ジャッキー・チェン最新作『警察故事2013』が2014になっちゃった日本でも今日公開されました。龍虎はさっそく行ってきた!!
題名は原題の2013をそのまま使ってポリスストーリー2013にはしたくはなかったのか、ポリス・ストーリー・レジェンドというたいそうなものになってしまいました。
私もたいして調べて観に行かなかったのですが、観てすぐに気がついたのは、この作品は『ポリス・ストーリー 香港国際警察』のシリーズとは何の関係もない、ってこと。
ポリス・ストーリーの正規のシリーズ作品は以下の通り。
(『邦題(原題/英語題)』[香港公開・日本公開]の順です)
『ポリス・ストーリー 香港国際警察(警察故事/Police Story)』[1985・1985]
『ポリス・ストーリー2/九龍の眼(警察故事 續集/Police Story 2)』[1988・1988]
*ただし劇場公開時は『九龍の眼/クーロンズ・アイ』の邦題で公開。ビデオ収録時に上記に。
『ポリス・ストーリー3(警察故事3超級警察/Police Story 3 Super Cop )[1992・1992]
『ファイナル・プロジェクト(警察故事4之簡單任務/First Strike)』[1996・1996]
で、ポリス・ストーリーのシリーズでないばかりか、ジャッキーの今までの作品のうち、日本ではヒット作である『ポリス・ストーリー 香港国際警察』とわざと混同されるようにして配給された以下の作品とも関係ありません。
『新ポリス・ストーリー(重案組/Crime Story)』[1993・1993]
『香港国際警察/NEW POLICE STORY(新警察故事/New Police Story)】(2004・2005)
まー、ジャッキーとしては1996年のファイナル・プロジェクトで警察故事シリーズには一段落つけたところだったんだろうね。
日本の配給会社が何を考えたのか「ファイナル」とつけたのがホントになっちゃった感じ。
しかし、プロジェクトAと混同させるような邦題を付けるなど、タチが悪かったですよ東宝東和さん。
さて、シリーズ作品やそれ以外の重案組や新警察故事との違いはなにか、というと、答えは簡単。
舞台が中国ってこと。
で、ポリス・ストーリー3で中国の公安警察官を演じたミシェール・ヨーみたいに、人事交流で中国に渡ったという設定ではありません。もちろんファイナル・プロジェクトで休暇中に世界各国を旅していたノリでもありません。
ジャッキーはこの警察故事2013で、れっきとした中国公安警察官として勤続20年、かつそれ以前には人民解放軍にも所属していたっていう、筋金入りの中国男を演じているんです。
映画自体も全編北京語。
ジャッキー自身が北京語でしゃべっていました。
そんな警察故事2014。ストーリーは日本公開版公式サイト
から引用しちゃいますね。
このリンクをクリックすると予告編になるんだけど、関係ないはずのポリス・ストーリーのテーマ音楽をバックに流しちゃっていますよ、やり過ぎだよ、配給のブロードメディア・スタジオさん。
ベテラン刑事ジョン(ジャッキー・チェン)は、ひとり娘のミャオ(ジン・ティエン)に会うため、歓楽街の中心にある全面をコンクリートに覆われた巨大なナイトクラブ“ウー・バー”にやってきた。仕事に追われ半年ぶりに娘と顔を合わせたジョンは、娘との慣れない時間を過ごしていたところ、突然背後から何者かに襲撃されてしまう。気がつくと、クラブの出入り口は頑丈に閉鎖され、ジョン親子を含む十数人の客は無数の爆弾が仕掛けられた建物内に閉じ込められていた―。建物を包囲した警察も全く手を出せない中、事件の首謀者であるクラブの経営者ウー(リウ・イエ)は、警察にある取引を求める。この籠城事件の裏には、ウーが長年にわたって綿密に仕組んだ、ジョンの刑事人生の過去にも関わる恐るべき復讐計画が隠されていた…。
簡単にいっちゃうと、シチュエーションはダイ・ハードみたいな感じ。
ある建物に閉じ込められた刑事が娘を含む人質救出のために奮闘するっていう。
