この週末に読んだ本です。
写真集でもあり、冒険小説でもあり。
- 一〇〇年前の世界一周 ある青年の撮った日本と世界/ボリス・マルタン
- ¥2,940
- Amazon.co.jp
ホテルのライブラリーからお借りして、
部屋で読みました。
写真集感覚で、と思ったのですが
語りの部分を読み始めると、面白くて面白くて(笑)
舞台は1905年、ドイツの青年ワルデマール・アベグ氏が
世界一周旅行の冒険(旅)にでる物語です(実話)。
このときの時代背景は、19世紀から20世紀へ時代が変わり
世の中もまさに激変の前の静けさといったところ。
(この後に世界大戦などが勃発し世界は混乱の世紀に入る)
ちょっと前、1872年にジュール・ヴェルヌによる「80日間世界一周」
が刊行されており、幼いころにそれを読んだワンデマール少年が
やがて世界一周の旅に出る、というお話です。
当時珍しかった写真機をもって。
彼はいろいろと考えて、当時の他の冒険家とは違う、西からの
世界一周を実現します。
アメリカ、カナダ、日本、朝鮮、中国、インドネシア、インド、スリランカなど。
日本でいえば、明治の終わりころ(明治38年)ですよ。
写真がね、とても素晴らしいんです。
フロンティアで湧くアメリカは、東部のNYやシカゴは摩天楼が既に建ち、
移民たちの中から新しい上流階層、富裕層が生まれています。
ロックフェラーなど。
でも西部はまだまだ西部劇そのままの情景が残っています。
そして、日本。
私がみても美しいと感じます。
欧米の人々がこの当時の日本を知って、憧れと興味を抱いた理由が
写真に残された景色や街並みだけでなく、人々の暮らしぶりから
想像できました。
ワンデマール氏は、裕福な家庭に生まれましたが、
親や上司を説得し、世界一周旅行に旅立ち、
趣味の写真機(←一般の人は持っていません)で感性の赴くままに
貴重な写真を撮り続け、残してくれました。
裕福な家庭だったからか、帰国後、多くの出版の誘いがあったけれども
すべて断り、なぜか80歳を過ぎて旅の記憶がよみがえり
保存されていたガラス写真とともに出版に至ったそうです。
ついつい夢中になり、ベッドでもページをめくり続けちゃいましたが
夢が広がる冒険写真集でした。
ライブラリーが充実しているホテル(旅館)はいいですね!