父が倒れた5年前。

5年前のある日の朝、布団とは別のところで倒れている父を発見したのは、80代の母だった。

救急車を呼び、その日のうちに入院となった。

もともと糖尿病の疾患があったのだが、検査をしたが、倒れた原因は分からなかった。

目を覚ました父は、見慣れない風景にパニクってしまい、暴れ出した。
点滴を抜き、ベッドから立ちあがろうとするし、看護士さんのいうことを聞かず、「家に帰りたい」と騒ぎ出した。


お医者さんも看護師さんも、家族も、全ての人間に対して不信感をあらわにし、母も私も、手に負えない。80を超えた父でも、力は強い。

振り払う腕が当たれば、吹っ飛ぶほど強かった。

検査で絶食のため点滴。
しかし、父は点滴を腕から抜き、検査や治療もさせなかった。
そしてついに、両手に手袋をはめられてしまい、自由を奪われてしまった。

父は、幻覚をみるようになり、天井に向かって話しかけるようになっていっだ。

壊れてしまった。、、、、
悲しい。と思う余裕はなく、目の前の父は、私の知る父ではなく、怖かった。というのが本当の気持ちだった。

そして、MRIの結果「脳の異種か見られる認知症」と、診断が出た。


それが5年前だった。