奈良市の日本聖公会奈良基督教会が重要文化財に指定するよう、文部科学大臣に答申されました…
以下、奈良新聞(http://www.nara-np.co.jp/
)より転載
国の文化審議会(宮田亮平会長)は15日、奈良市登大路町の日本聖公会奈良基督教会を重要文化財に指定するよう、文部科学大臣に答申した。県内の国重文(建造物)は263件になる。県内でキリスト教会建築と昭和の建築物の国重文指定は初めて。
同教会は昭和5年建築の「会堂(礼拝堂)」(約344平方メートル)と同4年の「親愛幼稚園舎」(約260平方メートル)の2棟で構成。いずれも木造平屋建ての瓦ぶき一部板ぶきで、同教会の信徒だった宮大工、大木吉太郎が設計・施工した。
西洋伝来のキリスト教会の建物だが、奈良公園周辺の景観に配慮し、内外観ともに和風基調のデザインを採用。同様の建築物は全国的にも現存数が少なく、本県に特徴的な近代和風建築としての価値が高いという。
会堂は北側に祭檀が置かれた内陣、南側に参列者用の座席などがある外陣をそれぞれ配置。内部も洋風建築の平面形式を守りながら、格天井(ごうてんじょう)を採用するなど和風のおもむきを持つ。幼稚園舎は会堂本屋とほぼ同規模で4つの保育室がある。
このほか、石造の正門や会堂内の家具45点、設計図面147点も合わせて指定の答申を受けた。
県教育委員会が平成20~23年に実施した「近代和風建築の総合調査」の調査対象。平成7年に国の登録有形文化財となり、ことし3月に県文化財に指定されたばかり。
同教会の井田泉・司祭は「教会が長い間大切にしてきた建物の価値が認められ光栄。中で捧げられた祈りや労苦の積み重ねも感じてほしい」と話した。
以上、転載終わり
記事中にもありますが、この聖堂(教会)は和風基調のデザイン。
で、記事を読んでいくと…
「北側に祭檀が置かれた内陣、南側に参列者用の座席などがある外陣」…
ええっ、「北側」…
通常は「東西」に造られるのですが…
なんでも寺の跡地に造られ、景観配慮のためにかなりの制約があった…、とか。
通常の聖堂は…、少々長いですが興味のある方、ご覧ください。
正教会HP(http://www.orthodoxjapan.jp/tebiki/katachi02.html
)より
聖堂
正教会が建てる聖堂は、単なる集会所とか祈祷所ではありません。聖堂とは「神が私たちと共におられる」という信仰を具体化したものです。聖使徒パウェル(パウロ)は「私たちは生ける神の神殿である」(コリンフ(コリント)後書6:16)と言いました。ハリストス(キリスト)と聖神をとおして、神が人と共にあり、人の内にいまし、生きておられることを、正教の教会建築は表現しています。言い換えるなら、神の国の象(かたど)りとして聖堂は建てられています。そのために聖堂の形や内装にはそれぞれ深い意味が込められています。
聖堂の形
聖堂を上から見た形としては、主に「長方形」と「十字架形」の二つがあります。「長方形」は、ノアの箱船の象(かたど)りです。教会がこの世という海を航海し神の国という港に向かう船であることを表すわけです。「十字架形」は、ハリストス(キリスト)の十字架による救いを象(かたど)ります。聖堂の中に入ることは、ハリストス(キリスト)の救いの中に身をゆだねることになるわけです。
東向き
聖堂は普通「東向き」に建てられます(入口が西ということ)。太陽という光の昇る方向である東に向かうということは、ハリストス(キリスト)という救いの光に向かい、神の国を待ち望むという姿勢を表すからです。もちろん方角自体に何か神秘的な力があるわけではないので、やむをえず「東向き」ではなく建てられる場合もあります。
屋根
