woodstock museumに行ってきました。
(行ってきてだいぶ時間がたったんですけど。。。)


1969年のウッドストックフェスティバルといえば、音楽的に重要っていうだけでなく世界史の教科書に載るほどのイベント。
1960年代というのは音楽だけでなく歴史上でも一つの盛り上がりを見せる時代で、その時代の人たちの文化思想のピークがこのフェスティバルだと思っています。

60年代ってさらっとイベントを挙げてみるだけで無茶苦茶な時代です。
60年 ケネディ大統領就任
61年 ベルリンの壁できる
62年 キューバ危機
63年 ケネディ大統領暗殺
64年 キング牧師ノーベル賞
65年 ベトナム戦争開始
68年 キング牧師暗殺
69年 スペースシャトル月面着陸
2008年から2018年と比較すると、歴史が動いた密度が違います。



音楽で考えても、60年代といえばビートルズ、ローリングストーンズ、ボブディラン、ジミヘン、ザ・フー、上げればきりがないですね。まだイギリスとアメリカが混合の時代。


レコードとテレビが一般家庭にいきわたり始め、ポップミュージックが始まった年代です。

 

 

 

冷戦、中東戦争、人種差別撤廃運動も、アフリカの植民地からの独立も全てこの年代から始まります。
 

そして、理性、論理、合理性、民主主義、資本主義の集合体のヨーロッパ系民族中心のアメリカが、人種と性差を受け入れ始めた時代。
 

もとい、女性と黒人とアジアとアフリカの植民地が、自分たちの権利を勝ち取り始めた時代。

 

今当然のようにある平和が無かった時代のお話。
 

 

 

そんななか、「金とか権利とかなんとか主義とかうるせーよ。そんなんで愛と平和は手に入るのか?」と言い始めて社会のちゃぶ台をひっくり返したヒッピーたちに愛されたウッドストック。
世界が混乱した中で40万人が、何も考えずにとりあえず集まって愛と平和を叫ぶ。


 

そのころ同じように始まったいろんなフェスとは別に、ウッドストックだけは今でも全世界の知るところとなる理由は、歴史的にそんな愛と平和を願ったピークにあったからなのだと思います。
60年代にみんなが平和とは愛とは、豊かさとは何かを考えて考えて考えて、態度や意見をぶつけてぶつけてぶつけて。
最終的には風船が割れるように、人が社会が「もうむりでーす!」と言ってしまうのですが、ウッドストックはその風船が最高潮に膨らんだ時期なんですよね。

 

 

 

この愛と平和のムーブメントは、70年代になるとするするっと衰退していきます。

 

私はこのウッドストックがそんな挫折直前のお祭りだと思っています。一つの時代の散り際の美しさが、後の世が評価しているところなんじゃないかと。

風船が割れた瞬間はオルタモントのローリングストーンズ野外コンサートでの殺人事件。
そして翌年のこのフェスの中心だったジャニス・ジョプリンとジミヘンが70年に没。

ビートルズもインドに系統してヒッピームーブメントに拍車をかけたと思ったら70年に解散です。

ベトナム戦争でアメリカの政治が一つ挫折し、カウンターカルチャーも挫折。
余韻で70年代前半のクイーンまで複雑で壮大な曲が出ますが、70年代後半、パンク&アナーキーな時代に突入します。

セックスピストルズがアメリカで売れてしまうっていうのが、社会が考えることに一旦力尽きた感じがします。








60年代と言えば、私にとっては父と母が生まれた、祖父と祖母が現役の世代です。
そんな、そう遠くない昔に、この何にもない草原で、40万人が本気で同じものを願った場所に来て愛と平和と音楽だけを考えて(フリーセックスとドラッグもありましたが)いた場所にいるというのは、そこに立ってその様子を想像するだけでも価値があることだったなぁと思うのです。

アメリカは、そうやって60年代を本気で考えて、70年代に挫折して。
でもまた戻ってきて、ライブエイドなんてフェスもやりつつ。
金融が栄えて、9.11とサブプライムで落ち込んでもITが栄えて。
内部でもめたり挫折を繰り返しながら、なんだかんだ世界のトップでい続ける、この国の生命力って呆れるほどすごい。
いつも一緒に働いてる人や仕事っぷりからすると、自分が一緒にいても全然違和感がないぐらい普通の人たちなのに。


 

 

日本はまだ挫折してロストしたジェネレーションから抜けられない感じですが、それでももう逃げずに立ち向かわんといかんでしょっていう事を啓蒙する雰囲気が、映画やアニメなんかに表れ始めています。
ほんと色々あって、好きでもあり嫌いでもある国ですが、そんな愛憎ある国の経済と技術を1億人分の1ぐらい担っている私も、自分のできることで貢献していかなきゃなと思います。
せめて周りの人たちがもうちょい自信を持って、もうちょい人に依存しないで、もうちょい将来を楽しく考えて、もうちょい新しいことができるような、そういう環境にしていきたいなあ。