日本から出張でやってきた方から日本のワールドカップの盛り上がりっぷりを聞いてきたところですが、こっち側で見えているワールドカップの情報でも書いてみようかなと思いまして。
◆サッカーは共通会話である
先日取引先から野球の観戦チケットを何枚かもらって来たのですが、その時のチームの反応が結構意外なもので。
社員A「いや、野球とかつまらんやろ。ホッケーのチケットをくれ。」
社員B「野球がつまらんのは同意なんだが、バスケのチケットをくれ。ホッケーもつまらん」
私「まじか。アメリカ人みんな野球好きなのかと思ってた」
社員C「野球みたいな玉の小さいスポーツは、正直何をやってるか見えない。ホッケーもそう。ゴールしたのかわからんやん」
社員A「いやいやいや、あれだけバトルしてれば興奮するやろ」
なんとなく想像してたのでそうだろうなーと思っていたのですが、私の身の回りで野球の話、全く話題にならない。アメリカに来て野球の話題になったのって、日本人以外にないんですよね。住んでる地域だったり、一緒に働いている人種や出身国、年齢、性別で変わってくるんだと思います。ボストンとかシアトルとかニューヨークに住んでると、また変わってくるかもしれません。
アメリカは国民性よりも州民性の方が強い。「合衆国」なんだなぁと思うところです。
そういう社員たちがこぞって話題にするのが、実はサッカーのワールドカップ。
サッカーのすごいところの一つは、そういうにわか巻き込み力にあると思います。今回アメリカはワールドカップでないのに、まあみんな詳しい。
仕事しながらyoutubeやfoxのストリーミングを見たりするのは、なんだかんだで日常になっている弊社の仕事場。(仕事をしろ)
会社のキッチンにはリアルタイムのワールドカップの映像が流れ、2枚あるモニターの内1つはブラジル戦やポルトガル戦が流れています。iphoneの新製品発表以来の、みんながかたずをのんで映像を見つめる光景です。平昌オリンピックより、サッカーワールドカップの方が盛り上がりがすごい。
日本の試合も私より詳しい。
ベルギーがFIFAランキング3位だという事や、ポーランド戦の忖度感とかは、自分で調べるより先にアメリカの同僚から教えられました。日本もそうかと思うんですが、ワールドカップ終わったらサッカー全く見ない人も多いと思いますし、かくいう私もそういう「にわか」の一人です。
ですが、一つのコンテンツとして、たくさんの人が同じタイミングで同じものを見るような引き付ける魅力は、すでにオリンピックを超えていて、世界最強のコンテンツなんじゃないかと思います。こんな自由で何でもありのアメリカでさえ、みんなが1つの試合を見てるとか、想像できませんでした。
いやほんと。アメリカ、出てないのに。ほかの国とか基本気にしないのに。ほかの州でさえ基本気にしないのに。
一方で、毎週熱戦が繰り広げられている、クラロワリーグアジア。
今年プロリーグが発足した、いわゆるesportsのリーグですが、これがなかなか盛り上がらない。やってる人間から見ると、一般人とプロの実力差やクリエイティビティにびっくりするし、毎度接戦なので実況解説大盛り上がりなんですが。
ルール知らなくても世界中で大盛り上がりのサッカーと、この差は一体何なんだろう。内輪感が凄まじい。。。
現在プレイオフの真っ最中ですが、普段中国韓国にやられがちなesportsで、日本がアジアを席巻するレアな機会です。
頑張れみかん坊や!頑張れPONOS!