「ビザンチン建築」と呼ばれる聖堂では、大きなドームの屋根をもつのが特徴です。このドームは、教会に冠をかぶせていることを意味すると共に、「天」を象(かたど)っています。ドームのある聖堂に入る時、すでに「天国」がそばに来ていることを感じることができます。ロシア式の聖堂では、「クーポル」と呼ばれる屋根が付けられますが、これは祈りが神のもとへ昇ることを表すロウソクの炎を象(かたど)るものです。「クーポル」は複数取り付けられることがあります。一個のクーポルは、教会の唯一の主イイスス(イエス)・ハリストス(キリスト)を象(かたど)り、五個の時は、ハリストス(キリスト)と四福音を象(かたど)り、七個は正教会の七つの機密、十三個はハリストス(キリスト)と十二使徒を象(かたど)ります。
鐘
聖堂の入口の真上、または全く別の場所に「鐘楼」が建てられ鐘が釣りさげられます。鐘は、祈祷の開始と終わりの時、または祈祷中の重要部分を知らせるために鳴らされます。
イコン
聖堂の内部や外部には、イコンが掲げられます。「フレスコ画」や「モザイク画」のように壁や天井に直接イコンが描かれる教会もたくさんあります。ハリストス(キリスト)やマリヤや聖人たちのイコンは、聖堂を神の国の臨在の場にします。
聖堂の名
聖堂は、普通、何かしらの祭や聖人を記念して建てられます。その祭や聖人の名前が、そのまま聖堂の名前になります。例えば「主の昇天聖堂」とか「聖ニコライ聖堂」など。その聖堂の名の祭は「堂祭」と言って、盛大に祝われます。
内部構造
聖堂の内部は次の三つに分けられます(図を参照)。聖堂の構造は旧約時代のモイセイの幕屋やソロモンの神殿にひな型をもっています。
(1)啓蒙所
聖堂の入口付近の場所。啓蒙者(まだ洗礼を受ける前の段階の人)が立つべき位置だった。現在は実際的には「聖所」との区別はあまりない。意味としては、「この世」を象(かたど)るところ。
(2)聖所
聖堂の真ん中の場所。信者が立つべき位置。イコンが掲げられ、燭台が置かれる。信者が祈り、機密を受けるための空間。意味としては「この世での天国の先取り」を象(かたど)る。
(3)至聖所
聖堂の奥にある最も重要な場所。神品や神品を補佐する人たちのみが入ることを許される。その名ととおり「至って聖なる所」で、意味としては「神の国」「来世」を象(かたど)る。
イコノスタス
「至聖所」と「聖所」を隔てる壁のことを「イコノスタス」といいます。日本正教会では「聖障」と訳されることもあります。
「イコノスタス」とは、「イコンの壁」という意味で、文字通り様々なイコンが掲げられています。イコノスタスには、普通三つのドアがあり、特に重要なのが真ん中にある「王門」または「天門」と呼ばれる門です。神品のみがここを通ることができます。奉神礼の中で「王門」を開いたり閉じたりすることによって、神の国との交わりが顕されます。
宝座
至聖所の真ん中には「宝座」と呼ばれる台があります。聖堂は聖体機密を行うために建てられると言っても過言ではありません。「宝座」はその聖体機密が実際に執行される場所ですから、聖堂の中心的な位置をもっています。「宝座」は、神の国の食卓であり、天の御座(黙示録4:2他)を象(かたど)るものであり、神の臨在の場です。宝座の下には、聖人の不朽体の一部が特別な容器に入れられて安置されます。これは聖人たちが生命をかけて伝えた信仰の上に教会が成り立っていることを示しています。この習慣は、迫害時代、致命した者たちの墓の上で聖体機密を行っていた初代教会の経験から来ています。
奉献台
至聖所の左手奥には、「奉献台」と呼ばれる台があります。司祭は聖体礼儀を行う前、「奉献礼儀」をこの上で行います。「奉献台」の上には聖体機密を行うための「聖器物」が安置されています。
以上、転載終わり
如何ですが…