7月3日の財務省の発表によると、国の2013年度決算において、12月の見込みよりも税収が約1兆6000億円伸びる見込みとなったようです。
その中で、最も税収が伸びたのはですが、これはアベノミクスの効果とは言えません。これは管政権のときに、株式の売却益にかかる税制改正(税率アップ)を行ったのですが、これが施行される今年1月を前に駆け込みで13年中に売却うという動きが広まったためです。
アベノミクスで日本経済の実力がついたとは言えません。
第一にアベノミクスのポイントは、株高だと思います。これが以前よりも比較的高い水準にあるため、安倍政権の支持率は維持されています。しかしこの背景を少し見る必要があります。
政府は、秋にも年金積立金管理管理運用独立行政法人(GPIF)の資産配分を変更し、株式比率を引き上げる方針を固める意向を示しています。130兆円をものGPIFの運用資産比率を1%変更しただけでも、大きなインパクトがあります。これを好感して、株式市場では数ヶ月前から、株価が持ち直しています。GPIFはそもそも、ハイリスク、ハイリターンの株式比率を上げる事は、年金積立金という資金の主旨から言うとあまり適当とは言えませんが、政府はこのような事もやって株価を挙げようとしています。
次に、円安です。今の円安傾向は、日銀の異次元緩和によってもたらされています。日銀はマーケットに資金をジャブジャブに供給するため、銀行などが保有する国債を大量に買い入れています。
日銀の発表した資産循環統計によると、3月末での日銀の国債保有額は過去最大の201兆円となり、過去1年間で70兆円も増え、保有比率も20%を超えました。ついに日銀は保険会社を抜いて、最大の国債保有者となったわけです。これについてはあまり報道されませんが、様々な懸念が示されています。国債の信用度の低下を招くのではないかとの懸念や、日銀が金融緩和を縮小する際、つまり国債の購入規模を縮小する際には、国債が当然売れなくなるので、長期金利の上昇がもたらされ、日本の財政はつんでしまいます。
私は、冒頭申し上げた通り、アベノミクスで日本経済の足腰が強くなってきているとは思いません。むしろ、金融政策や年金資金の株式比率を上げる事で、リスクは高まってきていると思います。報道では株価や税収について、表面的な数字が取り上げられます。安倍政権は今のところ、表面を取り繕うことには成功しているようですが、中身はどうでしょうか。
その中身を国民が知ったとき、その落胆と国民に対する損害は大きなものになるでしょう。
そうならないように、我々もしっかりと指摘をし、正すべきところは正していかなくてはなりません。