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■隠れ家の隣に、トンでもねェ~ジサマが住んでいる。
その名は、密爺。このミツ爺は、高い所が大好きなのだ。
おだてようモンなら、電柱のてっぺんで逆立ちもする。俺の山小屋は、山間に隠れているのでTV電波が非常に弱い。お陰様で、NHKの取立人もやって来ない。ドッチラケだが、VHFだけは何とか見られる程度だ。いつだったか、どうしても映らないと密爺に言ったら、俺がアンテナ上げてやると、電柱の最先端に立ち上がって掲げてくれたのだが、やはり無理だった!

3日ほど前。薬用の果実を盗りに行くんだと、一緒に行かねぃかいと俺を誘ってきた。
高い所が苦手な俺は、断ったのだが粘り負けて同行した。急斜面の山道を、一時間も歩かされてヨレヨレだった。何しろ、TAXIバイトから帰ったのは真夜中の2時だったから。ようやく果実を見つけたジサマは、アレヨ?アレヨ?と見ている内に、山桜の大木に抱きつき登り始めた。俺は呆れて、作業ズボンのバックポケットから、ウイスキーボトルを取り出して一口飲んだ。いや数口飲んでいた。オーィ。頭の上の方から声がした。見上げると、その高さは15mもあって目が廻る。サルナシ(果実)落とすから受け取ってよぉ~!
いいから黙って早く落とせ! と言ってみたものの、上を見ると更に目が廻ってそれド頃ではなかった。案の定。殆どキャッチできずに果実は藪の中。一時間以上も採取して、ようやく降りてきた。開口一番!何やってんだよ、全然捕ってネィじゃないのよ!まったく役に立たたねぇんだから!しこたま文句を言われてしまった。それにしても、サルナシって、猿が好んで食するらしい。密爺のその姿も、猿そのものでした。

●サルナシ(猿梨)別名:シラクチヅル、コクワ 学名:Actinidia arguta
マタタビよりも明るい場所を好み、乾燥した場所でも育つ。果実は初秋に黄緑色に熟す。果実を輪切りにすと味も色もキーウィフルーツに似ている。