ツイ・ハーク(徐克)監督、アンディ・ラウ(劉徳華)主演で、中国・香港・台湾で2010年に公開された『王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件(原題:狄仁傑之通天帝國)』の日本公開がようやく決まりました。
超大作だし、アンディというネームバリューもあるから、きっと日本でも公開されるはずだと期待していたが、待った甲斐がありました!
既に日本の配給元による公式サイト も出来ています。
カリーナ・ラウ(劉嘉玲)やリー・ビンビン(李冰冰)、レオン・カーフェイ (梁家輝)という日本でも知られた名前が脇を固めているので、それもプラスの条件に働いたかな。
アンディとビンビンの共演で印象深いのは、「イノセントワールド -天下無賊-(原題:天下無賊)」。その組み合わせが好きだった私には、今回も二人の共演シーンが楽しみで仕方がなかったわけです。
下は天下無賊での二人のバトルシーン(ラブシーンではありません!)
さて、本題の『王朝の陰謀』へ。
この映画は、カリーナが則天武后の役を演じ、ビンビンがその側近役となってます。
ほんでもって、則天武后の権威を脅かすような事件(副題にある「人体発火怪奇事件」)が起こり、その謎解きをするのが、アンディ扮するディー判事(副題の「判事ディー」はここからきています)という設定。
さて、このディー判事なのですが、フルネームはディー・レンチェ(狄仁傑)。
実在の人物だそうです。
というわけで、原題の狄仁傑之通天帝國ってのは直訳すれば、朝廷のディー判事ってことでいいわけだから、珍しく中国語タイトルに割と忠実に邦題を付けていることになりますね。
ちなみに台湾では、『通天神探狄仁傑』のタイトルで公開。私的に訳すと「天帝の探偵 ディー判事」って感じかしら。なぜ、中国本土と台湾が違うタイトルにしたかは不明です。
こういうことって珍しいですね。おそらく台湾で製作された同名の作品があったのかも。ディー判事ものは人気があるようで、テレビドラマもありますし。
この映画の冒頭では、則天武后を批判したディー判事は、その罪によって投獄されてしまったという設定になっています。しかし、武后も実は彼の実力を認めていて、人体発火怪奇事件の解決が困難と見るや、獄舎から八年ぶりに釈放し、事件解決に尽力を迫るという流れ。
この映画自体はフィクションだと思われますが、史実では則天武后の時代に、ディー判事は最終的に御史大夫(法務大臣)の地位にまで上り詰めたそうな。
このあたりの事情については、ロバート・ファン・フーリックというオランダ人の作家(もともとは外交官だったそうで)が、ディー判事モノとしてフィクションを交えた小説をたくさん書いておられますんで、そちらに詳しいかと思います。もちろん、本映画の原作もこの作家のものです。
下は三省堂から1989年に出た小説。ちゃんとディー判事シリーズと書いてある!
それで、映画の完成度ですが、ツイ・ハークものとしては、ジェット・リー主演の最新作『龍門飛甲』には及ばないものの、VSFXも優れていて、アクションの見せ場も多いです。
香港アカデミー賞では監督賞、主演女優賞を獲得しています。
ツイ・ハークは当初、この『王朝の陰謀』の主演を、ジェット・リーにオファーしたということを『龍門飛甲』の完成記者会見の場で明らかにしています。
確かにそれもよかったかもしれない。でも私は、やはりアンディとビンビンの組み合わせを観たかったので、これはこれでベストと思いますよ。
さてと、5月5日の公開が待ち遠しいなぁ。