『旅』 永島真之介
前回の公演が終わってから、いろんなところに行きました。
家族旅行で行った那須高原、ドレメン&塚本拓弥さんでラフティングで行った長瀞。
それからも広島や三重などいろいろなところへ行きました。
広島や三重は遊びに行ったわけではないのですが、広島ではとても印象的な出来事があったのでここに書こうと思います。
写真の場所。みんな教科書をはじめいろんなもので観た事があると思います。
僕ももともとは教科書とかでこの場所を知っていました。
原爆ドームというやつです。
なんとなく青空の下にそびえてるイメージがあったんですが、僕が行った時は夜で、下から照らすように明かりがともってました。
一瞬でイメージが覆りました。
とても浅はかかも知れないけど、上に書いたようなイメージを僕は持っていたから、この景色は衝撃的でした。
あの瞬間、全部なくなって、あたりに人は熱くて、助けてほしくてきっとすぐ近くにある川に飛び込んだ人もいたと思う。だけど川もきっとその川の水も熱波で熱くなってて・・・
勝手にそんなイメージがはしってそこから動けなくて、しばらくぼんやり眺めてました。
あの日の夜もこの建物はこのままあって、きっとこんな風に見上げている人もいたのかもしれません。
人の生き死にって舞台でも描かれます。
そのたびに自分の中でもその事実に対するイメージを持っていたはずなのに、この建物はそこにあるだけでそのイメージがどれだけ浅はかだったかを思い知らせてくれました。
なんか悲しいとか驚いたとか、感動したとか、そういう言葉じゃなくて、うまく言い表せない気持ちになって、帰途につきました。
翌日、タクシーの運転手のおじさんに窓から見えた古い教会が、いつからあるのか聞いてみました。
戦後と、答えてくれました。
あの建物以外は本当に何にもなくなっていたんだなぁと思い知らされました。
今年の旅の中でいちばん印象的な出来事で価値のあると感じた時間でした。
もっともっと世界を知りたいと、そう思いました。