さぁ、出かけるぞ!とホテルを出ようとしたら、フロントで呼びとめられた。
『今日は何処に行くんだい?』
迷わず答える。
「ムラーノ島!」
そうかそうかと頷くフロントのおじさん、おもむろに地図を広げココだねと指差す。
「そう、そこに行くんだ。ヴェネツィアングラスだよね」

『よし、船を出してあげよう。少し待っていなさい』
えぇ?船出すぅ?
『大丈夫、ゲストへのサービスだから』
そっか、このホテルは高級だった。
高級なところに泊まると、こういう特典がつくのか。
昨夜、もう少しホテル案内をマジで見てれば良かったか。
でも呼びとめてくれたからラッキー。

少しして目の前の船着場のボートに案内された。
『いいかい、帰ってくるときもこの船に乗るんだ』
うん、わかった。
『違うのに乗っちゃダメだよ』
は~い。
かくして私と友人の2名は、船頭さん?の手を借りてボートに乗りこんだ。

貸し切りだぁ。
そう、私達しか乗ってないボート。
ちゃんと真ん中がガラス張りの部屋になっていて椅子もある。
ゴンドラよりかなり大きい。(ちょっと優越感)
最後尾は景色が楽しめるようになっている。
座ってなどいられない、最後尾へ行こう。
モーターボートなので風を切って走る走る。
始めは路地のように入り組んだ運河を縫うように走る。
浸水した1階部分、家から家へ掛けられた洗濯物。
ヴェネツィアの普段の生活が垣間見れる。
風がきもちい~い。

バァと広い運河に出た、スピードup!
すごいすごい、子供のようにはしゃぐ2人。
つかまりながらも私は身を乗り出してムラーノ島を見た。
その時。。。
ザブ~ンとしぶきがたって、ベシャと運河の水を被ってしまったのだ。
ぎゃー!冷たいー。

運河と言うのは見た目はとてもうつくしいものであ~る。
遠目に見ればビューティホーである。
しかし現実は厳しい。
近くで見たものにしかわからないが、とても汚い。
私はこんな物を被っちゃったんだよぉ。
かなりショック、でも1日は始まったばかり。
この天気だ乾くだろう。
それでも髪の匂いをくんくん嗅いで大丈夫かと確認するのを忘れなかった。

そんなこんなでムラーノ島に到着。
『ガラス工場はココだよ』と言われて進むと案内人がやってくる。
1階が工房だ。
入ると既に何人かの観光客が来ていた。
2人の職人さんが働いていて、長い鉄の棒にクルクルと巻きつけたり息を吹き込んだりしている。
向こうには轟々と燃え盛る火。
こんなに離れていてもとても暑い。
釜の横には開け放たれた金庫。
開けてて金庫の意味が?と思っていると、なにやらペロンとしたものを職人さんが出してくる。
そして、棒の先についたまだ柔らかいガラスにクルっと巻きつける。
あ、金箔だ。
だから金庫か、納得。

あまりの暑さにちょっとグッタリになったころ、2階の商品陳列室にご案内。
高いものは買えないよ。(心の中)
『日本にもたくさん送ってるんだよ』と話ながら案内してくれる。
儲けてらっしゃるんで。。。(心の中)

すーごーいー!
部屋の上に豪華なガラスのシャンデリアが、これでもかってほど吊られている。
なんて綺麗なのぉ。
思わず息を呑む、繊細な装飾にボーゼン。
まわりには赤や青、緑色したグラスの数々が。。。。

来て良かった!!!
ごっつあん気分でいろいろ物色した挙句、割れずに持って帰れるイヤリングを購入。
購入したことによって、ムラーノ島に来たんだという実感が沸いたのは言うまでもない。
帰りもホテルマンのお言い付け通り、おんなじ船で船着場に戻った。
行きであれだけ懲りたハズなのに、ボートからまた身を乗り出してあわやな目にあったのであった。
学習機能ついていないのか?>自分
でも、こんな風に貸し切りで過ごせるなんて、とってもラッキーなことだよね。