前回までで、蔵見学の様子をお伝えしましたが、


蔵見学も無事終了し、いよいよ試飲会に入ります

でも、試飲会の様子をお伝えする前に、「呑み切り」と飲んだお酒について少しだけ補足して
おきます。

このシリーズ最初の記事で、

「呑み切り」とは、冬に仕込んだお酒を貯蔵するタンクの下の方に付いているお酒の取り出し口
(呑み口と呼びます)からお酒を少しだけ取り出し(呑みを切ると言います)、貯蔵中の酒質の変化、
火落ち(品質劣化)の有無、熟成の進み具合などをきき酒により確認する酒蔵の行事の事を言います。

と書きました。決して間違った事は書いていないのですが、現在の「呑み切り」においては少し
意味合いが異なっています。

みなさんは新酒を秋が深まった頃から春先に掛けて沢山飲んでいると思いますが、冷蔵設備や流通が
しっかりと確立していない昔は、新酒として出回るお酒は極わずか。ほとんどのお酒は酒蔵の大桶
(タンク)でひと夏を越し、秋先から出荷されていました。したがって、「呑み切り」は非常に大事
な作業でした。

現在においてはもちろんタンクで貯蔵されるお酒もありますが、搾った直後にビンに詰めして貯蔵する
お酒もあるし、「呑み切り」の時期を待たずに出荷されて行くお酒も沢山あります。

又、現在の技術をもってすれば腐造や味の大幅な劣化というのは、余程手を抜かない限り有り得ません。

したがって、現在では「呑み切り」は当該酒造年度に醸造した新酒の現時点での味をみて、秋以降の
味の変化を予想する行事と捉えて良いかと思います。(注意:私見です。)


次に、飲んだお酒についての補足です。

今回飲んだ銘柄としては、「丹沢山」と「隆(RYU)」の2銘柄です。

この2銘柄、使用するお米も、お米の精白歩合も、造り(純米とか純米吟醸とか純米大吟醸とか)も
全く同じスペックのものが「丹沢山」と「隆」で存在します。それでは、「丹沢山」と「隆」の
違いはなんでしょう? 多くの方が疑問に感じると思うので、事前に説明しておきます。

(注意:私も実は詳しくは知らなかったのですが、聞きかじりの知識でこんな感じかなぁ~程度
です。もしかしたら間違っているところがあるかもしれません

同じスペックであれば、それぞれの仕込みタンクで仕込まれてもろみとして完成する迄は、タンクの
違いこそあれ基本的には一緒です。

違いはその先の工程で現れ、「隆」の場合は搾ったお酒をすぐに一本一本ビンに詰めて貯蔵熟成する
のに対し(濾過しているかしてないか、加水するかしないかは未確認。多分無濾過無加水の原酒と思わ
れますが、正確なところは不明。今度確認してみます。)、「丹沢山」は貯蔵タンクで貯蔵熟成されま
す。

「隆」は搾ってすぐにビンに詰めてしまうため、それぞれの仕込みタンク毎の酒という事になります
が、「丹沢山」の場合はタンク毎に味を見て、タンク間でブレンドして味の調整や、加水調整をして
いるそうです。蔵人にしてみると、「丹沢山」の方がより手間がかかって大変な酒だと米山工場長
は仰っていました。

「隆」は火入れして出荷されるお酒もありますが、その場合は当然ながらビン燗火入れ。こちらは
かなり手間がかかります。又、貯蔵はビン囲い貯蔵ですから管理の手間も場所もかかります。

蔵としては、同じスペックであれば「隆」の方がステータスが高いお酒として扱っており、「隆」に
ついては、一部の「隆」を除き川西屋酒造店の社長が出荷を許可した酒屋さんしか取引が出来ないと
いう事になっています。

実は「湘南ワールド」さんも、全種類の「隆」を取り扱う事は出来ていません。小さな酒屋さん
なので本人の努力だけではなかなか難しいみたいです。取引量=どれだけ丹沢山を売っているか
とか、厳しい条件があるようです。

我々旨い酒の会メンバーとしては、湘南ワールドさんから出来るだけ多く丹沢山を購入し、なんとか
「隆」を扱える店にしたいところです。米山工場長は、「俺は湘南ワールドさん大好きだから扱わせ
てやりたいんだけど、社長がなぁ~(笑)。」なんて仰ってましたので、その日は近いかもしれません
???

さて、前置きが長くなりましたが、試飲会の様子です。

イメージ 1  イメージ 2

↑左:ちょっと写真の写りが悪いですが、ここに並んでいるお酒(全部別々のお酒ですよ!)を飲ま
  せて いただきました。燗も自由にしていいよとの事で、お燗でもほ楽しみました♪♪♪
  写真に写っている女性は社長の奥さんです。お奇麗な方です。

 右:なんと、強い香りが出て酒の香りを邪魔するものでなければつまみの持ち込みもOK!
  という事で、豪華に「カラスミ」なども持ち込み♪ 酒に合い過ぎ♪♪ 酒が進みます♪♪♪

飲む前に、米山工場長より、「新酒はどうしても苦味や渋みが残っていて、渋いとか、
かたいとか開いてないとかの感想が多いんだけど、そりゃ当たり前だし、それだけじゃ寂しい
んで、熟成してこれらの欠点が取れた時にどうなるのかを想像して楽しんでね!」との
アドバイスがありました。

なるほど、新酒はそのものの味も楽しめるし、この先どう変わっていくかもも予想して楽しむ
事も出来るんですね。一同納得。

ここからは一気に飲んだラインナップの写真を。↓

イメージ 9  イメージ 10

↑生酒のラインナップ。一本を除き24BY。

イメージ 11  イメージ 12

↑「隆」。生/火入れ取り混ぜて。同じ色で2本あるのは仕込みタンク違い。

イメージ 13  イメージ 14

↑こちらは特に燗酒が冴えるゾーン。

イメージ 3  イメージ 4

↑左写真の右下に置いてあるのは、「丹沢山 麗峰」による燗つけ温度による違いを実感する
   実験シート。40℃、50℃、60℃、70℃、一旦70℃にして60℃にしたもの、70℃から急冷し
   て常温に戻したものを実際に飲ませていただきました。
   温度による違いを実感しました。温度によってホントに変わります。面白い♪

   右の写真のお酒は、「隆 熟」ヴィンテージ2000年。
   播州山田錦純米大吟醸(いわゆる「黒隆」を12年蔵で寝かしたもの。今年から発売。
   超限定酒。実は数年前に私はこの酒になる酒を飲んだことがある! その時も美味しさに感動
   しましたが、更に熟成が進み神々しい酒に。今回一本ゲットしたので、詳しくは後日レポート
   します。

飲んだのは多分23種類!!!
これだけのお酒を楽しむ事ができて大満足チョキ
米山さん、湘南ワールドさん、本当にありがとうございました!!!

イメージ 5  イメージ 6

↑試飲の様子。


イメージ 7  イメージ 8

↑大満足の旨酒キューティーズと、工場長の米山さん。やっぱりカッコいい!!!


最後に、米山さんに教えていただいた燗酒のテクニックを紹介してこの記事を閉じます。

せっかく燗酒をしたのに、時間が経ち過ぎて燗ざましになってしまい、お酒がダレてしまったら。
そんな時は、元のお酒を燗ざましのお猪口に2~3滴垂らしてみてください!
あ~ら不思議、美味しいお酒に蘇ります!!!

本当ですよ。お試しあれ~パー