彼には、それを着せること、そのことが、これから旅立つであろう

死出の旅に、死に装束より彼女が喜んでくれるような気がしたか

らだ。 棺の彼女に持たせてあげようと思った思い出の写真や、

こまごまとしたものを入れながら、その彼女の表情をみていたら、

瞬間、棺の中にいる彼女が、ちょっとだけ嬉しそうに微笑んだよ

うな気がした。

 告別式の時間になる前にとつぜん、斎場にいるはずのない母

親の顔が現れた。どうしてここにいるんだろう。   つづく