どれくらいの時間が経過したのかさえ分からないうちに、彼女の

遺体は、アパートのベッドの上にあった。 その夜は、通夜として

彼は、その彼女と一緒に、そのベッドのそばにいて過ごした。

 夜中に突然、十月だというのにどこからともなく、一匹の紋白蝶

が、ひらひらと、部屋の中を舞い始めた。 そのちょっと不自然に

も感ぜられる頼りなげな舞い方は、マリオネットのそれのようでも

あり、部屋の空気そのものが肌に不思議な感覚でまとわりつくに

感ぜられるのも、それのようであった。        つづく