ヴァレリー・アファナシエフ ピアノリサイタル × 塩田千春 | 映画と私

ヴァレリー・アファナシエフ ピアノリサイタル × 塩田千春

私の好きな人同士のコラボレーション。
アファナシエフとの出会いは、たまたま図書館でシューベルトの幻想ソナタを借りたことからだ。
なんとなく聴いてみよぐらいの気持ちで借りたら、涙がでるぐらいよかった。
なんと言ったらいいのか、哲学的でもありこの世のものとは思えないような演奏。
私の秘かに好きなもの同士が合体するなんて!!
しかもこの二人。みる前からいいものになるのがわかってるような取り合わせ。
どちらも、明るいとか楽しいとかとは、全く反対のイメージ。
みる方も娯楽ではなく真剣勝負しないといけないような緊張感がある。
そしていよいよその時が。
前半はショパンのワルツから。鳥肌たった。そして泣きそう。
無表情なアファナシエフだけど、紡ぎだされる音は不思議なちからでもあるかのように
私の体にどんどん沁み込んでいく。特に好きなワルツの第7番が聴けた時は本当に至福のときだった。
後半は、ポローネズ。しびれた。英雄は圧巻。
全ての演奏が終わったとき、少しはにかんだような顔をしたのがとっても素敵だった。
会場に居た人々もみんな感動したようで、拍手はなかなか鳴り止まない。
その度に現れるアファナシエフ。アンコールはイ短調マズルカ。やっぱりいい。
ところで、塩田千春の美術だが、これはちょっと残念だった。
展示作品を映像にとって、プロジェクターで映すというだけのもので、
なくてもいいのでは?と思ってしまった。
私の中ではピアノを毛糸ではりめぐらせてくれるのかと思ってた。
まあ、でもヴァレリーのピアノは最高だったし、会場からでたら満月で
山下公園から見える海と月はかなりきれいで夢うつつで大阪へと帰ることができた。