国立感染症研究所、アジアで情報共有…次のパンデミックに備えインド・ベトナムなどと


アジアの感染症情報を迅速に共有するため、国立感染症研究所のチームが各国・地域の公的研究機関とネットワークの構築に乗り出す。情報が不足したコロナ禍を教訓とし、共同研究の実績があるインドやベトナム、台湾などと連携を深め、各地の感染状況やウイルスの解析結果などを共有する。次なるパンデミック(世界的大流行)に備え、国際連携を強化する方針だ。



計画によると、感染研とともに中核機関となるのは、インド国立コレラ・腸管感染症研究所、ベトナム国立衛生疫学研究所、台湾衛生福利部疾病管制署。

 コロナ禍では、ウイルスの特徴などを適切に情報収集できないまま、国境を越えて感染が拡大し、対応が遅れた。このため感染研は、広域的な体制整備が必要と判断した。



ネットワークは感染研が主導的な役割を担う。すでに2023年度から準備を進めており、早ければ26年度にも発足させる。当面は各地で流行する感染症の発生動向を3機関と共同で探るほか、ウイルスや細菌など病原体のデータを蓄積する。検査法の開発や診断技術の向上にも取り組む。


 参加機関は東南アジアや南アジアの計十数か国に広げることを想定している。アウトブレイク(大量感染)で病原体が日本に侵入する事態に備え、病原体のゲノム情報や患者から分離したサンプルを速やかに共有する有事の仕組み作りを検討。不足する研究者の育成を図るほか、中国、韓国とも情報共有する考えだ。


 類似の枠組みはアジア以外には存在する。仏パスツール研究所は欧州やアフリカなど二十数か国でネットワークを確立しており、将来的にはこうした枠組みと協調し、世界規模で連携できる体制を目指す。


 感染研のチームは準備期間となる23~25年度の3年間で、国立研究開発法人・日本医療研究開発機構(AMED)から最大計約2億8500万円の支援を受ける。







    



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