BROADWAY FLEA MARKET | もずくスープね

BROADWAY FLEA MARKET

前々回、NYの困った点をいろいろ書き連ねましたが、もちろん素敵な点もあります。
【1】バス・地下鉄が、200円均一、MetroCardで乗り放題。ほぼ24時間営業。終電などない。
【2】信号無視があたりまえ。これは、日本以外のほとんどの国で似たようなものらしいですが。
【3】様々な人種がいて、様々な言語を喋ってます。
【4】建物が古いもの、新しいもの入り混じって、街の風景がどこも素晴らしい。
【5】“ノーブラでござい”ってな感じの女の子が多い。しかも、やけに薄着なんだな、これが。
などなど……。

“ノーブラ”といえば、そうそう、今回あたくしがNYに出かけたのは、セレブの女王パリス・ヒルトンに遭遇できないものかという冗談のような夢のような裏目的があったからですが、東京で叶姉妹に会うならどこかの試写会にでも行けばいいだけの話ですけど、NYではどうしたらよいものか。とりあえず5番街を散策して「ヒルトンタワー」に行きましたが、もちろんそうやすやすとヒルトン姉妹はいませんでした。


hiltontower

ただ、宿泊したホテルのそばの、アスタープレイス駅近くで自分の前を歩いていたカップルのうちの女のほう(いかした金髪美人)が、やたらミニの黒いワンピースを着ており、風が吹くと尻まわりの裾がペラッとめくれるのだが、なんだかどうもパンツがみえないんだよねえ。いきなり尻なんだよね。つまり“ノーパン”なんだな、これが。この無防備さたるやよし! でもって、彼女でよい、と思った。 彼女こそ、街で見かけた「わが心のパリス・ヒルトン」ということにしよう、と。

一方、街でみかける女子学生の中には、制服姿なのにヘソ出しルックの娘もいたりして、また、そういうファッションが女子学生向けファッション誌の表紙にもなっていたりしていて、つまりは街中にはブリトニーちゃんもいっぱいいるんだよね、これが。そして、うちの妻などが店で服を物色してると、店員が「これを着ればブリトニーになれるよ」なんて声をかけてくる。つまり、この街の女子たちの目標はみんなブリトニー・スピアーズなんだなあって思いました。けっしてヒラリー・ダフちゃんではないんだなあと。

さて、9/25、チェルシー界隈で、ゲイばかりの集う店でなぜかブランチをとり、そこから8番通りを散歩しながらブロードウェイまでゆくと、シューバート・アレイ界隈にて、大々的なブロードウェイ演劇のフリーマーケットが行われておりました。こんなことが行われているなど知らなかったので、大いに驚き、喜びました!
http://broadwayworld.com/viewcolumn.cfm?colid=5055


 

そこでは、古い「プレイビル」(観劇の際にもらえるプログラムの小冊子)や、スターのサインの入ったポスターやらグッズやら楽譜やら、歴史的傑作で使用された小道具やら衣装やら、演劇ファンにはたまらない物がいっぱいいっぱい売られていたのです。高価なものは、オークションで競売にかけられます。また、セレブコーナーでは、現在上演中の舞台のステージが次々にやってきて、チャリティ募金サイン会をおこなったりしています。あたくしの通りかかった時には、ちょうど『SPAMALOT』組が、ティム・カリー以下、並んでサインをしてました。



 

うちの『アニー』好きの妻は、古い『アニー』のパンフやプレイビルを掘り出して購入。また、劇団自己批判ショーの小菅節男氏や制作の七尾さんは、『オペラ座の怪人』のシャンデリアの一部を購入したようです。あたくしはといえば、ソンドハイムの『太平洋序曲』の初演の時のプレイビルを見つけたのですが、今回ツアコン同様の働きをしてくれていた友人のY君が羨ましがるので譲ってあげました。と、そのとき、マーケットのさほど人だかりのしていない一角で、地味な年寄りのサイン会がおこなわれつつあるようでした。何気に見ると年寄りの脇に「Edward Albee」という紙が貼られている。ふむふむ、Edward Albee……、何? エドワード・オールビーだって? 「動物園物語」や「ヴァージニアウルフなんてこわくない」でおなじみ、アメリカ現代演劇界の鬼才オールビーではありませんか。わお! つい二度見しちゃいました。で、さっそく「幸せの背比べ」(日本では黒柳徹子が上演しました。ピューリッツァ賞受賞作)の戯曲を20ドルで購入し、そこにサインをして貰いました。この偉大な作家の、さりげのない地味さは一体何?というかんじでした。



 

友人のY君が「おおっ」と興奮した有名人としては、有名振付家のジェリー・ミッチェル(この人はY君に巨大な「男根仕舞袋」を売りつけようとしたり、例によって「これを着れば君もブリトニー・スピアーズだ」などという売り文句でうちの妻に女性ダンサーの衣装を勧めていました)や、「ウイキッド」でオズの魔法使いの役をやっているベテランのベン・ヴェリーンなどがいました。他にも、フリマの各コーナーには舞台の出演者やスタッフとおぼしき人が沢山いて、いろいろなものを販売していました。




ちなみに、あとで調べてみたところ、ここでの収益は、演劇界でエイズにかかっている人々のケアのために寄付されるとのことです。このイベントは毎年9月下旬に開催されているようです。また、この日の夜には「ウイキッド」を上演しているガーシュイン劇場で、ハリケーン・カトリーナの被害者のためのチャリティコンサートもおこなわれ、こちらにもライザ・ミネリをはじめとして、凄い顔ぶれが集結したようです。
http://broadwayworld.com/viewcolumn.cfm?colid=5056

こういうチャリティなかんじのお祭り、日本の演劇界にもあったら面白いだろうなあ。