日本人で出張でアメリカに来た偉い方と会食という話があり、ご飯を食べていました。
皆さん40代後半で36歳の私がダントツで年下という、若干異様な光景。
アメリカってどうすか?やっぱハンバーガー食ってるんですか?的なカルチャーの話をしつつ、出てきた話の中で、こんな話をしていました。
「今回アメリカに出張してすごく感じたことが一つあって、それは日本は貧しくなったということです。」
例えば、私がマレーシに旅行をした時の話。物価が安い国なので、せっかくだし高級ホテルに泊まってやろうと思って、サイトをポチポチして探した5つ星ホテル。日本の価格で言うと8000円前後でした。
日本の5つ星ホテルはというと、30000円~40000円でしょうか。泊ったことないけど。日本で旅行に行って泊りに行くと、10000円超えると高いなーと思ってしまいます。
アメリカの同僚が先日日本に旅行に行ったときに泊まったホテルは20000円だったそうです。「うっそ。むっちゃ高くね?」と私が言うと、「やいや、ワシントンだとそういうのが相場じゃん?」と返されました。
じゃあアメリカの場合はどうなんだと。
ワシントンDCで泊れる5つ星ホテルをパパっと見てみたら、40000円~60000円でした。10000円を切る相場のホテルはなく、モーテルになります。
普通のホテルに泊まろうとすると、10000円~20000円な感じになると思います。
今度ニューヨークのトライアスロンの大会に出るので、ホテルを予約したんですが、230ドル(約25000円)。。。
高い。高い。嘘だ。やだ。って思いつつ、でもモーテルで泊って翌日早朝にレース開始も嫌だったので、今回は思い切って支払いました。そして貧民生活を送っています。
日本は物価が高いといろんなところから言われ続けていますが、今や全然そんなことないです。レストランの金額も、ホテルの金額も、家賃も、アメリカは大体日本の倍です。
場所によると治安と引き換えに安いところもありますが、日本の同レベルと考えるとアメリカ(バージニア、ワシントンDC)の生活は大体倍だと考えていいと思います。なので、日本人の給料でアメリカで過ごす人は、そこそこ困窮することになります。最近はシンガポールのほうが日本より物価が高い。
先進国はの物価はどこも一緒か日本より安いかと考える時代は、バブルの時に終わっていたというお話。
日本は経済面、物価の面で言うと、貧しくなっているのです。
下世話な話、給料もそうです。
以前のblogでもちらっと書きましたが、私が今働いている仕事を同じレベルでアメリカで働くとすると、給料の相場は倍になります。俺の方が働いてるのに、なんでこいつらの給料は俺の倍なんだ!と思うことも無くはないですが。
とある方がこんなことを話しました。
「よく失われた20年とか今や25年とかいわれるじゃないですか。私が会社に入ってからずっと失われ続けてるんですよ。」
「私が会社に入って25年で、日本はずっと失われた時代だと言われ続けてきて、特に先進国に来ると我々の給料が失われたって思うんですよね。」
そうすると別の方が、
「何言ってるんですか。その失われた25年ってまさに我々が作った25年ですよ。だから、我々のせいなんですよ。」
「我々の世代が子供たちや後輩の世代にどんどん失わせてるんです。だからもっと頑張らないといけないんです。せめてその責任はとるぐらいの働きをしないと。」
それを聞きながら、「確かにそうだよなぁ。」って真面目に話を聞いてました。
私も社会人になって10年ちょいで、なかなか給料上がらんよねとか言いながら働いているわけですが、会社の人数分の1の割合で、その原因を作っているのは自分だったりするんですよね。
エリート層の採用っていう面で言うと、バブル期に入りたい企業って、東京電力とかJTBとかNTTとか、「the日本企業」だったそうです。
今の世代で考えると、ずるずるエリートの採用は落ちてるんだそうです。日本の会社はほんとにエリートを取りづらくなったという話もありました。
ま、エリートが入社後どのような成果を出すのかは人によって変わりますが、企業力やブランド力は相対的に落ちてるのが実情です。
日本企業は企業力は落ちたとしても、終身雇用と給料の安さが引き換えだという話があったりもします。
ですが、腕とコネのある人間はアメリカでも仕事にあぶれるなんてことはありません。クビになってもすぐ職があったりします。上下差が激しいのがアメリカなので、最近の失業率はざっくり日本の倍です。その一方で受け皿としての企業もちゃんとあるので、人材の流動性が成り立ちます。
その一方、日本企業が中途人材を採用する受け手側の事情はどうかというと、人材の流動性は低い。中途採用で採用を考えても、会社のエースでしたと入ってくる人は少ないんだそうです。いるけどなかなか見つからない。
日本にとっては新卒も中途も採用に相当苦労しているそうです。
日本でも流動する人は、そもそも日本企業を選ばないというのが実態でしょうか。私も、そんな給料上がらん会社にいつまでいるの?もっと早くやめると思ったのに。とやっぱり方々で言われます。
難しいですね。出たいような出たくないような。この会社を何とかしたいという思いもあるし、給料を上げたいという思いもあるし、正直毎度葛藤しています。
アラフォーと呼ばれる世代に私も突入してしまったわけですが、ある程度年を取って経験と実力がついてくると、「自分が今後社会人として何をなすべきか」ということを考えます。
とある資産家のアメリカ人がこんなことを話していました。
「私はもう人生で使い切れないほどのお金を手に入れた。だからお金を稼ぐことはもう興味がないんだよ。」
うわー言ってみたいもんだ。とも思ったものです。
ですが、資産家とは言わないまでも、お金に関する興味や野心というのが薄れてきたというのは本心です。20代は、自分は何を寄る辺に生きていけばいいかというのをずっと探索し続けた気がします。30代も中盤になると、考え方がゆっくりと変化していきました。
自分は何を寄る辺に生きていけばいいかではなく、自分は何の寄る辺になるべきなのか。という事です。
ある人は妻と子であるという人もいるでしょうし、ある人は日本という国だとか、ある人は自分の部下だという人もいるでしょう。
何かを消費することは確かに快楽ですが、誰かの役に立っている、誰かに消費してもらっているという自己実現みたいな欲求が出てきます。
さて、私は何の寄る辺になるべきでしょうか。
結婚してから考えろって言われそうですね。。。
さーせん。
でも、誰かのお役に立ちたいという思いは、年を取ると出てくるんだなーとヒシヒシと感じるアメリカの春でした。