枯れ葉 | 映画と私

枯れ葉

フィンランドの首都ヘルシンキ。理不尽な理由で失業したアンサと、酒に溺れながらも工事現場で働くホラッパは、カラオケバーで出会い、互いの名前も知らないままひかれ合う。しかし不運な偶然と過酷な現実が、2人をささやかな幸福から遠ざけてしまう。

(映画.com)


久々カウリスマキ。

沁みたー。

複雑なストーリーはいらない。

シンプルだけど、丁寧だからそれでいい。

社会の片隅にいる人々。

改めて陰影の濃い映像は、

影を見せたいからなのかと

思った。

影が濃いほど、ラストの枯葉と空が心に響く。


スーパーの廃棄する商品を見つけて捨てる仕事をしているアンサ。

廃棄するものを、拾いに来た人にあげたら

クビになった。

まだ食べれる商品をボンボン捨てていく。

アンサもまた廃棄されてしまう。


ホラッパは、酒がないと生きていけない。

仕事はするものの、常に酒を持ち歩く。

仕事中も飲む。

それがバレてクビになる。


2人が出会い、すれ違いながらも、

やっとアンサの家でディナーを食べた時は

よかった!と思ったのだけど、それも束の間。

ホラッパがアル中であることを知り、

付き合う前に別れてしまう。


もう会えないのかなと思ってたら、

ホラッパはアンサのために酒を断つ。

おー!すごい。

その矢先、トラムに轢かれてしまう。

ささやかな幸せを願い努力した

ホラッパ!そしてそれを待っていったアンサ。


誰しもがふたりの幸せを願わずにいられない。

意地悪な展開はいらないー!と思ってしまった。

その願いは叶い、2人は結ばれる。

事故はカルマ落としだったのかもしれない。


人間の幸せってそれぞれかもしれないが、

誰かに名前を呼ばれて、

相手の名前を呼んで暮らせたらそれでいいのかもしれない。

そしてさらにかわいい犬までいれば

何も言うことはないのかもしれない。


シンプルな部屋、

最低限の家具だが、どれも厳選してるように

部屋にピッタリとおさまり素敵。

情報はラジオのみ。

そのラジオすら、戦争のニュースなら

切ってしまう。

流れるのは竹田の子守唄!渋すぎて、かっこいい。

携帯も通話しかできないようなもの。

スマホではない。

2024年のカレンダーがかかってたから現代なのだけど。


それがなんだか羨ましい。

情報過多な現代に、必要なものだけで生きる。

人も家具も情報も。

それでいいのだ。

いろんなものがありすぎて、

何が大事か見失わないように。


2人がみてる映画がジャームッシュのゾンビの映画だったり、映画のポスターなんかもでてきて、映画好きは嬉しい。

あの気だるそうなガールズバンドもよかったね。


カウリスマキ、引退なんて

もう言わないでねーと思った。