ピッピのはじめてのおつかい その2
ピッピがしばらく森の1本道を歩いていると、向こうから何やらぶつぶつ一人ごとを言いながら歩いてくるウサギのおじさんに会いました。
ウサギのおじさんはピッピに「おじょうちゃん、こんにちは。どこかにおでかけかね?」と声をかけました。
「うん、森の向こうのおなぁちゃんちに、パンとジャムを届けに行くの」
「そうかい、それはなかなか感心だね」と言いながらウサギのおじさんは持っていた懐中時計を見て
「いまはまだ、10時だからお昼までには少し時間がある…。どうだい?おじょうちゃん、おじさんが面白いところにつれていってあげるからほんの少しだけ、遊んでいかないかい?」
「うん、いいよ。」ピッピはお母さんから注意されたことなどはもうすっかり忘れてそうこたえました。
木の上では小鳥たちがピッピとウサギのおじさんのやり取りを見ながら
何やらささやきあっていました。
「♪い~けないんだ、いけないんだ おばぁちゃんがまってるのにぃ~♪」
赤聞き耳ずきんを被ったピッピにはそのささやきがわかっていましたが、
ピッピにはもうそんなことより、このウサギのおじさんがモッタイぶってのぞく懐中時計がとっても気になっていました。それにこのとぼけたようなひょうきんなウサギのおじさんが妙に気にいってあとをついていくことにしました。
ウサギのおじさんについていくと木のかげになっているところに大きな大きな洞穴がありました。ウサギのおじさんは得意そうにその前に立ってピッピに言いました。「おじょうちゃん、ここにこれからおじさんといっしょに入ってみるかい?」
「いいよ、でもなにがあるの?」ウサギのおじさんはもういちど手に持った懐中時計をのぞきながら答えました。
「中にはジカンがあるんだよ。」
「ジカン?」
「そう…この森の中にはジカンがないんだ。ジカンがないからヒトと約束ができなかったり、ご飯を食べるジカンや寝るジカンもわからなくなることないかい?」
ピッピはうなづいて、「うん わからなくなることあるよ」と答えました。
★
ピッピがウサギのおじさんと洞穴の入口まで戻ってくるのにどのくらい時間がたったのでしょう。
ピッピは「ウサギのおじさん、とってもおもしろかったわ!ありがとう」と言いました。
「いけないいけない。ジカンがないよ」ウサギのおじさんはそうブツブツ言いながら
「おじょうちゃん、11時になってしまったから、早くおばぁちゃんちに行かなきゃね」といいました。
「ウサギのおじさん、ありがとう。じゃ、わたしおばぁちゃんちに行ってくるね」と言ってウサギのおじさんにサヨナラをしました。