今回の映画にはロケーションは一切ありません。
ほぼ、この建物を再現したセットの中で撮影していると思われます。
その意味でも、他の警察故事作品とは一線を画しています。
全編バイオレンス要素が満載でシリアス一色。コメディ色調はなし。この点は重案組に近いかも。
ストーリーについては、あまり語らないでおこうと思うので、全体を観た率直な感想だけ言うと、うーん、なんというか、香港色が薄まったジャッキーは、魅力も薄まってしまうというか。
この映画の製作(出品)会社は、ジャッキーの制作会社である成龍影業有限公司(香港)は例外として、萬達影視(WANDA MEDIA)、星光燦爛影視(STARLIT FILM)、中国電影股份有限公司=北京電影製片廠(China Film)、CCTV 電影頻道(China movie channel)、西安龍年影視文化傳播有限公司(Xi'an Longnian Entertainment)まで中国大陸企業がずらり。
オープニングでの会社サウンドロゴのくだりが、たくさんすぎてびっくりこいた。
ジャッキーの会社は予算をほとんど出していないと思うので、ほぼ大陸官製の映画なんだよね。
というわけで、今回はブログカテゴリーも中国映画に分類してます。
で、映画としてつまらないわけでは決してない!
しかし、配給会社の戦略にのって、まんまと今までの香港テイストを味わえると思って映画館に足を運んだファンも多いと思う(私も今回は迂闊にもそのクチ)ので、がっかりしちゃう人も多いと思う。
これから、観る人は、その点だけは注意かな。
それでは出演陣についても触れておこう。
まずは我らがジャッキー。60歳になった渋みが出ていますよ。
こんなに短髪にしたのは、サンダーアーム以来か?
それから娘役のジン・ティエン。
この娘は、以前にクォン・サンウ&セシリア・チャン『7日間の恋人』
でもすごい美人の共演者として紹介済み。
そのときは、ジン・チェン(景甜)として表記していました。
しかし、今回は少々ビッチなバカ娘役です。
そして、オールバックにしたら悪役が板についてますリウ・イエ。若干サイコがまじった犯人を演じてます。
この他に客演という扱いでユー・ロングァン(出演時間は短いし、客串としてクレジットされていた)も出ていた。この人は地味に新警察故事にも出ていたほか、本家ポリスストーリーのスピンオフ作品であるミシェール・ヨー主演の『プロジェクトS(超級計画)』にも出るなど、ちょっとした常連。
他のジャッキー映画にもちょいちょい出ています。
これでおわかりと思いますが、ここまで紹介した役者はジャッキーをのぞく全員が大陸中国人。
それ以外にも、グーリー・ナーザー、リュウ・ハイロン、ジョウ・シャオオウなどが公式サイトに紹介されてますが、いずれも大陸の役者です。
しつこいようですが、完全な中国映画で北京語映画なんですよ。
監督はジャッキーの『ラスト・ソルジャー』(2010)も撮ったディン・シェン。やっぱり大陸人。
内容はともかく、香港テイストがないことが残念だったのですが、最後のエンディングロールでジャッキー映画ではお馴染みのNGシーンがあって嬉しかった。
そして、このエンディングの歌を主唱もジャッキー本人。これも嬉しかった。
ジャッキーって京劇学校にいた子ども時代から、自分の歌に自信を持っているんですよ。
たしかにプロの歌手に比べたら歌唱技術とかあれだけど、私もジャッキーの歌は昔っから好き。
とくに日本公開版の『ファースト・ミッション』(1985)で流れていた「TOKYO SATURDAY NIGHT」ね。
子どもの頃になんどもなんども聴いたもんだ。ジャッキーの日本語曲。
なんと作詞作曲は美樹克彦さんという小林幸子の「もしかして」を書いた人。
そうそう、ジャッキーは語学力もすごいと思う。
最後に今回の警察故事2013のエンディング曲と、「TOKYO SATURDAY NIGHT」のyoutubeをはりつけておこう。どなたか知りませんが、貴重な音源と映像をありがとさん。