螢火 | 映画と私

螢火



織田作之助作の「蛍」の映画化。脚色は八住利雄、監督は五所平之助、撮影は宮島義勇が担当。主演は淡島千景、伴淳三郎、森美樹、若尾文子。幕末時代を背景に、一庶民と志士の交流を描いた佳作である。

(松竹HP)


織田作に淡島千景という大好きな組み合わせ。

観ないわけにはいかない。

寺田屋のおかみ、おとせの話。

姑や小姑に苦労し、

夫は掃除だけしか能のない道楽者。

寺田屋をひとり切り盛りする、おとせ。

それでも文句ひとつ言わず、いつも穏やか。

子どもができないことが一番の悩み。

夫の妹が子どもを預けて出ていったことで、その子を我が子のように育てる。

そして後の龍馬夫人、おりょうも縁あって預かることに。


坂本龍馬が登場してから、

少し雲行き変わる。

龍馬にときめき恋する、おとせ。

しかし龍馬はおりょうを愛していた。

娘と母との龍馬を巡ってのやりとりのシーン、若尾文子と淡島千景の演技が素晴らしい。

夫は妾を孕ませ、長年我が子のように育てた娘にもひどい言葉を投げられ、

全てを奪われていく、おとせ。


菩薩のように寺田屋を守ってきたのに、

かわいそうだなあと思ったら、

最後は意外な展開。

私はこの展開にうるっとしたよ。

伴淳三郎ええやん。


本当に大切にしないといけないものは

一番近くにいたんやね。

伴淳が寺田屋騒動のあとも、そそくさ

掃除してるの笑えた。


やっぱり淡島千景は最高。

健気さと高貴さ

坂本龍馬と娘の間に挟まれ、

葛藤する姿はさすが。

そして、嫌な姑役の三好栄子よだれ垂らしながらの怪演!すごかった。

いいもの観れました。