毎度、基本的には映画を一本ずつレビューしてきた本ブログ。
今回は特別企画。
名付けて、“電眼”トニー・レオンとBL。
「電眼」はいいっすよね。「目の演技がスゴイ」とか「あの優しい瞳にイチコロ」などと評されることの多い我らがトニー・レオン(梁朝偉)さんの通り名です。
トニー・レオン(以下、トニオと略す)ファンの女子たちは、きっとあのまなざしにやられちゃっているに違いありません。
次回作「聴風者」で盲人役を演じるためか、「魅惑の電眼を放棄」とネット新聞(china.com)に伝えられた時のトニオさんのショット。
かくいう私、龍虎(戸籍上は男)も電眼にやられちゃった一人。
いや、もちろんそのケはないすよ。あたしゃノーマルです。
ただ、単純に昔からトニオさんのファン。男だけどファン。いいじゃん、別に。
って、そういう話じゃなくって、今回はある筋の女子(腐女子?)の目線に立ち、彼女らの憧れの「ボーイズラブ(略してBL)」の視点からトニオさんを読み解く、という企画をしてみようと思い立ったわけなんです。
BL・・・ボーイズ・ラブとは?
日本における男性の同性愛を題材とした小説や漫画などのジャンルのこと。(by wikipedia)
腐女子・・・「ふじょし」とは?
男性同士の恋愛を扱った小説や漫画などを好む女性のこと。(by wikipedia)
だそうです。
はっきり言って、私にはまったく理解できません。そのジャンルに強い思い入れもありません。
逆に置き換えたとして、男性の龍虎(私)が、女性同士の恋愛を扱った題材に興味を持つかというと、あまり関心はありません。
でも、その筋の女子たちの欲求を満たすためのマーケットは拡がる一方で、昨今では普通の本屋さんに、平然といわゆるBLもののコーナーが出来ていて、たまたま通りかかると、あやうく吹き出しそうになります。
ついでにネット上の広告でも、BL漫画のワンシーンが載っていて「続きはこちら!」みたいなものも増えてます。普通に男女の恋愛を描いた漫画かと思って、あやうくクリックしそうになります。
いやぁ、明らかに世の中「BL化する社会」になってます。
そういう流行に、かのトニオさんをからませるなんて不謹慎だって? いや、その通りっす。
でも、でも意外とトニオさん、その筋の映画に出ているのですよ。
私の頭の中のトニオさんDBをフル稼働してご紹介します。
まず、誰もが思い浮かべるのがウォン・カーウァイ監督の「ブエノスアイレス(原題:春光乍洩)」。これはわかりやすいっしょ。
なぜかアルゼンチンくんだりまで旅をするゲイのカップル、レスリー・チャン(張国栄)とトニー・レオン。
詳細なあらすじは省きますが、男同士で嫉妬したり浮気したりの繰り返し。おまけにトニオさんは奔放なレスリーにひっかきまわされ、焦らされる側。なんともはや。
映画「ブエノスアイレス」のワンシーン。
撮影はクリストファー・ドイル。
この映画の色調は確かに美しいですよね。
もちろん、主役の二人の男子も美しいことは確か。
この映画の公開年は1997年。
レスリーが亡くなるのは2003年。
そういえば、昨日がレスリーが亡くなってちょうど九年だったのですね。
レスリーよ永遠に。。。
さて、話を戻しましょう。
トニオさんのファンは見落としているかもしれない映画が、ジャッキー映画(成龍作品)である「ゴージャス(原題:玻璃樽)」(1999)。
ジャッキーとスー・チー(舒淇)のラブロマンスのこの映画。トニオさんの役はゲイのスタイリスト&メイキャップ・アーティスト(ありがち~)で、なにかと二人にからむ役。トニオさんにしては1999年当時でも珍しい脇役でした。
髪留めしてるトニオさん。キュウリでパックしたりもしてたっけ。
まぁ、この映画はラブコメっぽい要素もあるのですが、少女漫画によくオカマちゃんが出てくるじゃないすか。あんなノリです。吉本ばななの「キッチン」にもオカマが出てきましたよね。ああいう感じの、ヒロインにとっての都合の良い聞き役って感じ。
っていうか、「ゴージャス」のトニオはBLってより完全にオカマだね。
次は行間を読んでBL的要素を見つけよう。
けっこういろんな人が指摘しているけれど、ジョン・ウー(呉宇森)監督による三国志の映画化「レッドクリフ(赤壁)」に怪しい一幕がある。
これはトニオさん演じる周瑜(孫権勢力:後の呉の大督)がどうこうってんじゃなくて、トニオさんを見る趙雲(劉備勢力:のちの蜀の武将)の目が怪しいのだ。
周瑜にピンチを救われた趙雲はその後も恩義を感じ続けるが・・・。
それが恩義ってよりも「惚れちゃってる」感じに見えるんだよね。この辺り、男の友情を描き続けたジョン・ウー監督は、絶対に狙って演出している気がする。
これって、腐女子が見たら、ぜったい変な妄想すると思うよ。
左がトニオさん。右が趙雲を演じるフー・ジュン(胡軍)。
フー・ジュンは『藍宇 ~情熱の嵐~(原題: 藍宇)』でもゲイを演じている。いや、だからどうというわけではないんだが。
余談だけど、ジョン・ウーはショー・ブラザーズの黄金期を支えたチャン・チェ(張徹)監督の助監督を長く務めた。チャン監督も男の友情ものが得意だった・・・というよりも男ばっかり描いていた。名作「ブラッド・ブラザーズ(刺馬)」には女性が一人しか出てこない。他の映画もみんなそんな感じでやんす。
ちなみにレッドクリフには、もう一つの男同士(?)の友情というか愛情が描かれている。
孫権の妹である尚香が、男装して、敵である曹操軍の兵士に化けてスパイ活動をしている際、ひょんなきっかけから、曹操軍に入りたての兵(素朴だけど勇敢な一兵卒)と友人になるのだ。
ちょっと遠目で見づらいけれど、左がヴィッキー・チャオ(趙薇)演じる尚香。右が友達になった孫叔才(演じているのは佟大為)。
スパイ活動を終えて、孫権のもとに帰ろうとするときに、曹操軍に怪しまれて攻撃されるのだが、そのときもこの孫叔才は身を挺して守ってくれるのだ。
もちろん、孫叔才は尚香のことを男だと思っている。そして、スパイだなどと疑いもせず、友を信じているのだ。
その後、戦場で尚香と孫叔才は偶然再会するが、会話をする間もなく、孫叔才は矢に打たれて死んでしまう。
絶命した孫叔才。それを女戦士の格好をした尚香が抱きとめている。
矢に倒れた孫叔才は最後まで尚香を友として見ていたろう。しかし、残された尚香は出会った当初から淡い恋心を抱いていて、彼に戦場には来て欲しくないと思っていた。
それなのに、再会と別れが瞬時に訪れる。
なんとも悲しく、余韻を残すシーンだった。私にとってはレッドクリフのなかで、もっとも印象に残った逸話。
もちろん史実ではないし、孫叔才は架空のキャラクターだ。
うーん、やはり私は、このシーンをBLとは結びつけたくはないな。
すいません、BLでまとめようとした今回の記事は、キュンとするシーンをいきなり思い出して尻すぼみになりました。トニー関連も三作だけでしたしね。
でも、また映画レビューだけでなく、テーマ記事もまた書きますので、どうぞよろしく。