シネマートで開催の「2012-2013 冬の香港傑作映画まつり」に駆け込みセーフで見てきました!

ロイ・チョウ監督の『狼たちのノクターン 夜想曲(原題:大追捕)』。


主演はニック・チョン

ゴーイン・バック・トゥ・チャイナ

画像はシネマートさんサイトより


このおまつりには遠方から『最愛』を冬の香港傑作映画まつりで鑑賞! を見に行っているから三本中二本を見たことになります。


ただほんとは、『大魔術師』、『最愛』、『大追捕』本邦公開! で書いたように、見逃した大魔術師(日本語タイトルは『大魔術師 Xのダブル・トリック』)が一番見たかったんだけどね。


でも、やはり『殺人犯』(2009)で大注目されたロイ・チョウ監督の新作。やはり大どんでん返しが待っていた!

見れて良かったっす。

何度も書いているけれど、ありがとうシネマートさん。(涙)


さて、ストーリーね。

シネマートさんサイトのあらすじを要約すると、

刑務所から一人の男が出所。19歳の時に少女を殺害し投獄されていた犯人のウォン(ニック・チョン)が20年の服役を終えたのである。ピアノの調律師として働き始めるが、彼はそこでピアニストの少女、シュー(ジャニス・マン)と出会い驚愕する。何故なら彼女は、21年前の犠牲者とそっくりだからだ。

しばらくして海で惨殺死体が発見される。被害者はシューの父ツイ(マイケル・ウォン)である事が判明。事件の担当となったラム(サイモン・ヤム)が捜査を進めていくと、やがてウォンの存在が浮かび上がる。ウォンを追跡するラムだが、ウォンはまるでラムを手玉に取るかのように、神出鬼没な動きを繰り返す。

なぜ、ウォンが事件に関わっているのか? そして21年前の少女とシューの関係は? 謎がすべて繋がった時、そこには哀しくも衝撃的な真相が待ち受けていた…。

こんな感じ。


つまり本作はサイモン・ヤムとニック・チョンとの対決が主軸で、サイモンの主観で謎解き物語が進みます。


本作のサイモン・ヤムさん

ゴーイン・バック・トゥ・チャイナ
画像はシネマートさんの香港傑作映画まつりサイトから


『殺人犯』ではアーロン・クォックと目に見えない犯人とのバトルが凄かったけれど、今作もニックの不気味さがスゴイ!

サイモンのオヤジも老体(失礼)にムチ打って、『密告・者』『ビースト・ストーカー/証人』などでの熱演で、狂気をともなった役がすっかり板に付いたニックとのすさまじい格闘シーンを演じてます。

太陽に吠えろばりに劇中かなりダッシュしていたけれど、大丈夫だったんでしょうか。


ちょっとスピード感が・・・
ゴーイン・バック・トゥ・チャイナ
でもそれがかえってリアル


謎解きの妙についても、前作『殺人犯』ほどではないにしろラストは強烈。

これがロイ・チョウ節って感じに、これから定着していくのでしょうかね。

まだまだ新進気鋭の監督だけに、今後が楽しみでやんす。


こちらはサイモンの部下役だった謝安琪(ケイ・ツェ)
ゴーイン・バック・トゥ・チャイナ
ちょっと声がキュートだったので調べたら、本業は歌手のようです


さて、今回の日本語タイトルのノクターンや夜想曲という用語は、原題の大追捕とはだいぶん違うながらも、ピアノが主軸になっていることからは妥当な感じです(英語原題はNightfallです。)。

映画音楽を担当した梅林茂さんも、これも『殺人犯』に続いてメロディアスかつサスペンスフルな音楽でドラマを盛り上げています。


ま、タイトルのなかでは「狼」だけが?なんだけど、香港映画と一発でわかるタイトルは、私のように日頃から香港映画を物色している人には必要だから、まぁ必要悪としましょ。

ちなみに、「狼 男たちの挽歌 最終章」あたりが、狼=香港ノワールものの図式の最初かしらね。他にも「SPL 狼よ静かに死ね」とかいくつか前例があるのです。


結論ですが、見てソンはしない映画だと思うよ!