クーコとリンジーをつなぐブリッジ
1970年代、ドリフの「全員集合」などに出演していたゴールデンハーフというお色気系アイドルグループが一世を風靡していた頃、似たような4人組セクシーグループで、ザ・シュークリームというのがあった。わたしは当時全く気にしていなかったのだが、ここには、清水クーコ、ホーン・ユキ、そして後に演歌歌手・北原由紀となる南麻衣子らが在籍していた。
その中の清水クーコは、ずっと後にあのねのねの清水国明と結婚し、人気タレントとなるが、清水と離婚後、1991年にガンで他界してしまい、世間を悲しませたものだ。そのクーコが、ザ・シュークリーム解散の後に、一時リーダー格として活動していたグループが、クーコ&エンジェルスである。これもわたしは、リアルタイムで意識した記憶はほとんどないのであるが、数年前に出た「Flower Pops Vol.6/ガール・グループ天国」というコーピレーションCDに入ってた『愛のときめき』という歌が秀逸で、わたしのiPodの中でも最も頻繁に愛聴される曲となっていた(下記にて視聴可能)。
http://www.barks.jp/cdreview/?id=52014061
この非常にイカしたビートで、ちょっぴりサイケに逝っちゃてる感じの曲は誰が作ったのかとクレジットを調べてみると、作詞:チャーリー石黒・藤はじめ。作曲:リンジー・ディ・ポール。編曲:渡辺直人とある。チャーリー石黒というのは、東京パンチョスのリーダーで、森新一育ての親ともいうべき大物だが、それはともかくとして、どうやら、この曲はリンジー・ディ・ポールの歌のカバーのようだ。リンジー・ディ・ポールは、1970年代英国の人気女性アーティストで、わたしも「恋のウーアイドゥ」くらいは聴いたことがあった。『愛のときめき』の原曲のことはよくわからないが、とにかくこれは名曲なので、探してみよう、と思い、リンジー・ディ・ポールのベスト盤というCDを入手したが、これと思われる曲は無かった。まあ「恋のウーアイドゥ」は好きなナンバーなので、損をした気にはならない。で、日本で普通に入手できる音源はそのアルバムだけだったので、謎は宙に浮いたままであった。
さて、先日タワーレコードをブラブラしていると、「ブリティッシュレジェンド・コレクションvol.19/リンジー・ディ・ポール/SUPRISE(再発/限定紙ジャケット仕様)」という新発売CDを発見した。曰く、「元祖ウィスパーリング・ヴォイス!! ギルバート・オサリバンを売り出したゴードン・ミルズが、女性版ギルバート・オサリバンとして売り出したSSWのファースト・アルバムが、遂に世界初CD化。日本で大ヒットした『シュガー・ミー』収録。ボーナス・トラック7曲収録」とのこと。
さっそく購入し、聴いてみる。悪くはないが、どこが女性版ギルバート・オサリバンなのだろうとも思う。さて、アルバム「SUPRISE」の10曲の中には『愛のときめき』の原曲はなかった。フーッと一息つき、続いてボーナストラックを聴く。11曲目『愛のつまずき』……タイトルは似ているが違う。そして、次に流れる12曲目『恋のためいき』。おっ。これ!これこれ!
原題は『 Getting A Drug 』。なんだろう、「ヤクってます」みたいな意味でしょうか?ファーストシングル『Sugar me』(全英5位)に続く、セカンドシングルで全英18位とのこと。個人的には、『Sugar me』よりこっちのほうが断然好きです。なんちゅうか、これ、雰囲気はロキシーミュージックっぽい。ロキシーミュージックに『Love is the drug』ってのもありますね、ただし『 Getting A Drug 』の曲調は『Let's stick together』に近い。どっちが古いのだろう。たぶんリンジーのほうが古そう。でもブライアン・フェリーが歌ったらキマリそう。
それにしても、ようやく原曲に巡り会えた。ホッと一安心。クーコ&エンジェルスの『愛のときめき』は、リンジー・ディ・ポールの『恋のためいき』だったわけです。いま、世の中に、リンジー・ディ・ポールの『恋のためいき』など気にしている人がどれだけいることでしょう。そして、それ以上にクーコ&エンジェルスの『愛のときめき』に思い入れのある人がどれほどいるでしょうか。そんなマニアックな2点をつなぐ、さらに稀少な回路を見出せて、非常に幸福です。イェイェイェイェッ、アーンってなもんです(←こういう歌詞が出てくるのです)。
で、この2つのヴァージョン、どっちのほうがいいかといえば、これはやはり、クーコ&エンジェルスの『愛のときめき』のほうに軍配を上げたい。こっちのほうが安っぽいセクシーさが満開。そのだささがたまりません。カラオケにいれてほしい。歌詞も編曲も素晴らしい。……なんたってわたしは、あのホリーズの名曲『バスストップ』でさえ、キャンディーズによるカヴァーヴァージョン(アルバム『危ない土曜日/キャンディーズの世界 』所収)のほうが素敵だと思ってるくらいですから、ま、そういう価値判断のセンスがあってもいでしょう。