えー
お江戸の町民は、ソバが好き
まーね、単純に「味が好き」というのもありますでしょうけれども。
「江戸っ子」てのは、とかく、せっかちでございますからね。
フイ!っとやって来て
「オヤジ!もり!」
パ!っと、たぐって
「はい!ごちそうさん!」って、また
サ!って帰っちまう。
蕎麦なんざー噛まないんですから。喉越しを味わう訳ですよ。
漱石じゃ、ありませんがね。
モタモタ、チンタラしてるのは、
~「これは、いけません」って風土でございますからね。
で、
「お客さーん!」
「お勘定!!」
なんて、いささか笑えないお話もございますが、
江戸前のお蕎麦と申しますのは、とにもかくにもツユの特徴が挙げられますな。
特に老舗といわれる「藪(やぶ)」のツユは、親のカタキの様に塩からい!
~あれはですね、個人的には「高血圧」の爺(ジジー)を中心として、
ポックリいかせようって、算段かと思っております。
うーん!人口統制!
お江戸のスターリン!ってバカ!
もっとも?
その様な経緯から必然的に、ツユを少しだけ、浸して食べる~という
江戸前の蕎麦の食べ方と、相成った訳でございますが、
金原亭馬生が落語「そば清」の中で、
「死ぬ前に一度だけ、ツユをたっぷりつけて蕎麦をたぐりたかった…」
と言って、事切れる江戸っ子の話などは、ご存知の方も多いのでは無いでしょうか。
あれまだ、ウチの親父が元気な頃に、高座に足を運んだ時にですね、
「よ!下総屋!」なんつってね大向が飛ぶ訳ですよ。
あの、兄さん粋だねぇ!なんて
子ども心に思ったモンですよ。
よき麻の 生いたる土地を
ふさの国
「古語拾遺」ですか
ことはじめ めくりかへたる
ばしょうかな
うまいねーどうも!
ミクちゃん、座布団一枚
※藪の源流は「蔦屋」にございます。
もっともですね。「藪」って申しますと、ミクなんざ、
雷門前の「並木」そして、神田淡路町の「かんだやぶそば」でございますな。
神田の藪に至っては、帳場から店内に飛び交う、
「○○ばんさ~~~ん」
「せいろぅぅ、いちま~い~ぃぃぃ~~~~~~」
それを継いだ番頭さんから、接客の花番さんに至るまでの「掛け合い」が、楽しい訳ですよ。
ミクのお兄さんはハタチの折から、時は秋のころでした。
交通事故に巻き込まれて、亡くなっているんですがね。
優しいお兄さんだったんですよ。カラダは弱かったんですがね、
勉強の基礎から、文学、知識、教養に至るまで、面倒を見てくださった、素敵な男性でしたね。
ミクが中学に上がる時に、神田の街に誘って下さって、ブラリと散策しながらですね、
「かんだやぶ」で蕎麦を頂いて、綺麗な色でしてね、翡翠色なんですよ。
それで、食後のデザートにって淡路町の「竹むら」で、
「あわのぜんざい」なんか、頂きましてですね。
時折、ふと楽しかった昔を思い起こして、
思うんですよ。
そばのはな さくころきみは
いなくなり
のこすわがみに
つゆのからさか
「お兄さんはドジだよ!」
目頭を押さえることも、しばしなのでございます。