この記事は、中絶、死産に関する内容です。
ご気分を害される方や、妊娠中の方は見るのをお控えください。
今まで検診日は全て晴れでした。
でも、この日は強い雨が降っていて、どんよりとした天気でした。
傘を差し、紹介状を握って大学病院に向かいます。
行かなければ。
そう思う気持ちと、ここで引き返して帰りたい、という気持ちが交差しました。
とりあえず夫にLINEをしました。
仕事中です。すぐに既読になるはずありません。
母には朝に、念のため病院に行ってくるという旨のLINEを入れいていたので、
「どうだった?」
という返事が来ていました。
「今から大学病院に行ってくる」
「どうしたの?どういうこと?」
母も仕事中だったはずですが、すぐに返事が来ました。
この瞬間、一気に涙が溢れました。
傘で泣いているのを隠しながら歩き、どうか夫のLINEが既読になって欲しい。と思いながら。
そして、初めて大学病院に入りました。
受付を済ませて待合室に行くと、たくさんの妊婦さんがいました。
予約の電光掲示板を見ると、「現在診察中 10時予約」
とありましたが、その時すでに11時半。
ああ、だいぶ待つんだろうな、と思いました。
すると、受付の人に声をかけられました。
「まだ時間がかかりそうなので、外で待っていただいて構いません。30分前になりましたらお電話でお呼びすることも可能です」
そう言われたのでお願いしました。
とりあえず、家に帰りたい。そう思ったんです。
家と大学病院もかなり近いところにあります。
雨の中、とりあえず一旦帰宅しました。
母からはたくさんのLINEが入っていたのでとりあえず電話しました。
言われた全てを母に話しました。涙でぐちゃぐちゃになりながら。
「旦那さんは?一緒についてもらえないの?あんた1人で話聞いてくるの?」
その時から母は私の心配ばかりしてくれていました。
だって既読にならないもん、仕方ない。
夫も朝の私の様子を見て、病院で何かあったんじゃないか、なんて想像していなかったと思います。
電話を切って、少し落ち着いていると病院から電話がありました。
それと同時に、夫からもLINEの返事がありました。
「今から会議だけどそれが終わったら大学病院に向かう」と。
病院に戻り、中の待合室に呼ばれました。
心臓がバクバクして冷や汗が止まりませんでした。
その間も、検診であろう人たちがエコー写真を持って嬉しそうに診察室から出て来ます。
夫はまだ来ません。
やっっと、診察に呼ばれました。13時半を過ぎていたと思います。
言われるがまま、経腹エコー。
いつもよりかなり長い時間、診てもらっていたと思います。
ああ、こんなに足も長くなったんだ。手のひらパーにしてる。
薄暗い部屋で、静かに静かに、先生がマウスを動かす音だけが響きました。
先生がようやく口を開きました。
「うん、これはね、胎児側の頭部の異常だからね。下からもういっかい見せてくれる?」
さらっと言われたのですが、ハンマーで頭をガツンと!と殴られたような感覚がありました。
涙も出て来ません。
案内されるまま経膣エコーに切り替わりました。
「・・・・・・うん。間違いないね」
「着替えたら診察室戻って来てください」
全然頭が追いついていませんでした。
診察室に戻ると、先生はおもむろに紙に人間の脳の図を描き始めました。
「ここがね、本来は・・・・・・・・」
だめ。全然理解できない。
「脳にあるはずのものが一部ないと思う。そこに水が溜まっているのか。というかんじかな。」
「どの程度欠損しているかエコーではわからないから、来週 MRI撮りましょう」
はい?全然わかんない。
この時、私がどんな表情をしていたかわかりません。
ただ一つ、泣きたい。それだけは思っていました。
でも、今話を聞いているのは私だけ。しっかり聞かなくては。
この子の母親なんだから。
そう思っていました。
そして、
淡々と話す先生は、冷酷にもはっきりと言いました。
「たぶんこのまま大きくなって、臨月迎えて産むことはできると思う。
でも、現時点でどの程度の障害があるかは分からない。生まれてきてからじゃないとわからないと思う」
「ただ、恐らく自分の意思で手を動かしたり、立ったり、もちろん食事も。そういったことはできない可能性が高いと思う」
「今、まだ17週だから。今回は諦めて、また次っていう選択もある」
・・・・・・・・
何を言っているの?
この子はこの子しかいない、また次って何?
もう気持ちがぐちゃぐちゃでした。
私のせいでこうなった?
「原因はなんですか?」
振り絞るようにして出た言葉はこれでした。
「わからない。成長過程でなんらかの原因で血液が脳に一部行かなくなったんだろうけど、はっきりとした原因はないです」
なんだそれ。そんなことあるの?
もう気持ちはぐちゃぐちゃでした。
淡々と話しをされ、中待合室に戻りました。
もう、周りの目なんて気にできないくらい泣きました。
他の妊婦さんや、付き添いの旦那さん達がちらほらいました。
恐らく、他の妊婦さん達から見たらすごく不安になったと思います。
でも、私は今どこにも行くことができません。
ハンカチで顔を覆ってひたすらに泣きました。
そして、やっと夫が到着しました。
私の顔を見て、物凄く驚いていました。
何があったのか説明しようとしても、うまく言葉が出てきません。
診察室から先生が出てきました。
「あ、旦那さん?よかったらもう一度説明しようか?同じことしか言えないけど」
お願いしてもう一度話しを聞きました。
もう私は放心状態で何も言えませんでした。
夫も同じように原因を聞いていたりしていたように思います。
でも、あまりにも突然過ぎて、2人とも思考が追いついていなかったのは確かです。
次の月曜にMRIの予約が入れられ、予約表を受け取り、お会計をして帰宅しました。
さて、これからどうすればいい。
続きます。