◆FIFAランク 急上昇する国としない国
私が記憶に残っている最初のワールドカップは、アメリカのワールドカップでしょうか。いわゆるドーハの悲劇の時は、私はまだ小学生でした。
Jリーグができて、ワールドカップというものが認知されて、でもまだ夢の舞台だった時代。そこから考えると、当たり前のようにワールドカップに出る、しかしベスト8行けない。というステージのことを考えられるのは成長の証でしょう。
一方でfifaランキングを見てみると、ここ10年でずるずる落ちている日本。一体何が起きているのでしょうか。
※ランキングの計算方式が変わったからというのもあるんですが、今の計算方式が日本の実力を表しているとして話を進めてみます。
fifaランキングをここ10年で急成長させた国は、ベルギー、アイスランド、ウェールズあたりでしょうか。
アイスランドのランキング推移:
https://fifaranking.net/nations/isl/ranking_d.php
ベルギーは66位→3位、アイスランドは100位以下から22位まで順位を上げています。もしかすると日本も頑張れば4年~8年で結果が出るかもしれません。
調べてみると、ベルギーはフットパスと呼ばれる監査システムを設けたこと、アイスランドは指導者の教育に力を入れたことなどが出てきます。
アイスランドは指導者が全員UEFAライセンスを取得すること。という基準を設けたそうです。これはどうやらヨーロッパいち厳しい基準らしい。
とすると、急上昇している国の共通点の一つとして、教育と評価のガイドラインの明確化というものがありそうです。
「日本らしいサッカー」という言葉は、サッカーをあまり知らない私も耳にするぐらい、よく聞く話だと思います。日本らしいサッカーとは何かということがブレているという話も聞き、その時に注目されるのが決まって監督人事です。
会社にすると経営者人事ということになると思いますが、これが大事なのは周知の事実。ですが、経営者は変わります。日本代表の監督も4年はおろか、4年を満足に過ごした監督もあまりいない状態です。
そして選んでいるのは誰かというと、サッカー協会になります。
試合に対するコンセプト、攻め方、戦略、相手を熟知するということは、ここ近年で良く耳にする話です。トルシエ監督のフラット3あたりから、誰がどう動くか試合上の戦略はよく聞きます。ですが、そのための持てる武器をいかに強化するか。ここはいまいちな感じもします。
しいて言えば
「個が大事か、組織が大事か」、
「日本らしいサッカーは一朝一夕にできない」
という論理以外に、具体的な戦略を私はあまり聞きません。
DJ社長という、多分日本では多分そこそこ有名なDJの人が面白い話をしていました。
"
2000キロ先に行こうと思うとする。持ってるのは自転車だけだとする。
みんな我先に自転車に乗っていこうとする。
でも、原付の免許とって原付乗れば全然早いことに気づくわけです。
最初は免許取るための時間、自転車乗ってる人が先行するんで早いけど、そっから後は頑張らなくても自転車を抜いてしまえる。
日本人はみんな自転車で上り坂を登るときの頑張りとかを評価するし、原付で自転車を抜いた時には、結構批判が起きる。
でも、結果を出すには、スタート地点でどういう戦略を立てるか。それが一番大事。
"
サッカーで成長している国はそうしていて、日本はできていない。
もしかすると、次のワールドカップを考える際にまず気にすべきなのは、代表監督人事ではなく、その背景にあるサッカー協会の戦略、方針の具体性、そしてそれをいかにメディアや国民が評価するか。なのかもしれません。
去年の8月にワールドカップ出場が決まりました。4月にハリルホジッチ監督が解任されました。先月コロンビアに勝ちました。ポーランド戦での忖度が問題になりました。先日ベルギーに負けましたが評価されました。ここ1年での期待と不満の振れ幅すごい。
試合の内容に一喜一憂するのは観戦者の醍醐味ですが、どうも私はその背後でサッカー協会がどう動いているか、気になってしょうがないのです。。。
自転車で上り坂と下り坂を応援するのもそれは楽しいことですが、原付買えるのか、道の選択は正しいのか、もとより日本代表は昔より成長しているのか。
なぜここが透明に見えないのか、なぜここの透明性が追及されないのか。我々やメディアは、株主や顧客として日本サッカー株式会社の経営ボードに「明確な10年プラン出してください!」といってもいいかもしれないですね。
アメリカだとプロスポーツのお金の流れ、税金の取られ方、GMの運営などが記事になり、ランチの時の話のネタになったりします。
日本だとナベツネさんの話ぐらいしか聞かなかったなーと思い、ふと記事を書いてみた次第です。
4年後、8年後、日本のプロスポーツが急上昇しますように。