窪田あつこ/北条政子 | AND ENDLESS 稽古場日記

窪田あつこ/北条政子

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どの役を取っても
それぞれに
相当魅力的な生き様が
ありました。

自分の演じた
北条政子の人生も
そりゃあもう壮絶でしたが。

同じ時代に生きた
登場人物は皆
それぞれの
信念に従って生き抜く
大切な役割を背負っていました。

実は稽古場で、
私はいつも感動していました。
共演者にいつも感動させられてしまう現場は
そうそうないと思います。

彼等はいつもマジでした。
シリアスシーンはもとより、
ふざける時ほどマジでした。


上演時間15時間超の作品の稽古を
3週間でやってしまう彼等です。

阿吽の呼吸なんて、
ここでは全員が
持っていて当たり前でした。

なかなかない方々。
ここ以外どこにもいない人達。

そんな共演者を心から尊敬していました。
もちろん絡んでいない共演者も。

私は自分は出ていない
時代が始まる最初の
White
から、
『せざるを得ない選択の元
 運命の糸が絡んで行く様』を、
しっかりと共演者達が
一度きりやっただけで作り上げて行くのを見て、
こうしてはいられないと思いました。


御本人にも告白しましたが、
Whiteの鎌田正清役の須間一也さんの活躍で、
私に特に気合いスイッチが入るのです。
Redではもっともっとやんなくちゃお客様は納得しない!


お客様に
笑いと感動を


文字にするのは簡単ですが、
やる方は死ぬか生きるか
真剣勝負です。

芸人でも俳優でも大先輩の
須間さん。
毎回必ず勝手にプレッシャーを
感じさせて頂いていた私に、
須間さんは毎回必ず
気合いとエールを下さいました。


おかげで、私は
北条政子として
思いっきり
大暴れしてやりました!

その大暴れを、
共演者達はいつも舞台袖から、観てくれていました。

私も、自分の出ていないシーンを
いつも食い入るように観ていました。

今振り返ってみると共演者同志は皆が皆、
互いにリスペクトしあって
いたんだと私は感じています。


そこへいくと
西田大輔です。

15時間超の芝居を3週間で
作るヤツがどこにいますか?

でも、いるんですもんね。

演出家西田大輔は私に
『任せます』
とだけ言いました。

私にはその意味が解ります。

じゃあ、とばかりにふざけ過ぎると、
ひとしきりふざけさせてくれた後で、
『本番はちゃんとやれる人なので』
と、私にワンチャンス以上の
稽古時間をくれません。

コレにも、昔っからの
信頼関係がありました。

西田大輔は芝居バカです。
そこに集まる皆全員
芝居バカです。

芝居は誰でも始められますが、
ここは「やりたいな」では出来ません。

とことん芝居バカでないと。

そんな愛すべき、
そして選りすぐりの
バカばっかりと、
取り憑かれたように、
美しの水の激流に飲まれ、
気付けば秋。

皆さんと共にいた夏。

あの芝居は
こんな人達により、
こうやって作られました。

ふつうはこんな風に芝居は出来ません。

西田大輔という天才と、
彼等だから出来たんです。


会場に足を運んで下さったお客様。
作品との別れを惜しんで下さったお客様。
いつまでも熱い拍手をして下さったお客様。

皆様からも、ものすごいパワーと愛を感じ
私は幸せでした。

一緒の空間で一緒に時を過ごして下さって、
本当にありがとうございました。


もう北条政子ではありませんが、
今度は
皆様の中の誰か物好きな人が
窪田あつこに
会いに来て下さいますように。

それにしても、
お客様を含めて、
こんなにチームワークを感じる
劇団をうらやましく思います。

でも、それ以上に参加出来た事を誇らしく思っています。