリ ノチヒオマネク 【月(のウル)が宿り】【それが日を招くのです】 |
14-29 | めハはやく ヲハつゝまれて | メハハヤク ヲハツツマレテ 【女性の(気は)速いので】【ヲ〔雄〕・ハ・ツツマレ・テ、男性は包まれても】、 |
14-29 | しぢならず たましまかどに | シヂナラズ タマシマカドニ 【「シヂ」にはならず】【霊島門に、女性器の門に】 |
14-29 | いゑりなす これめのはしめ | イヱリナス コレメノハシメ 【イ・ヱリ・ナス、小さな襞(ひだ)を形成します】。【これは女子の始まりで】 |
14-30 | めのこうむ ヲのこほしくハ | メノコウム ヲノコホシクハ 【女子を産む(ことになります)】。【ヲ〔雄〕ノコホシクハ、男子を望むなら】 |
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●連続訳
もし、すでに姫がいても代継の男子がいないので、欲しいと思うなら、言挙げの法を試みなさい。
浅い日の威光を身に受けて、子宮に生を受けたなら、夜波と共に、巡るのですが、男性は先に、女性が包むので、狭められ、結局、穂末が馳せ出て、嬰児の「シヂ」(男子の生殖器ですが、この語の、指示範囲はわかっていません)になるのが、男子の始まりで、これが男子を産む、言挙げなのです。
女子の場合は先に、月のウルが宿り、それが日を招くのです。
女性の気は速いので、男性は包まれても、「シヂ」にはならず、霊島門、女性器の門に、小さな襞(ひだ)を形成します。
これが女子の始まりで、女子を産むことになります。
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メ・ヲというのは抽象名詞で、それぞれ、「女性」・「男性」を意味するようです。
ここで、また問題が発生してしまいました。
「シヂ」に対して、上手い漢字がみつからないのです。
もしかすると、縄文以前の文化なのかもしれません。
女性のほうは問題はありません。
イ・エリは、矮小辞の「い」と襟(えり)が膠着したと考えられます。
フランスなどでは女性器の美称(びしょう)として、Le Petit Chaperon rouge【ル プチ シャプロン ルージュ」(赤ずきんちゃん)というのがあり、類似した認識であることがわかります。
孔子の時代は、西洋で云うと、ギリシャのヒポクラテスの時代とさほど違いませんが、医学としてはどちらも概念的であり、あまり差があるとは考えられません。
ヒポクラテスの時代からは解剖学などが、組み込まれていきますが、アメ族が日本列島で展開した医学は、基本は五行、陰陽に男女の概念を加え、実証的に、内科的な対応をしていったのですが、列島固有の本草学も重要な時代だったのです。
これは1922年の資料ですが、コンテンツは1830年になってやっとミュラーなどによって発見されたものなのです。
それ以前は、キリスト教会による暗黒の時代だったようです。
中華大陸では陰陽五行に基づいていますが、はるかに進んだジャンルになっていたようです。
ただ、現代では、動物実験は「悪」とされ、分子生物学全盛で、世界中がウイルス学や、精神科と薬屋の支配する暗黒の世界になってしまっています。
さて、ホツマツタヱに関するご意見ご要望、いちゃもん、文句、NGのあるかたは掲示板のほうに書いていただければ、うちのヱが対応します。
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