福田平八郎展 | 映画と私

福田平八郎展


大分市に生まれた福田平八郎(1892 – 1974)は、18歳のとき京都に出て絵を学びました。自然を隅から隅まで観察した写実的な作品で評価を得たのち、昭和7年(1932)に《漣》(重要文化財、大阪中之島美術館蔵)を発表し、その大胆な挑戦で人々を驚倒させました。その後も《竹》(京都国立近代美術館蔵)や《雨》(東京国立近代美術館蔵)など、色や形、視点や構成に趣向を凝らした作品を制作し「写実に基づく装飾画」という新しい時代の芸術を確立しました。


大阪の美術館では初、関西でも17年ぶりの回顧展となる本展は、代表作や所蔵館以外では初公開となる《雲》(大分県立美術館蔵)など、初期から晩年までの優品約120件を展示しその魅力に迫ります。また「写生狂」を自称した画家の瑞々しい感動やユニークな目線を伝えるスケッチ類も紹介して名作誕生の背景を探ります。

(中之島美術館HP)


福田平八郎のことを知らなくて、

今回一挙にみることができて、ほんとに幸せ。

優秀だった学生時代。

写実主義であらゆるものを描くことを目指していたが、それは無理だと気付く。

スランプを経験して、あらゆるものを描くのではなく、大自然の呼吸、脈拍みたいなものを捉えようとする。


「漣」はやっぱり最高にかっこよい。

水面を大胆にこんなふうに描く。




「竹」

こんな色の竹が新鮮!



「筍」

デザインがモダン


「水」

色合いが好きだな。


「雨」

瓦に落ちる雨。その一瞬を切り取る。

すごい。大好きな作品。



「新雪」

これも雪が石の上に降り積もっていく。

雪の音がきこえてきそう。



「氷」

氷なのかわからないけど

よくわかる。


水面も雨も雪も、形を常に変えていく。

流れている時間のその瞬間を捉える。

それがすごい。


絵のスタイルはさらに変化して、

表現に対する貪欲さは死ぬまであったようだ。

お菓子や食べ物、

テレビの天気図、子供の絵など。


「海魚」


「游鮎」


「紅白餅」


「うす氷」


「牡蠣と明太子」


子供の絵の模写

現代アメリカ絵画展の模写


写生する時は必ずそのものに触れていたそう。

一生を通して、自然に対して敬意と愛情を持って

絵を描くその姿勢と、あらゆるスタイルに絶えず挑戦し続けるのもいいな。

覚悟をもって、対象に向き合う。

その眼差しはいつも鋭く優しかったのだろうと絵をみていたら思う。

何より今みても全く古くさくなくて、モダン!

法然院にお墓があるらしい。

谷崎と同じ。いつかお参りしてみたい。


心に残った言葉

「自然の隅から隅迄、出来る限り微細に探求し分析して行って、そうした態度によってのみ

此大自然は解決されると思われた。」


「駄目だ。到底人間の力では、自然のあらゆる部分など見究め得るものではありはしない。」


「私は素直になろう。そしてもっともっと歩るき廻わらう。美の遍路者になって、今迄覗かなかった所も覗こう。」


「何処でもいいから自然の一部を切り取って、純な気持ちで描こう。」


「すべての愛の極致は、この触れるという事に帰着するのである。」


「人間は凡人になるほど落ちつくようだ。」