『冷静に。落ち着いて。いつもの冷静さを。こんな時こそ落ち着か

なければじゃないのか。お前は男だろ。男ならうろたえるんじゃな

い。』と、その骨が砕けたことのある拳返いたいほど握り締め必死

な思いで、彼は自己制御を試みていた。『でも、死んだらどうしよう。

大丈夫、交通事故なんかで死ぬはずないよ。』と、頭の中は地理尻

バラバラのままでいたが、不意に『そうだよ。あの時の僕でさえこう

してここにいるんだから。』と。自分が高二の時、無免でバイクの事

故を起こした時の事が。                  つづく